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一流の素人の段


 かつて、NHKの衛星第2テレビ(俗にbs2と呼ばれていた)では、
 「どれみふぁワンダーランド」とう音楽番組が放送されていた。この番組は、宮川彬良さん、戸田恵子さん、RagFairの皆さんによる「概念やジャンルの垣根を超えた、自由な音楽の楽しみ方を提案する」(Wikipediaより)というなかなか実験的な試みがみられるものだった。


 音楽のことに疎かった当時の私は、コントが好きだった。



 「アニメソングの巨匠 真行寺一郎先生」


 https://youtu.be/N5_IJumDdIY?si=7WuC_tEzJ42yrEly

 





「流し」




 ↑にリンクを貼った二つのコントが特にお気に入りだが、あるときの出演者たちによるミニトークを私は面白く感じた。(Youtubeで動画を探したが、削除されてしまったようだ、残念。)

 2010年の男子サッカーW杯におけるドイツ対アルゼンチンの試合を見て感じたことを、宮川彬良さんが述べていた。宮川さんによると、ドイツチームはオーケストラ楽団に、アルゼンチンチームはジャズミュージシャンたちに見えたそうだ。オーケストラは台本を重んじて「集団」が機能することを目指すのに対し、ジャズは「個人」が能力を活かして「即興」で成果を出すという大きな違いがあるという宮川さんの説明に対し、その見え方はかなり当たっていてドイツは集団による戦術を、アルゼンチンは個人技に頼っているとサッカー通のRagFair土屋礼央さんが解説した。



 一流の音楽家がサッカーを見ると、一般人とかなり異なるものが見えてくるのだな、と当時の私は感じた。



 では、音楽家でなければ、サッカーはどう見えるのか。



 今年の夏に購入したある本を読んだとき、先述したような随筆があった。どういう経緯があったかわからないが、著者がサッカー観戦をしたときのことを綴ったものだった。



 試合前の選手紹介が始まる。顔写真の横の「FW8」という記号があるが、まずこの意味が分からない。他の選手にもGK、DF、MFなどの記号が書いてあるので、おそらく何かの役割なのだろう。これが大学では、たとえば「FW」は永劫回帰説で有名なニーチェの著作
“Die fröhliche Wissenschaft”(『悦ばしき知識』)の略となり、論文に「FW8」とあれば「『悦ばしき知識』の8ページを参照」という意味になる。記号にはいつも役割がある。

(『さみしくてごめん』永井玲衣、大和書房、2025年、p215)



いや、知らねーよ。そう見えるんかい。

と読みながら私はツッコミを入れてしまったが、哲学者からすればFWをフォワードと自動変換できる私の方がおかしいのかもしれないと、すぐに考えを改めた。



 世の中には多種多様なものがありそれらすべてを味わい尽くしたいという少し卑しい願望を私は抱いていたが、たとえそれらを知らなくても宮川さんや永井さんのような一流の感性と感覚があれば、それらを知っている人に新しい見方を提供できるかもしれない。


 ここらへんで筆を置こうと思ったが、堂安律選手がジブリ作品を全く見ていないことを思い出した。


 ↓ 少し面白かった。





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