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【研究と実践】財団法人氏家浮世絵コレクション50周年記念シンポジウムに参加した

財団法人氏家浮世絵コレクションは2025年に50周年を迎えるそうで、これを記念した特別展「集結! 北斎のエナジー 肉筆浮世絵の殿堂」が鎌倉国宝館で開催されました。

鎌倉国宝館では毎年、氏家コレクション展示企画を開催していますが、今回は他館から滅多に観ることのできない肉筆作品をお借りし、北斎の絵をいままでになく存分に堪能することができました。

会期中、前期後期で展示作品の入れ替えがあったのですが、ほぼすべての作品が入れ替わるという気合の入りよう。素晴らしく満足度の高い企画展でした。

で、本題はその企画展の関連イベントについて。

第一部 講演会「北斎の画業 絵画作品の豊かな世界」
第二部 シンポジウム「蒐集と保存 ~コレクションのこれから~」
会場 鶴岡八幡宮直会殿

午前午後に分けての二部構成。
午前の部が講演、午後の部がシンポジウム、ではあるのですが、それぞれが独立して参加できる変則的な構成でした。

第一部の講演は葛飾北斎の一生について語られます。
画号ごとの作風の変化やその時どきの流行り廃りも交えての軽妙な解説で実に面白い。

超有名なあの「神奈川沖浪裏」も唐突に登場したのではなく、前史的な作品があってのことだということは、はじめて知りました。

そのほか、北斎も流行絵師としての浮き沈みはあったなどの逸話などを聞くと、これまで思っていた北斎像が人間味を増し、面白い人だったんだなあということをあらためて感じました。

午後の第二部は、浮世絵を扱っている「鎌倉国宝館」「神奈川県立博物館」「すみだ北斎美術館」の各館からミュージアム活動や苦労についての話がありました。
各館それぞれにミュージアムとしての立ち位置やスタンスが異なるため、近しくもノウハウの違いもあり、なるほどなあと思うばかり。前々からミュゼオロジーに関心のある自分としては非常に興味深い内容で、実に面白く聞くことができました。

いちばん記憶に残ったのは、浮世絵は光に弱く一年のうち30日しか展示できないということ。だから同じ作品を展示し続けようとするには同じ作品を複数持つ必要があるということ。でした。
常設的に展示するなら最低12枚必要と笑い話的に語られていましたが、これは実際そういうことなのでしょう。
そしてその理由は館の家主(つまり行政)にはなかなか理解できないだろうなあと思いました。

さらにそれほどに気をつけて展示していたとしても10年で同じ作品とは思えないほどに退色してしまうという話もありました。
ということは、現物の浮世絵の数には限りがあるわけで、いつか展示できなくなるときがきてしまう。
私たちは、今自分たちが鑑賞できればいいというだけではなく後世にバトンをつなぐ責務もあるわけで、複製画の展示にも必然性があるのだと、あらためて感じました。

そんなわけでほぼ一日を講演漬けの濃密かつ刺激的で満足度の高い時間を過ごすことができました。

最後にひとつ残念だったことを。
第一部は比較的参加者も多く会場の8割くらいの席が埋まっていましたが、対して第二部は正直なところ閑古鳥。全体で20名もいなかったのではないでしょうか。
午前午後どちらも非常に興味深い内容だったで、できれば両方聞いてほしかったなあ。

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