【2026年】ジャンボ鶴田師匠命日【26回忌】まだまだ地獄のトレーニング中
2026/05/13 wed
2000年だから、今日で26年も時間が経ってしまった。
俺が28歳の時だから、もう俺も54歳。
鶴田師匠が亡くなったのは49歳。
五つも年上になってしまった。
そういえば去年(2025/05/13)の今日って、俺は当時何をしていたんだろう?
闇シリーズが5月、4月と出てこないな?
2025/03/11 tue
みなさん、ごめんなさい
闇シリーズなんですが、諸事情ありまして、197からの閲覧をできなくなりました
そうだ!
職場のインカジ『レディ』で闇シリーズをネットにアップするなと言われ、執筆のモチベーションガタ落ち。
それで闇シリーズの執筆速度が、実際かなり落ちた。
だから小説を書く事すら禁止されるなら、もう裏稼業など引退してしまおうとなったのだ!
闇242を書いたのが、2025/05/11 sun。
闇 242(横浜での偶然的な再会編)
次の闇243を書き終えたのが、2025/06/05 thu
闇 243(屑と雪と倶知安と泥棒編)
鶴田師匠の命日前後なのに、05/11~06/05と、約一ヶ月近く一章書くのに時間が掛かっている。
まだこの頃は13年ぶりに書き出して一年経たない頃だったけど、闇シリーズを書き始めて十ヶ月で242章までしか書けていなかったんだな。
今日の師匠の命日の時点で、闇559章まで書けた。
闇 559(宮古島三日目編)
まだ当時の感覚を時系列順に吐き出しているだけの段階だけど、あと三年二ヶ月分書き終われば、ようやくスタートラインに立てる。
俺はまだ生きているから、まだまだ人生はチャレンジしないとね。
それでいいっすよね、師匠?
まだまだ俺は、地獄のトレーニング中!
とりあえず闇シリーズで過去から遡って全部吐き出して、完成させてから。
そしたらまたちゃんとした小説書きますからね。
闇 04(全日本プロレス編)
レスラーになろうとしたこの一年間。
すべてがあの一夜で無になり、存在価値すら無くなったのだ。
死にたかった。
どの面下げて生きていけばいいのか。
部屋に先輩の土方智こと坊主さんが来た。
社会人になってから仲良くなった先輩で、俺は坊主さんと呼んでいる。
「智…、何であんな奴と酒なんて飲みに行っちゃったんだよ?」
「……」
坊主さんの言葉は正論すぎて、何一つ言い返せない。
あんな男とつるんでいたから、こうなってしまった。
「…で、全日はどうなったんだ?」
「……。馬場社長から来ないでいいって…、言われました……」
「これから合宿だろ?」
「……」
「行ってこいよ」
「だって…、来ないでいいって……」
言葉に詰まり大泣きした。
どのくらいそのままでいたのか分からない。
それでも坊主さんは黙って傍にいてくれた。
「もう…、死にたいですよ……」
「今、何て言った?」
「もう死にたいです! 何の価値もなくなりました……」
「……」
嗚咽を漏らしながらみっともなく突っ伏して泣く。
何度も泣きながら「死にたい」と連呼した。
「死んじゃ駄目だ! 生きろ!」
「生きてどうしろって言うんですか!」
「ジャイアント馬場から来なくていいって言われたかもしれないけど、明日全日本の合宿所へ行け」
「無理ですよ!」
「いいから行ってこい」
「どうやって? どんな面して行くんですか?」
「死ぬつもりだったんだろ? だったら行ってから死ね。嫌なら生きろ」
「……」
その言葉はどんな崇高な言葉よりも心に突き刺さる。
俺は口で死にたいと言っているだけ。
それなら合宿所まで行く。
行ったあと死ねばいい。
どうせ死のうとまで腹を括ったのだ。
少しだけ光が見えたような気がした。
いや、光などでない。
門前払いを喰らい、ただ追い返されるだけなのが目に見えている。
それでも駄目元で…、全日本プロレスへ行ってみよう。
そこに一筋の光も無かったが、俺にはそれしかなかった。
再び大泣きする。
坊主さんは肩を力強くポンポンと二回叩く。
東武東上線で川越市から池袋。
山手線で渋谷へ。
しかしたまプラーザ駅への行き方が全然分からない。
「すみません…、たまプラーザ駅って、どう行ったらいいのか……」
「……」
何度このやり取りをしただろう。
通行人に聞こうと話し掛けても、誰もが無視して相手にしてくれない。
