売上はなぜ、いつもブレるのか? 直販とアライアンスを同時に捉える RevOps 2.0 という考え方
本投稿は #パートナーマーケティングnoteリレー の一環として行われており、 PeopleX 関根さん、i-PRO 高本さんに続いて、3日目を担当させていただきます!
改めて自己紹介をさせてください。株式会社パートナープロップ 営業統括(VP of Sales)の磐崎友玖と申します。私は現在、ARR の最大化をミッションとして、営業部門の組織・仕組みづくり等に注力しています。
今回のアドベントカレンダーでどんな内容を書こうか悩みましたが、やはり同じ営業責任者の皆様からもご関心が高そうな「なぜ売上予測は外れるのか」というテーマを選びました。
なぜ売上予測は外れるのか
もちろん私も例外ではなく、頭を悩ませてきたテーマのひとつです。悩んだことがない営業責任者のほうが少ないのではないでしょうか。
売上予測が外れたとき、「入力の精度」や「営業の見立て」といったものが疑われます。私も例外ではなく、「更新が遅いこと」「粒度が荒いこと」と原因として、ルールを増やしたり、会議を増やしたりしてきました。
でも、何度やっても、どこかでズレる。現場は頑張っているし、数字も追っている。それなのに、期末になると突然重力が増す。ここでようやく気づくんですよね。これは努力不足の問題じゃない。そもそも“見えている売上”が偏っていて、その偏りの上に予測を積み上げているから、ズレて当然なんだ、と。
この記事では、「なぜ予測が外れるのか」を、直販だけで完結する世界観からいったん外に出して、直販とアライアンスを最初から同時に扱う RevOps の発想として整理してみます。さらに、実際にこの考え方に近い運用で成果を出している事例も織り込みます。
予測が外れる会社に共通する “見え方” の偏り
売上予測が外れやすい会社は、共通して「見えている範囲だけで予測している」状態に陥っています。直販の案件は CRM に入るので、金額も進捗もそれなりに見える。ところが、パートナー経由の案件はどうかというと、共有が遅い、温度感が分からない、そもそも上がってこない、ということが普通に起きる。
この時点で、全社の予測は“直販の見え方”に引っ張られます。パートナー分は、最後に「期待値として足す」か、「去年の実績からざっくり係数をかける」か、どちらかになりがちです。これで当たるなら、逆にすごい。
さらに厄介なのは、ここで「入力をもっと徹底しよう」と言った瞬間、現場は疲弊し、パートナーは距離を取る、という悪循環が始まることです。予測を当てたいのに、当てるための行動が逆に情報の流れを悪くしてしまう。
これまでの RevOps が前提にしてきた世界
これまで多くの RevOps は、暗黙のうちに次の前提で設計されてきました。
売上の中心は直販
案件情報は CRM に集まる
フォーキャストは CRM を起点に作る
この前提は、直販が主要チャネルで、営業プロセスの再現性が高い企業では今でも機能します。問題は、この前提が当てはまらない企業が増えていることです。直販だけで伸ばすのが難しくなり、アライアンスや代理店が売上の重要な比重を占め始めているのに、見方だけが更新されない。

ここで起きるのは、「売上は複線化しているのに、観測は単線のまま」という状態です。観測が偏っている限り、予測はブレ続けます。
直販が強い会社ほど、逆に気づきにくい
ちょっと皮肉なんですが、直販が強い会社ほど、このズレに気づきにくいことがあります。なぜなら、直販の数字がある程度当たってしまうから。だから「予測が外れるのはパートナー側が見えないからだ」と結論づけがちになる。

