取引先からのメール、本物かどうか見分ける方法──ビジネスメール詐欺の手口と対策
「いつも取引している会社から、振込先口座の変更連絡が来た」
「社長から急ぎで送金するよう指示するメールが届いた」
「取引先の担当者からファイルが送られてきたので、開いてしまった」
これらはすべて、ビジネスメール詐欺(BEC)の典型的な手口です。
ビジネスメール詐欺とは、取引先や上司になりすましたメールで、従業員を騙して不正送金や情報漏えいを引き起こす詐欺です。フィッシングメールと違い、特定の会社・個人を狙って精巧に作られているため、「怪しいメールには気をつけている」という人でも引っかかってしまうのが特徴です。
被害額は1件あたり数百万〜数千万円に上るケースもあり、中小企業にとっては会社の存続に関わるリスクになり得ます。
① よくある手口3パターン
パターン1:取引先になりすました「口座変更」メール
長年取引している会社を装い、「振込先口座が変わりました」と連絡してきます。メールアドレスが本物とほぼ同じ(例:@co.jpが@c0.jpなど)ため、気づかずに新口座に送金してしまうケースがあります。
パターン2:社長・上司になりすました「緊急送金」指示
「今すぐ○○万円を送金してほしい」と、経営者や上司を装ったメールが届きます。「急ぎだから誰にも言わないで」という一文が添えられていることが多く、確認を取らせない心理的な圧力がかかります。
パターン3:取引先になりすました「添付ファイル」送付
普段やり取りのある取引先を装い、マルウェアが仕込まれたファイルを送ってきます。「先日の見積書です」「契約書を送ります」など、自然な文面で送られてくるため、疑いにくいのが特徴です。
② 本物かどうか見分けるチェックポイント
メールアドレスのドメインをよく確認する
表示名が本物でも、メールアドレス自体が微妙に違うことがあります。@yamada-corp.co.jpが@yamada-corp.comになっていたり、l(エル)が1(いち)に置き換えられていたりします。メールを受け取ったら、アドレスを必ず確認する習慣をつけましょう。
口座変更・送金依頼は必ず電話で確認する
メールだけで口座変更や送金対応をしないことを、会社のルールとして徹底しましょう。「メールで来た内容は、必ず電話で確認してから対応する」このワンステップが、被害を防ぐ最大の壁になります。
急かしてくる内容は要注意
「今日中に」「誰にも言わないで」「急ぎでお願いします」──こうした言葉が含まれているメールは、確認を省かせようとしている可能性があります。急かされるほど、一度立ち止まって確認することが重要です。
添付ファイルは不用意に開かない
心当たりのない添付ファイルはもちろん、取引先からのファイルでも「送った覚えがあるか」を電話で確認してから開くのが安全です。
③ 会社として決めておくべきこと
社員一人ひとりの注意だけでは、巧妙化するビジネスメール詐欺を防ぐには限界があります。会社として以下のルールを明文化しておきましょう。
振込先口座の変更はメールのみでは受け付けない
一定金額以上の送金は複数人の承認を必須とする
不審なメールを受け取った場合の報告フローを決めておく
社員向けに定期的な注意喚起を行う
ルールが1枚の紙にまとまっているだけで、いざというときの判断が大きく変わります。
まとめ:「いつもの取引先」を装うから怖い
ビジネスメール詐欺が厄介なのは、普段の業務の延長線上に仕掛けられているからです。「まさかあの会社が」と思わせることで、確認のひと手間を省かせます。
「おかしいな」と感じたら、メールで返信せずに電話で確認する。 これだけで、ほとんどの被害は防げます。今日から社内に広めてみてください。
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