住宅ローンが残る自宅、離婚したらどうなる?——共働き夫婦の「ペアローン」の落とし穴
「家のローン、どっちが払うの?」という不安
離婚を考え始めたとき、多くの方が真っ先に不安になるのが「家」のことです。
練馬は、子育て世帯がローンを組んで戸建てやマンションを買うことの多い街です。だからこそ、「ローンがまだ30年残っている」「私はこの家に住み続けられるの?」「出ていったら払わなくていいの?」という悩みが絶えません。
この記事では、住宅ローンが残る自宅がある場合の離婚で、何が問題になり、どう考えればよいのかを整理します。
結論:「名義・ローン・住む人」の3つがズレると問題が起きやすい
先に結論です。住宅と離婚の問題は、次の3つの要素で整理すると分かりやすくなります。
家の名義(登記上の所有者は誰か)
ローンの名義(誰が銀行にお金を返す義務を負っているか)
実際に住む人(離婚後、誰がその家に住むのか)
この3つが一致していれば、話は比較的シンプルです。問題は、離婚によってこの3つがバラバラになるとき。たとえば「名義とローンは夫、住むのは妻と子ども」という形は、一見よくある解決に見えて、実は将来のリスクを抱え込みやすいパターンです。
財産分与の基本と「オーバーローン」
財産分与とは
離婚のとき、夫婦が結婚後に築いた財産は、原則として2分の1ずつ分けます。これを財産分与といいます。名義がどちらか一方でも、結婚後に買った家は基本的に分与の対象です。
家の価値はどう計算する?
住宅ローンが残る家の「価値」は、ざっくり言えば 「今売ったらいくらか(査定額)− ローン残高」 で考えます。
査定額がローン残高を上回る(アンダーローン)なら、その差額がプラスの財産として分与の対象になります
査定額よりローン残高の方が大きい(オーバーローン)なら、家自体はプラスの財産とは評価されないのが一般的です
まずは不動産会社の査定とローンの残高証明を取り寄せて、自宅が今どちらの状態なのかを把握することが、すべての出発点になります。
具体例:ペアローンで戸建てを買った共働き夫婦のケース
イメージしやすいよう、架空の例でご説明します(実際の事案ではありません)。
共働きの夫婦が、練馬区内に4,500万円の戸建てを購入。夫2,700万円・妻1,800万円のペアローン(夫婦それぞれがローンを組み、互いに連帯保証する形)でした。5年後、離婚の話し合いが始まります。
妻は子どもの学校を変えたくないので、家に住み続けたい。夫は家を出て、自分のローン分は払い続けると言っています。一見まとまりそうですが、ここに落とし穴があります。
ペアローンを解消して妻単独のローンに組み替えるには銀行の審査が必要で、妻の収入だけでは通らないことも多い
組み替えができないまま離婚し、夫が途中で払わなくなれば、家は競売にかけられ、妻子は住まいを失うおそれがある
妻は夫のローンの連帯保証人のままなので、夫が滞納すれば妻に請求が来る
ペアローンは、買うときは「2人の収入でより良い家を」という前向きな仕組みですが、離婚のときには解消の難しさが一気に表面化します。共働きが多い今、練馬でも非常によくある悩みだと思います。
注意点:「夫が払い続けて妻子が住む」約束の危うさ
「家の名義もローンも夫のまま、妻と子どもが住み、夫が払い続ける」——養育費代わりとして、口約束でこの形にするケースは少なくありません。しかし、この形には次のリスクがあります。
夫の失業・再婚・心変わりなどで支払いが止まると、競売のリスクが妻子に直撃する
名義が夫のままなので、夫が家を勝手に売却・担保提供することも理論的には可能
何年も先まで続く約束なのに、口約束では強制する手段が乏しい
この形を選ばざるを得ない場合でも、少なくとも公正証書などの書面にして、支払いが止まったときの取り決めを明確にしておくべきです。もっとも、私の個人的な考えとしては、離婚後もその家に住まない人がローンを払い続けることには否定的です。そもそも売却してお金で清算する方が、将来のリスクを断ち切れる場合も多くあり、基本的にはそちらをおすすめします。
まとめ:感情より先に「数字」を確認しましょう
住宅と離婚は「名義・ローン・住む人」の3点セットで整理する
まずは査定額とローン残高を確認し、アンダーローンかオーバーローンかを把握する
ペアローン・連帯保証の解消には銀行の審査が絡み、簡単ではありません
「住み続ける」約束は、必ず書面化を。少なくとも口約束は危険です
家の問題は、離婚条件全体(財産分与・離婚後の養育費・離婚までの婚姻費用)と一体で設計する必要があり、個別の事情によって最適な形が変わります。当事務所は練馬駅から徒歩5分。「離婚するかまだ決めていないけれど、家のことだけ先に知りたい」という段階のご相談も歓迎です。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。税務(不動産の分与に伴う税金など)は税理士に、登記手続は司法書士にご相談いただく場面もあります。