東京の人間は何と冷たい事か。
これだけ駅構内を探してないのだ。
別のところから行くのかもしれない。
渋谷駅を出ると、一定の距離を保ちながら列を作っている集団が見える。
その内の一人が声を掛けてきた。
「あなたの幸せの為に一分祈らせて下さい」
「はあ? それよりたまプラーザは?」
「あなたの幸せの為に一分間まずはお祈り……」
「おい、この野郎!」
「は、離して下さい!」
気が付けば俺は胸倉を掴んでいた。
「幸せを祈るなら、たまプラーザまでの行き方を教えろ!」
「いえ…、あのー……」
「俺の幸せを本当に考えるなら、たまプラーザへの行き方を教えてくれって!」
その剣幕に押されたのか宗教活動家は、親切に道案内してくれた。
JR渋谷駅から出て少し歩いたところに地下へ降りる通路。
ここからたまプラーザには行けるようだ。
東急田園都市線……。
一度渋谷駅を出て、別の線に乗り換えなくてはいけないなんて、初めての俺に分かるはずもなかった。
無知な俺はそんな事すら知らない状況。
「お陰で幸せになれたよ、ありがとう!」
俺は地図を頼りに全日本プロレスの合宿所へ向かう。
玄関のチャイムを押す。
しばらくして渕さんが出てきた。
俺の顔を見るなり怪訝な表情で「何をしに来たんだ? 社長から来なくていいと言われたろ」と怒鳴られる。
必死に弁解した。
しかし門前払いだった。
当たり前だよな。
来るなと言われたのに勝手に押し掛けただけ……。
「……」
蜘蛛の糸など、どこにも垂れていない。
うん、やるだけはやった。
でも駄目だった。
さて、どう死ねばいいだろうか?
項垂れたまま帰ろうとした時、奥から一人の大男が出てくる。
「いいじゃない。せっかく来たんだからとりあえず入れてあげようよ」
大男はあのジャンボ鶴田だった。
不満そうな渕さんを横に僕が見るからと、説得するジャンボ鶴田。
練習できる格好になるよう指示される。
バックにはTシャツやトレーニングウエアが入っているので着替えた。
テレビでしか見た事のないプロレスラー。
思えばこの人と三沢光晴の戦いを見て、この団体を選んだ。
遥か雲の上の存在。
そんな人の視界に今、俺は立っている……。
他のレスラーがいる中、合宿所のリングに上がった。
明らかにみんな俺より身体が大きい。
テレビで見た秋山準の姿もいた。
見て一番衝撃的だったのは小橋建太の肉体だった。
まるで肉の鎧を纏っているかのような大きさ。
レスラーってこんなに大きいものなのかとカルチャーショックを受ける。
いかに自分が井の中の蛙大海を知らずだったのか。
すべてに圧倒される中、ジャンボ鶴田によるトレーニングが始まる。
腕立て伏せ、腹筋、スクワット各百回を十セット。
もちろん休憩時間は無し。
「僕がね、休憩時間をあげないと思っているでしょ?」
「そ、そんな事思っていません!」
「ちゃんとね…、腕立ての時は腹と足の筋肉。スクワットの時は腕と腹の筋肉に休み時間をあげているんだよ」
「……」
いやいや、俺動きっ放しだからと言いたかったが、こんな偉大なるレスラーに何も言えず、歯を食いしばりながら回数をこなすだけに撤した。
次にリングのコーナーを背に両脇のロープを掴んで身体を浮かせる。
その体勢で両足を上に持ち上げる足上げ腹筋。
俺ってこんなに体力無かったのか?
緊張からなのか、いつもの調子が出ない。
コーナーの上に乗り、そのままリングへ向かって飛び降りる。
簡単に言えば、トップロープの高さからただの自爆行為。
背中でうまく受け身を取ろうが回数を重ねる内に、皮がすり減り血が滲んできた。
いつまでこんな事が続くんだ?
自衛隊でのシゴキが軽く感じるほどだった。
エプロンサイドに首だけ出して、上から鶴田さんがタオルを被せ力を入れて押さえてくる。
「はい、この状態で首を持ち上げて」
身体の向きを変え、上下左右に百回ずつ。
途中で首にまるで力が入らなくなる。
赤ん坊の首の座らない状態、正にそんな感じだった。
「レスラーはジャーマンやるのも首鍛えてないとできないからね」
力を加減してくれていても、首がもげそうに感じる。
それ以外にも様々で過酷なトレーニングは続く。
レスラーがよくロープへ飛ばし戻ってくるロープワーク。
まるで鋼鉄の棒へ向かって自ら背中を叩きつけたような固い感触。
え、ロープってこんな痛かったの?
