コント文学『善行と不倫』
友人がバスでお年寄りに席を譲った。
その夜、彼の不倫が妻にバレた。
友人が献血に行った。
その夜、彼の不倫がまた妻にバレた。
友人が雨に濡れた捨て犬を抱きしめて家に連れて帰った。
その夜、彼の不倫がまたまた妻にバレた。
友人が発展途上国のプロジェクトに参加し、現地の子供の為に学校を建設して帰国した。
その夜、彼の不倫がまたまたまた妻にバレた。
友人が株式投資で得た巨万の富の半分を全国の児童養護施設に寄付した。
その夜、彼の不倫がまたまたまたまた妻にバレた。
友人がトラックにひかれそうな少年を助けた。
命と引き換えに・・・
その前夜、彼の不倫がまたまたまたまたまた妻にバレていた。
悲しみの中、一つの疑問が浮かび上がる。
こういう場合ってさぁ・・・
善悪のプラマイゼロ?
いや、プラスだろ。
いやいや、やっぱマイナスか?
人として、男として、社会人として、そして妻帯者として・・・
彼は天国に行けたのか?
それとも地獄に落ちたのかな?
答えが有るか無いかも理解らないまま、僕は静かに眠りについた。
*
1年後。
彼の一周忌法要が終わった後、未だに答えが見つからない問いを友人の妻に投げかけた。
「天国か地獄か・・・彼はどっちに行ったと思いますか?」
「え?地獄一択!」
答え地獄一択でした。
