見出し画像

「Excelの職人技」が会社のリスクになっている?属人化した表計算を整理する方法

「このExcelは田中さんしか触れない。壊れたらどうしようもない」
「引き継いだExcelに数式がいっぱいで、何をしているのかわからない」
「毎月の集計作業、なぜかその人がいないと進まない」

思い当たる方、そのExcelはいま、会社の「見えないリスク」になっています。

Excelは便利なツールです。しかし、一人の「職人」が長年かけて作り込んだExcelは、その人が休んだ・異動した・辞めたとたんに機能しなくなります。

この記事では、属人化したExcelが生むリスクの実態と、整理するための現実的なアプローチを整理します。

「Excelの属人化」がなぜ起きるのか

作った本人にしかわからない構造になる

Excelは自由度が高いツールです。セルの色・非表示の行・複雑に構造化された関数・マクロ。作った本人は把握していますが、他の人が見ると何をしているのかわかりません。

「動いているからいい」という状態が続くほど、誰も触れなくなっていきます。

メンテナンスが積み重なって複雑化する

最初はシンプルだったExcelが、「ココにこの列を追加して」「このシートも連動させて」という要望が積み重なり、年々複雑になるケースが多くあります。

途中から関わった人には全体像がわからず、結局また作った人に頼む。
この繰り返しが、属人化を加速させます。

「自分にしかできない」が評価につながっていた時代の名残

かつては「このExcelを使いこなせる人」が社内で頼られる存在でした。その名残で、「自分だけが知っている状態」を意図せず維持してしまっているケースもあります。

本人に悪意はなくても、結果として組織にリスクが蓄積しています。

属人化したExcelが引き起こす「3つのリスク」

リスク① 担当者不在で業務が止まる

月次の売上集計・在庫管理・請求書作成などの定型業務が、特定の一人に依存している場合、その人が不在になると業務が完全に止まります。

その人が、「有給がとれない」「体調不良でも出社する」という状況が続いているなら、すでにこのリスクが顕在化しています。

リスク② ミスに気づけない

複雑なExcelほど、どこかで計算が間違っていても、発見が遅れます。

数式の参照先がズレている、コピーしたときに絶対参照と相対参照が混在している、手入力した数字が誤っていた。「動いているように見えて、実は間違っている」状態が長期間続くことがあります。

特に経営判断に使う数字が誤っていた場合、影響は深刻です。

リスク③ 引き継ぎができない

担当者が退職するとき、「このExcelの使い方を説明する」のに膨大な時間がかかります。 あるいは、説明できないまま退職してしまう。

引き継いだ側は「なんとなく動かしているが、何かあったら怖い」という状態で、業務を続けます。 これが、また新たな属人化を生みます。

属人化したExcelを整理する4つのステップ

① まず「棚卸し」をする

いきなり「Excelをやめよう」「システムに移行しよう」と動き始めると、必ず混乱します。最初にやるべきは、社内でどんなExcelが使われているかを把握することです。

棚卸しで確認すること:

  • どの業務でExcelが使われているか

  • 誰が作って、誰が使っているか

  • 更新頻度はどのくらいか

  • そのExcelが使えなくなったとき、どんな影響があるか(業務停止・売上影響など)

この棚卸しをするだけで、「リスクの高いExcel」が浮かび上がります。すべてを一度に解決しようとせず、影響の大きいものから優先順位をつけましょう。

② 「読める状態」に整える

複雑なExcelをいきなりゼロから作り直すのは現実的ではありません。
まず「他の人が読める状態」にするところから始めましょう。

具体的にやること:

  • シートに「このシートは何をするものか」をセルに書く

  • 主要な数式にコメントを入れる(Excelのメモ機能で可)

  • 非表示になっている行・列を整理する

  • 使われていないシートを削除またはアーカイブする

  • カラーコーディング(色分け)の意味を別シートに記載する

完璧な整理は不要です。
「初めて見た人が、30分で概要を把握できる状態」を目標にしましょう。

③ 「一人しか触らない」を解消する

作業手順を文書化し、担当者以外でも同じ操作ができる状態を作ります。

手順書に含めること:

  • 毎月・毎週のルーティン作業の手順

  • データの入力場所・更新場所

  • よくあるエラーと対処法

  • 「やってはいけないこと」(上書き禁止のセルなど)

手順書を作ったら、実際に別の社員に試してもらい、「これだけで動けるか」を確認するのが最も確実です。試してもらう過程で、説明が足りない部分が必ず出てきます。

④ 「Excelでなくていいもの」を見直す

棚卸しをすると、「これはExcelでやる必要があるのか?」というものが必ず出てきます。

クラウドサービスへの移行を検討する代表的な用途:

勤怠管理:Excelでの集計は入力ミス・計算ミスが起きやすく、法改正への対応も手動になります。専用ツール(freee人事労務・マネーフォワード勤怠など)への移行で、リスクが大幅に下がります。

経費精算:領収書の添付・承認フローが絡むものは、クラウド経費精算ツールの方が、格段に管理しやすくなります。

顧客管理:ExcelのリストがCRM(顧客管理システム)の代わりになっている場合、データの共有・更新・検索が非効率的になっています。

在庫管理:複数人が同時に更新するExcelは、上書き事故のリスクが高いです。クラウド在庫管理ツールへの移行を検討しましょう。

「Excelでなくていいもの」を一つ移行するだけで、属人化のリスクが一つ消えます。一度に全部移行しようとせず、最もリスクの高い一つから始めることが重要です。

移行・整理を進めるうえでの注意点

「作った人」を否定しない

属人化したExcelを整理しようとするとき、作った本人が「自分のやり方を否定された」と感じるケースがあります。

長年かけて作り込んできたものを「リスク」と言われれば、そう感じるのは自然です。

「あなたの仕事を評価しているからこそ、組織として引き継げる形にしたい」という文脈で進めることが重要です。 整理・移行は「批判」ではなく「資産化」というメッセージを伝えましょう。

完璧を求めない

「誰でも分かる完全なExcelを作る」
「すべてをシステムに移行する」
という目標を立てると、プロジェクトが前に進まなくなります。

「今より少し読みやすくなった」
「一人でもバックアップが動けるようになった」
という小さな改善を積み重ねるのが現実的なアプローチです。

「動いているから問題ない」は、リスクが見えていないだけ

属人化したExcelは、動いている間は問題として認識されません。しかし、担当者が不在になったとき・ミスが発覚したとき・引き継ぎが必要になったときに、一気に問題が噴き出します。

  • 棚卸しで「リスクの高いExcel」を把握する

  • まず「読める状態」に整える

  • 手順書を作り「一人しか触れない」を解消する

  • Excelでなくていいものはクラウドツールへ移行する

まず今日、「このExcelが使えなくなったらどうなるか」を、社内で一度考えてみてください。その答えに少しでも寒気を感じたら、整理を始めるタイミングです。

📖 あわせて読みたい

💬 ご相談はこちら

ITワークラボでは、中小企業向けに

  • 社内Excel・業務ツールの棚卸しと属人化解消サポート

  • クラウドサービスへの移行支援・ツール選定

  • 業務フロー・手順書の整備サポート

  • 外部IT担当者・IT顧問としての継続支援

などをサポートしています。
「うちもExcelに頼りすぎているかも?」という段階でも、お気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

いいなと思ったら応援しよう!

ITワークラボ|あなたの会社にIT担当者を💻|中小企業のIT管理・セキュリティ対策支援 いつも読んでいただき、ありがとうございます。 役に立った!と感じていただけたら、チップで応援していただけるとうれしいです。今後の記事づくりに活用させていただきます。