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カリフォルニア州「キャップ・アンド・インベスト」制度の減速

https://www.canarymedia.com/articles/emissions-reduction/california-controversial-cap-and-invest-program

【制度の概要】

カリフォルニア州は2006年に米国初の経済全体を対象とした排出量取引制度を導入しました。精製所・工場・発電所などの大規模排出施設を対象とし、州全体の温室効果ガス排出量の約80%をカバーしています。排出事業者に実質的な炭素税を課し、その収益を脱炭素化施策の財源に充てる仕組みです。

かつては「キャップ・アンド・トレード」と呼ばれていましたが、2025年9月の延長立法により「キャップ・アンド・インベスト」に名称が変更されました。

【今回の制度改正のポイント】

カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、大規模排出事業者が脱炭素化プロジェクトに投資する場合に排出枠を還元する「製造業脱炭素化インセンティブ(MDI)」と呼ばれる新たな40億ドル規模の基金を創設することを決定しました。対象となる投資内容は、化石燃料設備のクリーン代替設備への転換、炭素貯留、メタン削減などです。

【論争の核心:財源の行方】

この制度はこれまで累計350億ドルの収益を生み出し、州の温室効果ガス削減基金(GGRF)を通じて気候関連事業に充当されてきました。しかし今回の改正により、同基金への収益が年間約20億ドル、つまり近年の受取額の約半分が失われるとの試算が州議会の分析機関から出ています。

反対派は、この資金減少が手頃な住宅・公共交通・安全な飲料水・地域の大気保護など、多くのプログラムへの大幅な削減につながりかねないと警告しています。

一方、ニューサム知事は「排出削減・雇用創出・クリーンな未来への投資を同時に実現できることを証明してきた」として今回の改正を支持し、物価負担を抑えつつ気候目標の達成も維持できると主張しています。

【2030年・2045年目標との整合性】

CARBは2026年1月に正式な規則改正案を公表し、2027年1月1日を新しい排出上限の適用開始目標としています。今後はカナダのケベック州との連携、さらにはワシントン州との市場リンクに向けた動きも注目されています。

【日本の電力業界への示唆】

本件は日本にとっても他人事ではありません。カリフォルニア州の事例は、炭素市場制度の設計において「排出上限の厳格さ」「産業競争力への配慮」「気候関連財源の確保」という三者のバランスをどう取るかという、普遍的な政策課題を浮き彫りにしています。日本のGX(グリーントランスフォーメーション)推進における排出量取引制度の本格化を前に、制度設計の議論に大いに参考になる事例といえます。

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