気付けば俺の足は痙攣し、立つ事さえできなくなっていた。
「うーん、まだまだ体力不足だなあ」
「……」
足を引かれ、リングのエプロンサイドへ出される。
かろうじて振り向き眺めた。
先輩レスラーの泉田さんが俺を担ぎ、リングから降ろそうとしているところだった。
風呂場へ連れてってもらい、大の字に寝転がる。
「足が釣っちゃっているなあ。初日じゃレスラーのトレーニングはキツいよな。ちょっと我慢して待ってな。もうちょっとで楽になるからさ」
丹念にマッサージをしてくれる泉田さん。
少しずつ緊張していた身体が楽になり、再び動けるようなる。
「せっかくだから風呂入って身体を温めてからきな」
「すみません…、色々とありがとうございました……」
四人ぐらいは一度に入れそうな大きな浴槽へ一人入る俺。
少し温度はぬるく感じたが、贅沢など言える身分ではない。
自分で鍛え抜いたという自負だけはあった。
しかしそれがプロの世界では話にならないという惨めさも痛感した。
まだ背があり体重が重ければいいが、体格でも最下位。
はなっから話にならないじゃん、俺って……。
湯に浸かったまま俺は泣いた。
風呂から出てリングのあるトレーニング場へ向かう。
まだレスラーたちはトレーニングをしていて、泉田さんは突然立ち上がり外へ行くとゲーゲー吐き出した。
「昨日飲み過ぎちゃったよー」
「え……」
吐くだけ吐くと、泉田さんはまたリングの上に戻り、腕立て伏せの続きを始め出す。
一体何なの、この人たちは?
俺は圧倒され、目の前の光景をボーっと眺める事しかできなかった。
気付けば自分の中で先輩レスラーたちをさん付けで呼んでいる事に気付く。
全員がトレーニングを終え、ちゃんこ鍋を作る準備に掛かっても、小橋建太さんだけは黙々トレーニングを続けている。
だからあの人は、あんな大きな身体を維持できているのか……。
秋山準さんが「今日は初日だからお客さん扱いだ。先に食え」と座らせてくれた。
四人掛けテーブルには左にジャンボ鶴田さん、右に渕さん、そして対面には先程トレーニングを終えたばかりの小橋さんが座る。
これ、プロレスオタクなら発狂するような面子だなと思った。
夢のような時間の中、俺はちゃんこ鍋を勧められる。
テーブルの真ん中にはくり抜かれた穴があり、そこへ鍋を置いて直に火がつけられるようガスが通ってあった。
大きな金物の鍋を持って泉田さんがテーブルの上に置く。
タッパに入った味噌を渡される。
ジャンボ鶴田さんが「ちゃんこ鍋にはこの味噌ダレをこうやって入れて食べるんだよ」と言いながらフーフーしていた。
「うん、旨い!」
真似して食べてみると、格別な旨さのちゃんこ鍋だった。
おそらく俺は、この味を生涯忘れる事などないだろう。
夢のような時間は終わるのも早い。
やるだけやった。
でも力及ばず。
自身の限界を知ったのだ。
頭を下げて合宿所を出ようとした時だった。
玄関で見送りに来てくれたジャンボ鶴田さんが口を開く。
「まだ線も細いけど、力もあるし勿体ない。また来年になるけど、またプロテストからおいでよ」
「……」
「もうちょっと体重を増やさないとな」
「はい……。鶴田さん…、ありがとうございました……」
誠心誠意頭を下げ、ジャンボ鶴田さんにお礼を伝える。
気付けば土下座をして何度も頭を下げていた。
「おいおい……」
この瞬間、心の底からこの人が俺の師匠なんだと固く誓う。
この人によって俺は救われたのだ。
夢のような一日を終え、地元川越に戻る。
全身がガタガタだった。
これまで応援してくれた大半の人は、手のひら返しで罵倒された。
当たり前だ。
仕方ない。
すべては自身が招いた不徳なのだ。
丁重に謝罪し、また茨の一年間を過ごす決意をする。
あの人に言われたのだ。
俺は諦める訳にはいかない。
またあの世界を目指してみようじゃないか。
ジャンボ鶴田師匠と接してみて、痛感したのは人間的な器の大きさ。
心の底から尊敬できる人。
あのようになりたいが、今の自分では無理なのは自覚できた。
元々備わっている器が違い過ぎる。
日々トレーニングして身体を大きく。
そして親指の鍛錬。
いつか編み出した打突を使う日が来るまで……。