しかし、大切なポイントがあります。パートナーが見えないのは“パートナーのせい”ではなく、“見えるように設計されていない”だけです。しかも、直販と同じやり方を押し付ければ押し付けるほど、距離は開きます。代理店に「CRMに入力してください」は、たとえば現場に「日報を分単位で書いてください」と言うのに近いのです。
RevOps とは何か?
そこで考えたいのが、「売上を伸ばすためのオペレーション=Revenue Ops(以下、RevOps)」です。
そもそも RevOps は直販領域で発展してきた概念です。営業・マーケ・CSなど、売上に関わる部門がそれぞれ最適化すると、全体としてはズレが出ます。そこで、部門をまたいで“同じ指標・同じ見方”で動けるようにする。これがRevOpsの目的です。
ただ、ここで誤解が起きやすい。RevOpsは「営業の管理を強めること」でも「入力を徹底させること」でもありません。むしろ逆で、現場が前に進めやすくなるように、プロセス・役割・ツールを整えて、意思決定や営業活動を早くするためのものです。
RevOpsを一言で言い換えるなら、「予測と再現性を上げるための運用」です。売上は偶然ではなく、再現して作りたい。再現するには、過程が見える必要がある。過程が見えると、手を打つのが早くなる。結果として、フォーキャストの精度も上がる。ここまでがRevOpsの基本です。
そして重要なのは、RevOpsが扱うのは“ツール”そのものではなく、“ツールを含む運用”だということです。CRMを入れればRevOpsになるわけでもないし、ダッシュボードを作れば完了でもない。現場が動きやすくなり、データが自然に集まり、判断が早くなる。ここまで作って初めてRevOpsは機能します。
この前提に立つと、次の問いが自然に出てきます。
「直販の RevOps だけ整えても、売上全体の予測が当たらなくなってきたのはなぜか?」ここからが、RevOps 2.0 の話です。
RevOps 2.0:直販とアライアンスを「別物」にしない
ここで提案したいのが、RevOps 2.0 という発想です。言い換えるなら、「直販とアライアンスを最初から同時に扱う」こと。チャネル別に“別管理”するのではなく、案件の状態を共通の言葉で見ます。
見るべきは、たとえばこんな軸です。
営業担当者はそもそも何人いるのか?
それぞれの担当者は育てることができているか?
案件はどの段階あるか(発生〜提案〜合意〜受注)
どこで詰まっているか(ボトルネック) など
ここが揃うと、チャネルが違っても「同じ視界」で会話できるようになります。直販とパートナーで“管理方法”を同じにする必要はありません。ただ、経営判断に必要な“見え方”は揃える必要がある、という話です。

そもそも、パートナーは「案件登録以前」の状態にいることも多い
パートナーチャネルの話になると、どうしても「案件を入力してもらう」「進捗を更新してもらう」という議論になりがちです。でも、ここには大きな前提抜けがあります。
そもそもパートナーの場合、案件登録どころか、営業担当者にすら接点を持てていないことが多い。つまり、こちら側が「誰が動いているのか」「誰が売ろうとしているのか」を把握できていない状態が、普通に起きます。

ここが直販と決定的に違う点です。直販は少なくとも担当者がいて、案件が見える場所がある。一方でパートナーは、案件が“存在する”のに、こちらから見ると「誰に紐づいているのか」が見えない。結果として、案件を追おうとしても追えないし、予測に組み込もうとしても組み込めない。
だから最初にやるべきことは、入力をお願いすることではありません。最初のステップは、パートナー側の営業担当者をイネーブルメントすることです。
売り方が分かる
提案が作れる
次の一手が分かる
相談しやすい
成果が見える
この状態を先に作る。パートナーの担当者が動けるようになると、行動が増え、その行動の結果として情報が残るようになる。ここで初めて、可視化が現実になります。
逆に言うと、イネーブルメントがないまま「入力してください」とお願いしても、情報は増えません。入力が増えたとしても、現場の負担だけが増えて関係が弱くなり、最終的には何も残らなくなる。代理店チャネルで“入力徹底”が機能しないのは、気合いの問題ではなく、順番の問題です。

ここまで来ると、結論はほぼ自明です。パートナーの情報を増やしたいなら、「入力を増やす」のではなく、使われる理由を増やすことが肝です。
パートナーが日々の営業活動の中で、「これがあると助かる」「これを見れば進められる」と感じるものが先にある。そうすると、パートナーは自然とそこにアクセスするし、資料を使うし、学ぶし、相談も増える。そして、その行動の結果として、情報が残っていく。
ここが RevOps の本質だと思っています。データは集める対象ではなく、価値提供の副産物として残るもの。特に代理店チャネルでは、この順番を守れるかどうかが、可視化の成否を分けます。
CRM は直販向け。パートナーにはパートナーに特化したものを。
ここからツールの話に入ります。まず前提として、CRM は直販営業に最適化されています。案件管理、ステージ管理、活動管理、レポート。直販のための思想が詰まっている。一方で、代理店にとってそれが“使いやすいか”は別問題です。
だから、パートナーにはパートナー向けのツール(PRM)を選ぶべき、という結論は自然です。直販と代理店は、業務も動機も違うので、“同じ道具”で揃える必要はありません。
弊社の PartnerProp は、PRM 業界で多くの導入・評価をいただいています。ITreview では、「満足度」「使いやすさ」「導入・管理のしやすさ」など全部門で最上位の評価を取得しています。
ただし、ここで終わると危険です。ツールを分けた瞬間、次に来るのは「データの分断」です。
分断が起きると、フォーキャストは結局 “手作業” に戻る
直販は CRM、代理店は別ツール。こうなると、たいてい情報がサイロ化します。すると、フォーキャストを作るときに、結局こうなります。
代理店側の数字をスプレッドシートで集める
直販側と突合する
バッティングを人力で潰す
期末だけ頑張って合わせる
つまり、「当てたいのに、観測点が増えるほど不確かになる」状態です。これは RevOps の失敗です。
だから大事なのは、ツールを分けるかどうかではなく、API で連携できる前提で選ぶことです。目的は“データを移すこと”ではありません。“全体を見ること”です。
弊社パートナープロップでも、データのサイロ化を解消するために、直販・アライアンスを統合した RevOps を構築しています。

