目を動かすだけで、倒れそうになる日々の話
倒れそうな日常と、見えない障害
半年前まで、私は普通に働いていました。
電車に乗れました。一人で買い物に行けました。人混みも怖くありませんでした。
今は、家の中を歩くだけで体調が崩れることがあります。
何が変わったのか。見た目は何も変わっていません。でも、私の日常は変わってしまいました。
私は精神障害者保健福祉手帳3級を持っています。(現在2級申請中です)
それでも半年前までは、周囲の助けを借りながら日常生活を送れていました。体調の波はありましたが、折り合いをつけながら生きていました。
転機は、職場で起きたある出来事でした。通常ではまず遭遇しないようなことでした、とだけ言っておきます。その出来事がトラウマとなり、強烈なストレスが身体を蝕んでいきました。
最初は「少し変だな」という程度でした。でも徐々に悪化し、今では視覚過敏と聴覚過敏によって、当たり前にできていたことが難しくなってしまいました。
視覚過敏は「まぶしい」だけではない
視覚過敏と聞くと、こんなイメージを持つ方が多いと思います。
「明るい場所が苦手」「強い光がつらい」
でも私の症状は少し違います。
目を動かすだけで、頭が強烈にゾワゾワし、意識が薄れます。
意識が遠のくような感覚。めまい。最初はなぜ体調が悪いのかさえわかりませんでした。
ある時、気づきました。人間は日常の中で、想像以上に目を動かして生きているのです。
たとえば、皿洗い。
シンクを見る。洗剤を見る。スポンジを見る。食器を見る。食器棚を見る。
たったこれだけのことで、視線は何度も上下左右に動きます。洗濯も、家の中を歩くことも、同じです。
「家の中なら楽でしょう?」
そう言われることがあります。でも実際は、家の中を歩くだけでつらい日があります。外に出ることなど、もっての外です。
もちろんスマホを見るのも辛くなります。
スワイプして画面を送ると、意外と目は動いていたりします。
こんなことまで出来ないなんてと悲しい気持ちでいっぱいでした。
音が、脳に針のように刺さる
聴覚過敏もあります。
大きな音だけが苦手なのではありません。
同居人が皿を洗う音。ゲームをしている時の音。日常にある、ごく普通の生活音。
それが、脳に針を刺されるように感じます。
相手に悪気はありません。ただ、普通に生活しているだけです。だからこそ「うるさい」と言えません。自分でも、なぜこれほど苦しいのか、うまく説明できないからです。
信じてもらえない、という苦しさ
症状そのものもつらいです。でも、私が特につらかったのは信じてもらえなかったことです。
以前の病院では、症状を理解してもらえず、虚言と疑われていたと感じていました。(明確に疑われていた言動はなく、症状をカルテに記載しない、症状を喋ろうとすると遮るなどがありました)
自分では確かに苦しい。でも伝わらない。見た目は元気そうに見える。
見えない苦しさを、見えないまま抱えていました。これは視覚過敏や聴覚過敏を持つ方に共通する、見落とされがちな痛みだと思います。
結局は主治医から信じてもらえないまま、現在は病院を変えました。
幸いなことに現在の主治医は親身になって症状を聞き、症状の進行を止めることができています。
少しだけ楽になれたもの
聴覚過敏には、Loopの耳栓にかなり助けられています。完全に症状がなくなるわけではありませんが、以前より過ごしやすくなりました。

一方、視覚過敏にはまだ有効な対策を見つけられていません。
もし同じ症状を経験された方で「これが少し楽だった」というものがあれば、ぜひ教えていただきたいです。
最後に——電車の中で、少しだけ周りを見てほしい
症状は発症から半年以上経った今も、改善していません。
見た目だけなら、私は元気でどこも悪くないように見えると思います。
でも電車に乗ると、卒倒しそうになります。
窓の動き、電車の揺れ、揺れによる周りの人の動き、電車の振動や音、全てが過剰な刺激となり倒れてしまいます。
だからヘルプマークを付けています。
ヘルプマークを付けている方の中には、私のように外見からはわからない困難を抱えている人がいます。身体が不自由そうには見えない。元気そうに見える。それでも本当は、必死に耐えています。
もしこれを読んでくださっている方が電車に乗った時、駅に停まった瞬間だけでも——スマホから目を離して、イヤホンから意識をそらして少し周りを見渡してみてください。
困っている人はいないか。立っているのがつらそうな人はいないか。
声をかけている人はいないか。
そんなふうに気にかけてもらえるだけで、救われる人がいます。
私もその一人です。
可能な限り公共交通機関を避けていますが、どうしても必要な場合は利用しています。
優先席で席を譲ろうとしてくださる方もいます。
でもイヤホンをしていて気付けない方も少なくありません。
だからこそ、駅に停車した時だけでも少し周囲を見渡してもらえたら嬉しいです。
