まちに繋がる駅がすきみたいだ
企画を見て考えた。
東京でもいろんなところに住んだし、過疎地に指定されるまちに暮らし、そこで列車に乗ったこともある。
駅には色々な形がある。つながる線路が高架になっていたり、地下になっていたり。それでも僕は、地上を走る路線、しかも私鉄の駅がすきなんだと気づいた。
本題ゆえに細かいことは後で触れるとして、まずは冒頭、そんな特徴抽出の概念ではなく、東京都内の、西武新宿線・都立家政駅を“すき“駅として推しておく。
「なぜ?」と向き合う
地上を走る路線、しかも私鉄の駅。なぜそういう駅がすきなんだろう。
駅前から人の生活から始まっていると感じられる、その感じがすきみたいだ。言い換えれば、踏切がある、「まちの起点」となる駅がすきみたいだ。
駅を比べてみる
都内、特に23区内のJRの駅は、そもそも高架式が多く、大概、駅前のいずれかの方向にはバスロータリーやタクシープールがある。それゆえに駅に高さはあっても、一定の水平方向の、高さがない空間が広がる。
私鉄の高架の駅は、少しJRの駅とは様子が異なる。高架下に商業施設や駐車場・駐輪場などがあるのはそう大差ないが、JRの駅ほどには駅前の空間のゆとりがない。特に23区内は。
しかし、いずれにおいても駅の存在感が強すぎる。
駅、そのものの起源を辿れば、それはそうあるべきだし、交易拠点は人が集まるところとして存在感を放つことに違和感はない。
人が集まるところは便利になるための下地があるし、事実便利なことに疑いの余地はない。
一方で僕は、生活の中に溶け込み、駅と生活の動線がそのまま繋がっている駅・まちに魅力を感じているようである。
地上駅と踏切
そんな定義があるのかは知らないが、勝手に地上駅と呼ぼう。地上駅は、その駅の前後で、ほぼ確実に踏切がある。そりゃそうだ、と言えばおしまいで、どうやらこの踏切にノスタルジーを感じているところもあるのだろう。
踏切は得てして不便である。
警告音が鳴るから、近くに住むと頻繁にその音が聞こえるし、電車が来る間は待つ時間が発生する。遮断機とはよく言ったものである。道も時間も連続性が遮断されると言ったら言い過ぎか。
遮断機が下がろうとするなら、急いで渡ったりもするし、何となく見送ったら、しばらく電車が続いたりもする。そんな日常も、踏切のない世界では起こらない。
踏切があるのはなぜか。逆説的ではあるものの、人が、車が通るからだ。当たり前に、人や車が通るところには人の生活がある。
一方の高架駅では、特に車は、駅・改札から少し離れたところしか通れないのも珍しいことではない。
つまるところ
考えてみたことがなかったが、要は必然的な条件だったのかもしれない。
駅と人の生活が、「より」連続性を持つには、地上に駅があり、つまりは踏切があり、それは大抵私鉄の駅である、ということ。もはや理由なのか条件なのか。
西武新宿線・都立家政駅
そんなこんなで、様々候補として浮かんだ駅はあるけども、せっかく書くならと選んだのは西武新宿線の都立家政駅。西武新宿線でもっとも利用者の多い高田馬場駅からは、各駅で6個目の駅だ。
都立家政駅について
新宿側から見ても、所沢や(本)川越側から見ても決して知名度の高い駅ではないであろう。西武新宿線ユーザーでも、急行が停車する鷺ノ宮駅より先を利用する人にとっては、特に気にかけることがない駅な気もする。
そんな鷺ノ宮駅からは直線で500mも離れてないらしく、歩いても7−8分かかるぐらい。無論、駅のホームからはお互いの駅が見える。
東西に線路が伸びる駅には、西側にしか改札がない。特に駅の東側に住み人にとって、これははっきり言って不便だ笑。
さらに、上り下りの相対式ホームは地下を通る階段で繋がっているが、踏切が閉まっている時にしか使わない。深夜は閉鎖されるし、全く使わない人も多いだろう。
改札を出た先には、踏切があり、南北に昔の雰囲気を残す、道幅が狭く一方通行の商店街が伸びる(この道は少し角を曲がるだけで、ほぼ真っ直ぐ高円寺まで繋がっている)。
お世辞にも買い物に便利な店のラインナップとは言えないが、南北どちらに進んでもドラッグストアやコンビニがあるし、駅前には、スーパーのマルエツが今もあるはずだ。
朝夕には地元鷺宮高校(旧家政女学校)の生徒が行き交い、都立家政のブックマート(ブックマート🎶)が、雨の日以外はまちを彩っている。
↑かせいチャンなるキャラクターもいる(情報なしで七福神全てを見つけるのはとても難しい)
都立家政駅の魅力
準急・急行は止まらない。バスは北側の新青梅街道まで出ないとない。再開発によって便利になっているわけでもなければ、居酒屋・飲食店が多いわけでもない(魅力的な店はちゃんとある)。それでも僕は、呑兵衛にはよく知られる東隣の野方駅より、都立家政駅の方がすきと言えるし、西隣の急行停車駅の鷺ノ宮駅より住みやすいまちだとさえ思う。
(そもそも鷺ノ宮駅を利用するという手もある)
何より、北側にある鶏肉を主に販売している「鳥一」、ここは都立家政駅を語る上では外せない。ここの唐揚げはいくつ食べても飽きがこない。店主は高齢だが、末長くあって欲しいと願っている。
駅でまちを語る
東京(近郊、その他都市部)だけが、「どこに住んでいる?」と聞かれて、町名ではなく駅名で答えるとか何とか。
地方に比べて駅の距離が離れていないのにそんなに雰囲気が違うか?というのはもっともな気もするが、しかし得てしてそうやって答えるものなのである。
まちづくりは進む、だけど…
なお、西武新宿線でも時代の流れとともに、高架化(もしくは地下化)の波は避けられない。立体交差事業は着実に進んでいて(それこそ踏切の待ち時間が問題だからだ)、東村山駅は高架になったし、中井駅から野方駅の間は地下に潜る。
駅が変わればまちも変わるし、まちが変わるからこそ、駅も変わる。それこそが時代の変化であるわけだ。進むまちづくりは、否定することではない。
だけど僕は、不器用だけど確かに人の暮らしを感じる、駅から続くこのまちの風景を心に残していく。それがただの片想いだとしても。