実際に RevOps 2.0 はどう作られているのか?
事例①:PeopleX社
PeopleX 社では、創業期からパートナーチャネルを重要な成長エンジンとして位置づけていましたが、課題は明確でした。
・誰がどこまで理解しているか分からない
・直販とパートナー、パートナー同士のバッティングが起きる
・結果として、案件が進みにくくなる
ここで行ったのは、パートナー向けの環境整備と、直販の CRM との連携を前提にした運用です。パートナー側には、学習・提案・共有がしやすい環境を提供しつつ、案件情報は CRM と連携させることで、直販・パートナーを分断せずに把握できるようにしました。
パートナー数が増えてもバッティングが起きにくくなり、代理店チャネルの生産性は 約2倍 に向上。現在では、売上の約3割がパートナー経由を占めるまでに成長しています。
ここで重要なのは、「同じツールを使わせた」わけではない、という点です。それぞれに合ったツールを使いながら、全体は一つの視界で見られるようにした。これが、RevOps 2.0 的な発想です。
事例②:freee社
freee 社の事例で象徴的なのは、「パートナー企業が何社あるか」ではなく、「実際に動いている人は誰か」に視点を切り替えた点です。
多くのパートナープログラムでは、「どの会社が代理店か」は把握できています。一方で、その会社の中で
・誰が担当者なのか
・その人はどれくらい理解しているのか
・今、動ける状態なのか
といった情報は、ほとんど見えていません。
freee 社でも同じ課題がありました。登録パートナーは多いが、実際にどの個人がどれくらい稼働しているのかが分からない。結果として、支援も属人的になり、どうしても後追いになる。
そこで行ったのが、パートナー“個人”単位での可視化とイネーブルメントです。学習コンテンツや情報提供を通じて「この人はいまどこまで理解しているか」「次に何をすべきか」が分かるようにした。その結果、支援すべき対象を絞れるようになり、わずか 2名・2か月で1,500件超の商談創出につながっています。
ここで重要なのは、入力を増やしたわけではない、という点です。
先に「動ける状態」を作り、動きが増えた結果として情報が溜まった。まさに、「自然と使われる → 情報が溜まる」を体現した事例だと思います。
2つの事例に共通すること
freee社とPeopleX社。業界もフェーズも異なりますが、共通している点があります。
それは、
・最初に入力を求めていない
・先にイネーブルメントと使いやすさを作っている
・結果として、情報が後から付いてきている
という点です。
データを集めることが目的になった瞬間、現場は離れます。逆に、現場が前に進める状態を作れたとき、データは勝手に溜まり始める。この順番を守れているかどうかが、RevOps が機能するかどうかの分かれ目です。

予測精度は「入力強化」では上がらない
売上予測が外れたとき、つい「入力が足りない」「更新が遅い」と考えてしまう。でも本当の問題は、現場の努力ではなく、見ている世界がもう現実に合っていないことだと思っています。
売上が直販だけで完結しない以上、直販とアライアンスを分けて見ても、全体の予測は当たりません。必要なのは、管理を強めることではなく、現場が自然と動ける状態を先につくることです。
入力を求める前に、イネーブルメントを。可視化を目的にせず、使われる価値を先に置く。その延長線上に、初めて“当てにいける売上予測”があると思っています。
RevOps 2.0 について話しませんか?
ここまで読んでくださった方と、「これからの売上を、どう見ていくか」という観点で、RevOps 2.0 について話せたら嬉しいです。
直販とアライアンスをどう同時に捉えるか。
入力に頼らず、自然と情報が集まる状態をどう作るか。
それぞれの事業フェーズに合わせた“次の一手”は、きっとあります。
これからの成長を前提にした整理の時間として、RevOps 2.0 をテーマに対話できればと思っています。お気軽にメッセージいただけたらと思います!
また、RevOps 2.0 の実現に向けて、パートナープロップ導入にご関心がある方はぜひお問い合わせください!
