地元愛って、あたりまえだけどあたりまえじゃない
「地元愛って、なんだろう?」
そんな問いを投げかけられたとき、私たちは少しだけ言葉に詰まってしまいます。
好きだと言い切るには照れくさく、かといって無関心ではいられない。
多くの人にとって「地元」とは、あまりにも近すぎてピントが合わない、不思議な存在なのかもしれません。
世代を超えた「本音」の対話
令和6年度、いわきアカデミア成果報告会の第3部で行われた交流会。
そこに集まったのは、制服姿の高校生、キャンパスライフを謳歌する学生、そして、いわきで働く社会人たちです。
いわきアカデミアでは、「子どもたちの郷土愛を育て、人財の全体的な底上げを図る」ことを基本理念の一つに掲げています。
世代も立場もバラバラな彼らが挑んだのは、地元愛をテーマにした「本質観取」。個人の体験談を出し合い、その事柄に共通する本質を導き出す哲学的対話です。
言葉の表面をなぞるのではなく、心の奥底に沈んでいる「本音」を出していきました。

グループに分かれて語り合った結果、あるグループが導き出した言葉。
「地元愛って、あたりまえだけど、あたりまえじゃない」
矛盾しているようで、どこか真理を突いたこの言葉。
実は、皆さんが読んでいるこのいわきアカデミアnoteのヘッダー画像の言葉です。
この記事では、その言葉の裏側にある物語を少し紐解いてみたいと思います。
まちがもつ「包容力」
対話の中で、多くの参加者がまず口にしたのは、いわきというまちが持つ「包容力」についてでした。
あるグループは、地元は自分たちを包み込んでくれる「安心な巣」だと表現しました。
生まれたときからそこにある山並み、水平線まで続く海。
それらは、意識して「見る」ものではなく、ただ「そこにある」のが当然の風景です。

別のグループは、旬の魚を味わうことや、風の匂いで季節を知る「自然との関わり」の中に、「おいしい、あたたかさ」という地元愛の根源を見出しました。
そんな何気ない日常の断片が、私たちの心に「安心感」という名の根を張らせているのです。

また、誰かにとって、このまちは「青春、初恋」の記憶が刻まれた出発点でもあります。
初めてのデート、挫折した日、そして「このまちを出たい」と願ったあの日。
すべての「最初」を包み込んでくれたこの場所は、たとえ一度離れたとしても、いつでも帰ってこられる場所として、私たちの無意識の中に存在し続けています。

揺れ動く心と、未完成な「原石」への眼差し
しかし、対話は温かい思い出話だけでは終わりませんでした。
むしろ、そこから漏れ聞こえてきた「葛藤」こそが、今回の対話の核心でした。
あるグループは、いわきをあえて「中途半端なまち」と呼びました。都会のような輝きがあるわけでも、かといって何もないわけでもない。
そんな曖昧さに、高校生たちは時に苛立ち、物足りなさを感じています。
「もっと面白い場所があるはずだ」と外の世界に目を向けることは、若さゆえの健全な生命力でもあります。

けれど、別のグループは、その中途半端さを「まだ飛び抜けたものがない原石」だと定義したのです。
完成されていないということは、自分たちが手を加える「余白」があるということ。
誰かが用意したエンターテインメントを楽しむのではなく、自分たちの手でこのまちを面白くしていく。その余白こそが、本当の価値なのではないか―。
そして、「いわきの“宝”に気づくこと」と導きました。
受動的に愛されるのを待つのではなく、自らの視点を変えて、足元に転がっている石の中に光を見出そうとする、能動的な意志が込められていました。

あたりまえだけど、あたりまえじゃない
対話の終盤、あるグループから発表されたのがあの不思議な言葉です。
「あたりまえだけど、あたりまえじゃない」

毎日繰り返される朝、変わらない通学路、道端で交わされる挨拶。私たちは、それらを「永遠に続くもの」だと思い込み、空気を吸うように「あたりまえ」として消費しています。
けれど、本当はどれひとつとして、あたりまえなことなんてありません。
このいわきの産業を支えてきた先人たちの歴史、風景を守り続けてきた人々の手触り、そして今、ここで新しい挑戦を始めようとしている人たちの熱意。
そのすべてが複雑に絡み合い、奇跡のようなバランスで「日常」が保たれているのです。
地元愛とは、特別な何かができることではありません。
この「あたりまえ」の裏側にある、無数の「あたりまえじゃない努力や想い」に気づき、そこに自分なりの「つながり、誇り」を見出すこと。
その瞬間に、ただの「住んでいる場所」は、自分という人間を形作る「ふるさと」になるのではないでしょうか。


写真を通じて、あなたの「いわき愛」を
この哲学的対話を通じて、いわきアカデミアでは「地元愛」という目に見えない感情を言葉にしようと試みました。
けれど、この愛おしさは、時に言葉だけでは語り尽くせないこともあります。
そこで、いわきアカデミアでは、今年度の成果報告会にて実施する新しい試みを企画しました。
テーマは「写真で繋がるいわき愛」です。
言葉にするのが難しい、あなただけの「あたりまえだけど、あたりまえじゃないいわき」。
それを一枚の写真として持ち寄り、その裏側に隠されたエピソードを語り合いませんか?
お気に入りの海の色、部活帰りに見た夕焼け、家族と囲んだ食卓、あるいは、自分だけが知っている秘密の路地裏のお店。
あなたが切り取った景色には、きっとあなただけの「お気に入りのいわき」が写っているはずです。
写真を見せ合い、記憶を共有することで、私たちが愛するいわきの輪郭は、さらに鮮やかに、より深く描き出されていくはず。
あなたにとって「お気に入りのいわき」は何ですか?
いわきアカデミア成果報告会で、皆さんの大切な「一枚」に出会えることを楽しみにしています。
いわきアカデミア成果報告会
日時:令和8年3月26日(木)
午後1時~午後4時30分
(開場:午後12時30分)
場所:いわき産業創造館 企画展示ホールA+B
(いわき市平字田町120 ラトブ6階)
開催形式:会場及びオンライン(Zoom)によるハイブリッド開催
※オンライン配信は、第1部・第2部の高校生・学生発表のみ
対象者:
①いわき市内の高校、高等専門学校、大学(大学院)、短期大学等の学生・教職員
②いわき発見ゼミ、探究カフェ及び大学生地域実践ゼミの見学受入れ等の企業の社員
③いわきアカデミアの事業に興味をお持ちの方(市民・企業等)
定員:会場100名、オンライン100名
申込み手続き:下記のURLより、観覧者の必要情報を入力のうえお申込みください。
※一般観覧受付開始日は、令和8年3月4日(水)からです。
【応募フォームURL】https://logoform.jp/form/NczP/1375011


