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闇 416(片親編)

闇 416(片親編)

2025/12/10 wed
前回の章


念入りに風呂へ入る。
滾る股間。
よく洗う。

援助交際ではない。
純愛?
ちょっと違うか……。

それにしても不思議だ。
何故十八歳のルナは、俺と食事になど行きたがるのか?

「……」

風呂場の椅子に腰掛け、鏡で自分の顔を見る。
四十五歳…、今年の九月で四十六歳。

俺も随分老けた。
どう見ても若くはない。

俺に抱かれたいのか?
いや、シリアスは飲んだが、先走るのは危険だ。
彼女は田辺の天下鶏で働くアルバイトなんだぞ。

理性と欲望の衝突。
つまりこれは神と悪魔の戦争。

モラルと性欲に置き換えてもいい。
俺はどうしたいのだ?
そりゃ抱きたいさ。
だってもぎ立て青い果実をなんて、滅多にない機会だぞ?

逆の立場で考えてみる。
俺が十八歳の頃を思い出せ。

お袋のところへ行き、親父と離婚をさせた……。

馬鹿、それは高校を卒業してすぐの十八歳の時だろうが。
ルナは今年で十九歳になるのだ。
つまり俺でいえば、北海道倶知安駐屯地へ行き、重迫撃砲中隊へ所属した日が誕生日と重なり十九歳になった。
だから、今のルナで例えるなら自衛隊後期教育の頃になる。

まだスナックも何も知らない社会人という枠に入り、ただ粋がっていた時代だ。
休みになれば、宛てもなくコンビニ一軒もない倶知安の街並みを歩き、駅近くにあった庶民的な喫茶店で漫画本を読んで時間を潰したあの頃。

カレーライスもスパゲッティーもすべて五百円均一の喫茶店で、俺はひたすら漫画本を読み、三回も食い物を頼んだ思い出。

「……」

碌な青春を歩んでねえな、俺は……。

いやいや脱線するなって。
倶知安の回想をしたところで意味ねえだろ。

あの時十八歳の俺は、四十五歳の女性に興味を覚えたか?
いや、絶対に無理でしょ……。

えーと…、俺と親父はちょうど二回り違いの猪年。
二十四歳違うから、あの頃の親父は四十二歳。
今の俺より若いのだ。

お袋は親父より一つ年下だから、当時で四十一歳。

「あわわ……」

ルナは親世代より上の男に懐くなんて、一体何を考えているんだ?
まったく分からない。

待てよ…、あの子の家族関係を聞いた事もなかった。
シングルマザーと呼ばれるのが当たり前になった時代。

昔は違った。
俺も含めた片親なんて、昭和だと数える程度しかいなかったはず。

中学時代で誰がそうだった?
まずデコリンチョの及川俊彦。
大塚小から中学頭で引っ越してきた飯野君。
幼稚園から一緒の鈴木勉。
この三人プラス俺ぐらいだったよな?

しかも俺の場合だけだ。
父子家庭という枠は。

シングルマザーなんて言葉が出るぐらいだから、基本子供は母親が引き取る形なのだろう。
父子家庭なんて他にいるか?

「……、あ!」

以前古木英大の三角関係に巻き込まれた影原美優。
あの子が確かジャズバーのスイートキャデラックへ連れて行った時、実はバツイチで元旦那に親権を取られたような事は言っていたっけ。

自殺未遂までしでかした突発的な行動。
妊娠四ヶ月というおろせるまで、あと一ヶ月しかないタイムリミット。

そんな絶望的無茶な状況で俺に三角関係の相談を持ち出してきた古木。

彼は俺に黙って二股関係をズルズル続け、自殺未遂され妊娠四か月目になってどうしょうもなくなり、俺に何とかしてくれと……。

それでいて牧田順子を選ぶから、影原美優を説得しろと?

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