「ねりきり」とは?実は関東と関西で少し材料や作法が違うのです
「上生菓子(じょうなまがし)」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶ、あの色鮮やかで繊細な形をした和菓子。
多くの方はそれを「ねりきり」と呼びますが、実はそこには、知るともっと美味しくなる「奥深い世界」が隠れています。
今回は、和菓子屋の娘である私が、意外と知られていない「ねりきり」の正体と、関東・関西で異なるその文化についてお話しします。
ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
「上生菓子」と「ねりきり」の違い、わかりますか?

まず、よく混同されがちなこの二つの言葉。
簡単に言うと「ねりきり」は「上生菓子」というカテゴリーの中の一つの和菓子というイメージです。
上生菓子は、和菓子の中でも特に手間暇をかけ、季節の移ろいを表現した「芸術品」に近い存在。
その中には、お餅を使ったものや、寒天で固めたものなど色々ありますが、その代表格が「ねりきり」なのです。
でも、ここからが面白いところ。
実はこの「ねりきり」
東と西で作り方もルーツも違うってご存知でしたか?
関東の「ねりきり」は、しっとり、とろける。
関東で主流なのは、その名の通り「ねりきり」。
白餡に「求肥(ぎゅうひ:お餅の生地)」などのつなぎを加え、火にかけてじっくり練り上げたものです。
特徴は、なんといっても「しっとりとした質感」と「口溶けの良さ」。
水分量が多く、口に入れると餡の甘みがスッと広がります。
繊細な細工がしやすいため、ハサミで花びらを作る「鋏菊(はさみぎく)」のような、職人の技巧が光る華やかな造形に向いています。
関西の「こなし」は、もっちり、力強い。
一方、京都を中心とした関西で「ねりきり」的なポジションにあるのが「こなし」というお菓子です。
白餡に「小麦粉」などを混ぜ、一度蒸し上げてから、さらに手でもみこなして作ります。
こちらは「ねりきり」に比べて「弾力」があり、少しもっちりとした食感。
蒸し上げる工程が入るため、独特の風味とコシが生まれます。
細工も、繊細さよりは「抽象的で凛とした佇まい」を得意とする、文化の深さを感じさせる仕上がりになります。
最高の和菓子を創りたい
私が育った環境では、これらは「当たり前」の景色でした。
でも、いざオンラインで全国の上生菓子を眺めてみると、この「ねりきり」と「こなし」の差が、お取り寄せ体験における「納得感」に大きく関わっていることに気づいたのです。
「しっとり甘いものを期待していたのに、意外としっかりした食感だった」
「届いた時に少し乾燥している気がするけれど、これはもともとの作り(こなし)のせいかな?」
そんな、手に取るまでわからない「小さなギャップ」。
ここを言語化して、皆さんに伝えるのが私の役目だと思っています。
関東の「ねりきり」の儚さも、関西の「こなし」の気高さも、どちらも素晴らしい日本の文化です。
現在は物流や技術の発達により、関東の店でもこなしを作り、関西の店でもねりきりを作ることが一般的になりました。
「関東=ねりきりしかない」
「関西=こなししかない」
というわけではないので、解凍後の仕上がりはどちらが良いのかも含め今後研究していきたいと思っております。
皆さんは、しっとりとろける「ねりきり」派ですか?
それとも、もっちり噛み締める「こなし」派ですか?
ぜひ、次にお取り寄せをする時は、そのお店がどちらの流派なのか、少しだけ気にしてみてください。
きっと、いつものお茶の時間がもっと深くなるはずです。
和菓子屋の娘
