令和8年度 日本語教員試験 応用試験 【読解】予想問題10セット【全600問・完全解説】
はじめに
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予想問題集
令和8年度日本語教員試験応用試験【読解】予想問題①
プレミアムPDF
問題1:言語習得と指導法(フォーカス・オン・フォーム)
A 第二言語習得における指導法には、様々なアプローチが存在する。伝統的に行われてきたのが「フォーカス・オン・フォームズ(Focus on Forms: FonS)」である。これは、あらかじめ設定された文法項目(シラバス)に基づき、学習者がその形式(Forms)を明示的に学び、練習(ドリル)を行う指導法である。例えば、「今日は『可能形』を勉強します」と宣言し、活用の練習や文型練習を集中的に行う授業がこれにあたる。
B 一方、コミュニケーション能力の重要性が認識される中で、「フォーカス・オン・フォーム(Focus on Form: FonF)」というアプローチが注目されている。これは、FonSとは異なり、授業の主目的を文法学習に置かない。学習者は、まず意味の伝達を主眼としたコミュニケーション活動(タスク)に取り組む。教師は、その活動の流れを止めない範囲で、学習者が産出した誤りや、表現に詰まった箇所など、学習者の注意が自然と「ある特定の言語形式(Form)」に向いたタイミングを捉え、そこで短時間、言語形式への「気づき」を促す(例:さりげない訂正、ヒントの提示)。文法を「教える」のではなく、学習者が「気づく」のを助けるアプローチである。
問1 文章中の「フォーカス・オン・フォームズ(FonS)」の授業例として最も適切なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
学習者が「日本の漫画」について自由にディスカッションしている。
学習者が「昨日、私は友達と映画を見ました」と言った間違いを、教師が即座に訂正した。
教師が「『〜なければなりません』の活用練習をします」と言い、全員でリピートさせた。
学習者がロールプレイで使う語彙がわからない時、教師がその都度単語を教えた。
問2 文章中の「フォーカス・オン・フォーム(FonF)」の考え方として最も適切なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
文法はコミュニケーションの妨げになるため、一切指導するべきではない。
意味の伝達活動の中で、必要な文法に学習者が気づくよう、教師が支援する。
学習者が間違えるたびに活動を中断し、文法説明の時間を設けるべきである。
正しい文法を習得するには、まずドリル練習を完璧に行うことが不可欠である。
問3文章中の「FonF」における教師の具体的なフィードバック(介入)として最も適切なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
学習者がロールプレイ中に「昨日、寿司が食べれます」と言った際、教師が「(食べられます、ね)」と小声で正しい形を提示した。
学習者が「食べれます」と言った瞬間、教師が活動を止めさせ、「『ら抜き言葉』は文法的に間違いです」と全員に説明した。
学習者が「食べれます」と言ったが、意味は通じたので、教師は何も指摘せずに活動を続けさせた。
学習者が「食べれます」と言ったので、次の授業で「可能形」のドリルを1時間行うことにした。
問4 FonFは、どのような学習者のニーズや学習状況において、特に有効性が高いと考えられるか。次の1~4の中から最も適切なものを一つ選べ。
文法知識は豊富だが、実際の会話(流暢さ)に課題がある学習者。
日本語の文法知識が全くゼロで、体系的な知識を求めている初学者。
意味の伝達よりも、試験のために文法知識の暗記だけをしたい学習者。
コミュニケーション活動を嫌い、一人でドリル学習だけを続けたい学習者。
問5 FonSとFonFに関する記述として最も適切なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
FonSは文法を重視し、FonFは意味だけを重視するため、FonFでは文法を一切扱わない。
FonSは教師が計画した文法を教え、FonFは学習者の必要性に応じて文法に注意を向ける。
FonSは中級以上、FonFは初級の学習者に向いている指導法である。
FonFは伝統的な指導法であり、FonSは比較的新しい指導法である。
【解答・解説】
問題1:言語習得と指導法(フォーカス・オン・フォーム)
【解答】 問1:3 問2:2 問3:1 問4:1 問5:2
【解説】
問1 文章Aの「フォーカス・オン・フォームズ(FonS)」は「あらかじめ設定された文法項目」「ドリル練習」と説明されています。これに合致するのは「3. 『〜なければなりません』の活用練習をします」です。
問2 文章Bの「フォーカス・オン・フォーム(FonF)」は、「意味の伝達活動の中」で「学習者の注意が向いたタイミング」に「気づきを促す」と説明されています。これは「2. 意味の伝達活動の中で、必要な文法に学習者が気づくよう、教師が支援する」という説明と合致します。
問3 FonFの具体例です。文章Bの「流れを止めない範囲で」「短時間」「気づきを促す」という記述に最も近いのは「1. (食べられます、ね)と小声で正しい形を提示した(=リキャスト)」です。2は「活動を中断」しており、FonSに近いです。3は「気づき」を促していません。
問4 FonFは、意味の伝達(流暢さ)に重点を置いた活動の中で、正確さ(形式)に注意を向けるアプローチです。したがって、流暢さはある程度あるが正確さに課題がある学習者、または文法知識はあるが会話で使えない学習者(1)に特に有効です。
問5 文章A(FonS)は「教師が計画した文法」、文章B(FonF)は「学習者の(活動中の)必要性に応じて」文法に注意を向ける、という対比が本文に書かれています。よって2が正解です。
【要点整理】
1. 言語習得と指導法(フォーカス・オン・フォーム)
FonS(Focus on Forms): 文法項目を明示的に学び、ドリル練習を行う指導法。例: 「今日は『可能形』を勉強します」と宣言し、活用や文型練習を集中的に行う。
FonF(Focus on Form): 意味の伝達活動中に学習者が文法に気づくよう支援する指導法。例: コミュニケーション活動中に学習者が誤りを産出した際、流れを止めずに短時間で気づきを促す。
違い: FonSは計画的に文法を教える。FonFは学習者の注意が自然に向いたタイミングで文法に気づかせる。
適用場面: FonFは、文法知識はあるが流暢さに課題がある学習者に有効。
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