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闇 436(2017年の終わり編)

闇 436(2017年の終わり編)

2025/12/26 fry
前回の章


二千十七年十二月二十五日、月曜日赤口。

復活した野良猫ニャーニャーたちとの絆。
あれだけ俺を認識し慕っているのだ。
甘いと言われるのだろうけど、俺にあの子たちを見捨てる事などできぬ。

仕事を終えると一目散に駅へ向かう。
途中携帯電話が鳴る。
伊達からだった。

今の井村系列のインカジの愚痴を聞いてもらいたいようだ。
これから真っ直ぐ帰って猫に餌をあげたいと正直に伝えると、終電までには間に合うようにと懇願してくる。

まあ俺も今のラッキーハウスの愚痴を分かるのは、伊達ぐらい。
仕方なく付き合う事にした。

とりあえず腹が減っているというので安めの焼肉屋へ入る。

2017/12/25 焼肉

「今の店は番責とか位が上がらないと、何年いても給料一緒なんですよ」
「今、一日いくらなんです?」

「十二時間で一万四千円です」

それだと今の俺の給料より千円低い。
肉をさらに追加注文しながら話を聞く。

「ただ番で交代交代で八時間で上がる日は作っているんですけどね」
「ん? どういう事です?」

「今全員で三人いるんですけど、誰も休まなきゃ開始は四時間遅れで出勤するのを一人、そのあと四時間早上がりを一人ってできるんですよ」
「でも、それだと店が忙しい時はマズくないですか?」

「あの店本当に暇ですからね。だからみんな本当に用がない限りは、なるべく休まないようにしているんですよ」
「八時間の時、給料はいくらになるんですか?」

「変わらず一万四千ですよ。給料上がらない代わりに、時間でそのぐらい調整しようと」

八時間で一万四千円なら、そこそこ率はいいか。
でも伊達の店の方法だと、必ず一人は誰かが十二時間やらないといけない計算になる。

「十二時間は誰がやるんです?」
「だからその辺は、本当に順番ずつですよね。早出で出勤したら次は十二時間働いて、最後に四時間早く帰るって順番でやっていけば、店自体は回るんで」

実際に自分がそういったシフトで働いた訳ではないので、何とも言いようがなかった。
伊達にしても自身の現状の遣る瀬無さを聞いてもらいたいだけで、何かいいアイデアを求めている訳ではない。

終電の時刻が近付いたので帰ろうとすると、焼肉代もすべて彼が払いもう一軒付き合えとしつこかった。
仕方なく根負けし、二軒目も付き合う。
これで新宿へ泊まり決定。

今日は猫たちへ餌をあげられなかったなあ。

クリスマスの夜に四十過ぎの男二人で酒を飲み歩く。
あまりいい見栄えではない。

結局三軒目を出て、伊達はタクシーを拾い帰る。

一人になると、去年の今頃谷原愛穂は飛び降り自殺をしたのかと思い出し、身震いした。
方向は自然とゴールデン街へ向かう。
けいこの顔を無性に見たくなったのだ。

しかし強飲まで行くと別の女が出勤していて、彼女は休みのようだ。
俺は大人しくサウナへ入り明日へ備えた。


二千十七年十二月二十七日、水曜日友引。

いよいよ明日が今年最後の競馬のホープフルステークス。
しかし強引に木曜開催というところが、JRAのセンスの無いところ。
一年の締めは、例年通り有馬記念にしとけばいいものを……。

GⅢでもGⅡでもないただのオープンを今年からGⅠへ格上げしましたじゃ、競馬をする人間からすれば何でいきなりと思ってしまう。
不満を抱きつつも馬券を買おうとする俺は、さらに愚かだ。

競馬の連敗に続き、間に蒲田横浜での散財が響いているので派手に賭けられない。
ここを当てないと、惨めな年越しになりそうだ。

俺は真剣に出馬表を眺める。
二歳の牝馬牡馬混合レース。

中山二千メートル経験ある馬の数字をピックアップしていく。
9番のサンリヴァルを軸に、1-2-7-12-13。
軸馬が来ないと、すべて外れるけど……。

まあこの時期このレースに出す二歳馬なんて、何が来てもおかしくないし、馬連で万馬券すらありそうだ。
いっその事誕生日あやかるのもいい。

9-1-3の三連複と三連単にまず千円ずつ。
三連単配当が九千三百五十四・六倍。
三連複だと千五百七十八・四倍。
当たればこれの十倍になるから凄まじい金になる。
しかしさすがにないだろう。

この日は予想のみに撤して大人しく川越へ帰る。
埼玉りそな銀行の駐車場で野良猫ニャーニャーたちのお出迎え。
いつものように餌を買い与え、明日に備えた。

二千十七年十二月二十八日、木曜日先負。

出勤すると、ラッキーハウスは三十日から一月三日まで正月休暇で店を休むらしい。
今年も今日と明日出れば仕事納めとなる。

三十日の朝、叙々苑で忘年会をやるらしく、俺はその為だけに早朝新宿歌舞伎町へ来なければならない羽目になった。
二十九日出勤の遅番の仕事終わりが朝になるので、そのタイミングしかないらしい。

忘年会で新宿へ来る事は構わない。
しかしその時間帯に決めた店長である香川の卑しさがムカつく。
夕方や夜に開始なら分かる。
自分たちの仕事終わりに合わせて朝というのが舐めているのだ。

最初に夕方からと指定し、それを俺たち早番がそれじゃ大変だから朝にしてもいいですよというのが、人としての常識の手順じゃないだろうか?
早番の責任者である橋本はその辺何も言おうとしないイエスマン。
つまりラッキーハウスは香川の傀儡の店に過ぎない。

とりあえず昨日決めた誕生日馬券を購入する。

2017/12/28 ホープフルステークス三連複馬券

三連単も当たれば三連複もなので、今のところのオッズだと一千万円超えになるのだ。
さすがにそううまくは行かないだろうが、もし本当に来たらウヒヒと大笑いしてやろう。

2017/12/28 ホープフルステークス三連単馬券

さて、ここからが本当の予想開始。

今日はホープフルステークス当日。
見れば見るほど、何か本線が7-9のような気がしてきた。

2017/12/28 ホープフルステークス出馬表

7番タイムフライヤー、9番サンリヴァル。
そして13番のステイフーリッシュ
この目を中心に、俺は馬券を買い始めた。

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