「推しの子」最終回でファンが荒れた理由を考える。
今回は読書感想文というか、一応ジャンプ+で連載開始から終了まで「推しの子」を見守った人間のひとりではあるので、つらつらと考えたことなどをざっと書いてみようと思います。
あっ、ああー、そっか、アクア、そうなっちゃうかぁぁ~!!!(複雑な想いを抱えてまんま複雑な表情になる我)
わりと多くの方が「こ…これは」となっている気もしますし、何でこうも複雑な気持ちになるのかを、個人的に色々と分析してみたいと思います。
めたくそネタバレしていますので、まだ最後まで読んでいない方はご注意下さい。
そもそもジャンルを「アイドル・芸能界お仕事もの」と思っているとしぬ。
「推しの子」は題名が示すように「推し」が出てくる話で、アイドルや芸能人のキャラがメインで出てくるストーリーです。主人公・アクアも俳優ですし、妹のルビーも母のアイもアイドル、例え本人が芸能人でなくても「芸能界で働いている・芸能に関わる仕事の人たち」が主な登場キャラクターです。
たぶん「アイドル・芸能界お仕事もの」として見ていた人も多いのでは?と。何やら小学生の女の子からのアイドル萌え的な視点での人気が高いとも聞きます。
でも、本質的には「サスペンス・復讐もの」なんですよね、この作品。
小学低・中学年の子供が無邪気に見るものではないな、と正直思いますね…。鬼滅ブーム時も思いましたが。わりと核のテーマはずっしり重いんですよ、この作品。
でも「アイドル・芸能界お仕事もの」としてウケてしまったところが多大にあった。それと、アクアを中心とした「恋愛もの」として見ている読者も多くいた。
そのため、キャラそれぞれを推しとして見る読者が多くて、「推しが芸能界で報われる話」、つまり「お仕事ものとしてトラブル解決しながらもキャリアアップする話」が求められていたり、「推しが恋愛的な意味で幸せになる話」が求められていたんじゃないかなと。
恋愛とか仕事だけでなく、友情とか家族愛でもですが、何らか「報われる推し」が求められていたのではと。
単純に「主人公の死」は見たくない派が多かった。
なのに、アクアが死ぬことで他キャラがガッツリと凹むため「何で私の推しが泣くような目に合ってんだオイ!つか、何でアクアを殺したよ!」と読者は思ってしまったと。
ただ、サスペンスや法的な感覚から考えて、「復讐でパパを殺しておいて自分は恋して芸能や医者の仕事してハッピーになる」というアクアのラストは無理なので、殺した以上は犯罪者として警察のお世話になるか死ぬしかないかな、というのはあるんだな。元は医者だし、倫理感もそれなりに働いただろうし。裁かれないのも問題だし。
でもこう、医者のお勉強をしたり芸能キャリアを積んでいたり恋愛について考えたり、「自分の未来を考える」という行動を一応やっていたアクアだったので、何とかこう、殺す以外の「アクアが死なず刑事罰も食らわないけど、カミキにとってはつらくてたまらない復讐」というのがあればよかったよな…みたいなことは思ってしまうよね。
生き伸びたからこそ逆に死ぬまで延々と苦しみ続けるカミキ、みたいな…。どっちも溺れて死にかけつつも助かって、でもカミキは他の事件(殺人教唆のみではいまいち弱いので、実際に手を下した片寄ゆら殺害の証拠が出るなど)も含めて警察の捜査が及んで正式に捕まって事件究明されて。
世間様にはとんでもなく騒がれるけど、それも何とか仲間たちと乗り越えて、最後はルビーの東京ドームでの大舞台のアイドル活動を優しい顔して見守って誰かしらときちんと相手を大事に付き合い始めて…みたいなアクアが求められてたんじゃないかなぁ。
いや、それはそれで推しカップリング戦争が勃発していたと思うんですが、まあ、うん…。笑。
何というか、あれだけ周囲に人がいたのに巻き込んだはずなのに、心配もされて愛されてもいたのに、結局最後は誰にも頼らずひとりで自分の手を汚す判断して死んでしまったアクアの、あの感じがですね。
姫川も、もっと双子と交流させてもよかった気がしますね…。苺プロの皆様含めてあの辺りの家族関係描写ももっと欲しかったような…。
ルビーを初めとする作中のキャラたちも読者も含めて「みんなアクアに気持ちを置いてけぼりにされたまま逝かれちゃった」感があって、それに傷ついた、そういうショックを味わわされた!みたいな読者も多いのでは…という気もしますね。
