闇 421(ハンバーグ日和編)
闇 421(ハンバーグ日和編)

2025/12/15 mon
前回の章
二千十七年六月二十九日、木曜日仏滅。
暑苦しくて目を覚ます。
時計を確認するとまだ十一時二十七分。
一時間も寝ていないのか。
もう夏目前…、いやすっかり気温だけは夏だ。
再び寝ようとしたが猛烈に腹が減っていたので外へ出る。
立門前通りへ出て右折。
呑龍へ行き、しょうが焼き定食の大盛りと餃子を食べた。
帰ってエアコンをつけ、また横になる。
今日が木曜日だからあと三回出れば休み。
まだ週の半分かよ……。
先週の横浜効果が切れ掛けている。
またゆっくり遊びに行きたいなあ。
今度はホテルもちゃんと取って予定も立てて……。
そんな事を考えている内に、気付けば寝ていてた。
本日二度目の目覚めは夕方。
携帯電話を眺めながらセブンスターへ火をつける。
今日の乙女座の占いは一位で、イタリアンを食べるといい。
何だ、こりゃ?
まあミートソースを食べるのもいいな。
俺は風呂に入ると支度をして、食事へ出掛けた。
この辺でイタリアンってどこになるんだ?
レストランシブヤにミートソースあるけど、あそこで少なくともイタリアンではない。
パッと思いつくのが岩上整体の時よく来てくれたリストランテベニーノのシェフだが、川越市駅のほうまで歩きたくないなあ。
まあクレアモールを歩いていればイタリアンの店ぐらいあるだろう。
ぼだい樹へ行く手前に新規開店したばかりのイタリアンの店を見つけた。
占い通り意気揚々と中へ入り「ミートソース下さい」と席に着く前に自身の意思を明確に伝える。
「あ、あのお客様…、当店はミートソースはおいてないのですが……」
「何だと? じゃあボロネーズ下さい」
「あいにくそちらの商品もご用意しておりませんが」
「えー、じゃあ何があんのー」
最悪ナポリタンで手を打つか。
俺はメニューを眺める。
「……」
トマトソース系やクリームパスタ系、ボンゴレ系……。
しばらく探してもナポリタンはなかった。
どうする、出ようか。
でも席に座ってしまったしな。
「トマトソースのパスタ下さい。あとフォッカチオも。あ、あとミネストローネスープも。あ、あとグリーンサラダも」
「はい、畏まりました」
細長い作りの店内を眺めながら、この物件も本当にちょこちょこテンポが変わるなと思った。
隣りはフィリピンクラブ。
ここは昔から変わらないが、てんこもりラーメンの大門さんが大好きだった場所だった。
ついフィリピンイコール大門さんを思い出してしまう。
先日親父から聞いた大門さんの訃報。
修叔父さんと親友のように仲が良かった大門さんだが、末期癌だったらしい。
特に親しい間柄ではないが、道端で会えば笑顔で挨拶ぐらいはしていた。
最後に会ったのっていつだっけ?
確か俺が二回目の横浜にいて、こっちへ実印持って帰ってきた時じゃなかったか?
そうだ!
ノイの愛の店があった頃だから去年だ。
あそこで飲んでいたら偶然修叔父さんと大門さんと会って、それで実印渡す流れになって……。
実印騒動の時だから矢田部のインカジ辞めて、イワカミ工業で書類を揃えに帰ってきた頃。
去年の二月だかそんな時期だったっけ。
随分前だけど酔って勢いで隣りのフィリピンクラブへ入った時も大門さんいたよな。
俺を見ると嬉しそうに近付き、店のオーナーに「こちら岩上家のご子息で…」とか勝手に紹介しだして余計な事すんなとか当時思ったものだ。
親父の話だと去年亡くなったらしいから、愛の店で最後に会ってから一年経たずに亡くなったのかよ……。
何となく修叔父さんと話したくなった。
俺は頼んだ料理を食べ終わると、外へ出て電話を掛けてみる。
「おう、どうしたい智ちゃん」
「あ、お久しぶりです。先日親父から聞いたんですが、大門さんってお亡くなりになってしまったんですか?」
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