まぁそういう意味で重曹ちゃんがアクアを引っ叩きたくなる理由も分かる。「遺体を叩くのは冒涜だろ!」だというのも、まあそうです。色々と倫理観を刺激された展開だったんだなと。
それだけ読者にとってキャラの死が「リアルな人の死」の感覚に近くなってた、逆説的に「キャラが生きてた」ってことだとは思うんですが。
こう、「カミキに復讐する話とは分かっていたけど、アクアが殺して死ぬとは聞いてない!」みたいな。あとは「そもそも娯楽で読んでる漫画で死みたいな重いネタ見たくない。困難は後の報いのためにあるから許してるだけだし、報いがないなんて詐欺かよ!」派もわりと多いのかもしれない、とも思います。
何というか、これは私も一応小説を趣味で書いている身なので、自分の作品書いている際にも思うんですが。
そもそも「何か行動したのに報いがないことに対する読者=現代人の忌避感」が元々強めにあるんではないかなと。
「報われない展開」そのものが物語として嫌われるという、時代性の話なのかもしれません。
伏線とか謎とかまだ残っているのが気になる。
あとは細かいところになるんですが、「結局ツクヨミって何者だったんだ」というのは気になりますね。転生を操ったり知ってる意味深な人外なのかと思いきや、人として俳優としても活動できているし。
転生関連についてはあんまり詳細がないので、知りたかったなと。いや、知ったところで本編に深く絡むところでもないのかもしれないんですが、あんなホラー系意味深不思議少女みたいなノリで出てきておいて、お前…ただのわりと挑発に弱いチョロ幼女不思議ちゃんキャラか?みたいな。あとこの子、戸籍とか苺プロとの書類上の契約どうなってんだ?とか。
何かしら展開考えてたけどボツになったりしたんだろうか…。
いや、別にツクヨミの謎の力によって再転生して今度はアクアが死なないハッピーエンドなルートをやり直す、みたいなご都合主義展開でも私は全然よかったんですが。いっそ最近のなろう小説の時流に乗って死に戻ってやり直してくれてもいいんだぜ…?何かこの本編後悔ポイント多くて「バットエンドルート」感があるよね…。
あとはアイが残したビデオレターの具体的な中身とか。どうなんだろか。
それと、最終話の…ルビーがアクアが死ぬこと自体は苦しくとも最終的に受け入れるとして、でもそうしながらも何とかアイドル活動頑張って…みたいな、それをダイジェストでなく、20話とかかけてやってくれてもよかったんじゃないかな。
むしろそれをもってルビーの成長&ドーム公演フィナーレとする!みたいな、むしろここをクライマックスにして詳細に書くと、少しは「ルビーにとっては苦いけれどわずかな報い」感や「そんなルビーに励まされる形で遺された者たちも次第に心癒されていく」という優しめ読後感に近づいたかも、みたいなことは考えていますね…。
ここら辺の、アクアと大なり小なり関わってきた他の登場キャラたちの、それぞれの心の動きがもう少し詳細に欲しかったな。
いや、そこもっと詳しく(真顔)。
…というわけで、ジャンプ+で「推しの子」を終わりまで見続けた私の個人的な感想でした。最終巻のコミックスとかで何かしら追加のおまけエピソードなどあるかもしれませんが、ひとまずの感想です。
やっぱり、作品のジャンルを明確に示すって大事なことなんだな…。
あと、人によっては「復讐なんて忘れてアクアが仕事や恋をして一生幸せに全力をもって生きることこそを、最終的な『主人公としての心の成長』とする。ただし天罰的にカミキは社会的or現実的に死ぬ。清濁併せ持つ芸能界お仕事もの+キラキラ恋愛ものに徹する」みたいな展開の方がぶっちゃけ救いに感じた人もいるのかな~とか。
まぁそうはならないアクアだったし、作者様方お2人もそういう話にはしなかったわけですが…。
あとドラマ版のカミキがニノらしいと風の噂で聞いて、一応かつて某黄金期厨でもあった私は、めちゃくちゃ笑ってますね。あっ、ああ~!!笑。
何というか、存在感に「おい、おちょくっとんのかコラ」な、さも人を食ってるふうの特有の感じがとても出そうで、イイですね!(なんて感想だ)

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