『ハイハイしない』と検索が止まらない。発達不安で壊れそうな親の心を守る方法
記事:中村 藍
#メンタルヘルス
こんにちは、臨床心理士・公認心理師ダブルホルダーのオンラインカウンセリングサービス、IZUMIです。 もし今すぐ専門的な相談が必要な方は、こちらの[オンラインカウンセリング]も活用してくださいね。
夜中の2時。赤ちゃんがやっと寝てくれたのに、スマホを置けない。
「ハイハイ しない 月齢」「ずりばい いつから 遅い」「つかまり立ち しない 発達障害」 ——気づくと、また検索している。
「もうやめよう」と思っても、やめられない。 出てくる情報が怖くて、でも見ずにはいられない。
「こんなに不安なのって、私だけなのかな」
そんな夜を繰り返してはいませんか。
「ハイハイしない」が気になり始めると、止まらなくなる理由
子どもの発達を心配すること自体は、ごく自然な親心です。
でも、あなたは気づいているでしょうか。検索しても、不安は消えていないことに。
それどころか、調べるたびに新しい心配が増えていませんか。
実は、これには心理学的な理由があります。
気になることを検索した瞬間、私たちは一時的に気持ちが落ち着きます。
「情報を得た」「何かできた」という感覚が、不安をやわらげてくれるからです。
でも、その安心はすぐに消えてしまいます。
「うちの子はこのケースと少し違う」「もっと調べなきゃ」と、新しい不安が生まれて、またスマホを手に取ってしまうのです。
この繰り返しには、「サイバーコンドリア(ネット心気症)」という名前がついています。不安を感じると、人は確実な安心を求めて情報を探し続けます。ところがネット上には極端な情報も多く、調べれば調べるほど不安が大きくなってしまうのです。
これは意志の弱さでも、心配しすぎな性格のせいでもありません。不安を和らげようとする脳の自然な反応が、裏目に出てしまっている状態です。
見方を変えれば、それだけあなたがわが子のことを真剣に思っている証拠でもあります。
とはいえ、不安にかられての行動はとてもしんどいことではないでしょうか。
「同じ月齢の子はもうできているのに」比較に追い詰められる親の心理
SNSで同じ月齢の子の動画を見て焦る。健診で「ちょっとゆっくりですね。様子を見ましょう」と言われて、帰り道に泣きそうなほど不安になってしまう。
「◯ヶ月でハイハイを始める」「△ヶ月でつかまり立ち」——育児書やネットに書かれている目安を、あなたも一度は調べたことがあるのではないでしょうか。
でも、「目安」は多くの子どものデータをならした「平均」に過ぎません。
ハイハイを例にとると、うつ伏せが苦手だったり早く立ちたい意欲が強かったりなどの理由でハイハイを飛ばす子はおり、周囲への好奇心や全体的な発達が見られれば、特定の形に過度にこだわる必要はないのです。
もちろん、「個人差がある」と頭ではわかっていても、「うちの子だけ遅いのかもしれない」という不安は簡単には消えないでしょう。
一生懸命子育てと向き合っている親なら、誰もが通る道だともいえます。
しかし、その不安があまりに大きくなりすぎると、子ども自身にも影響を及ぼしてしまうかもしれない、としたらどうでしょうか。
「親のメンタル」が子どもの発達に影響する?
ここで、多くの親が見落としがちなことをお伝えします。
赤ちゃんは、親の表情や感情の変化を驚くほど敏感に感じ取っているのです。
発達心理学者のEdward Tronick博士らが1975年に発表し、1978年に論文化した「静止顔実験(Still Face Experiment)」では、母親が突然無表情(無応答)になると、赤ちゃんは強いストレスを感じて混乱し、やがて顔をそむけて無力な表情になることが実証されました。
さらに最新の脳波研究(Swider-Cios et al., 2024)では、母親が強い産後不安を抱えていると、無意識のうちに脳が生理学的な「撤退(回避)」状態になり、赤ちゃんとの感情的な同調が難しくなることが分かっています。
これは、育児に不安を感じている親御さんを責めているのではありません。
それほど子どもは親のことをよく見ている、ということです。そして裏を返せば、親であるあなた自身が安定していることが、子どもにとっての最大の安心になるということでもあります。
「子どものために何かしなければ」と焦る前に、まずあなた自身のメンタルを整えること。それが、今できる最も大切なケアです。
「育児相談」の前に、あなた自身が誰かに話せていますか
お子さんの発達で気になることがあれば、ネット検索ではなく、かかりつけの小児科や保健センターで客観的な意見をもらうことが一番の安心に繋がります。
そしてもうひとつ、親自身の苦しさをケアするための選択肢があります。
それが、「カウンセリング」です。
カウンセリングでは、お子さんの発達についての心配や疑問を一緒に整理することはもちろん、検索が止まらない、眠れない、夫婦間でうまく共有できないなどの親自身の苦しさにも丁寧に寄り添ってもらうことができます。
お子さんのことも、あなた自身のことも、両方まとめて話せる場所だと思ってください。
「診断してもらいたいわけじゃない。ただ、誰かに話を聞いてほしい」そんな気持ちでも、まったく問題ありません。
IZUMIには、病院や教育機関など公的機関で10年以上の臨床経験を持つ、臨床心理士・公認心理師のダブルライセンスカウンセラーが在籍しています。さらに、その中にも発達を専門とするカウンセラーもおりますので是非一度ご相談いただければと思います。
オンライン対応なので、お子さんがお昼寝している時間でも受けられます。「考えがまとまらず、うまく話せるかわからない」という状態からでも大丈夫。整理するところから、一緒に始めましょう。
検索に費やしていたその時間を、自分自身を整えることに使ってみませんか。
きっと、あなたとお子さんの穏やかな未来につながるはずです。
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◼︎ ライタープロフィール
中村 藍 | 日本音楽療法学会認定音楽療法士
20年以上にわたって公立学校の教員として勤務し、通常の学級・特別支援学級・特別支援学校(小学部・高等部)と、幅広い現場を経験。早期退職後、教育や発達支援、メンタルヘルスなど幅広い分野での取材・執筆活動を行っています。
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\\ カウンセリングを受けるとどう変わるの?//
カウンセリングを受けることで、まず多くの方が「気持ちが整理されてきた」「本当はどう感じていたのかに気づけた」とおっしゃいます。最初はうまく話せなくても、安全な場で少しずつ言葉にしていけるようにカウンセラーがサポートします。
┏よくある変化の例┓
・モヤモヤの正体が見えてきて、考えがまとまるようになる
・自分に厳しすぎたことに気づき、少しずつ優しくなれる
・他人軸ではなく「自分はどうしたいか」を大切にできるようになる
・気持ちが安定し、人間関係のストレスも減っていく
もちろん、変化のスピードは人それぞれですが、誰にも話せなかったことを受け止めてもらう経験は、自分自身への信頼にもつながります。
問題を“なくす”ことよりも、問題と”どう向き合うか”、”どう乗り越えていくか”を一緒に見つけていく時間だと考えていただけたらと思います。
\\ IZUMIのカウンセラーはどんな人?//
10年以上病院や公的機関で活躍する経験豊富な臨床心理士・公認心理師のダブルホルダーが対応します。
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【参考文献】
McMullan, R. D., Berle, D., Arnáez, S., & Starcevic, V. (2019). The relationships between health anxiety, online health information seeking, and cyberchondria: Systematic review and meta-analysis. Journal of Affective Disorders, 245, 270–278. https://doi.org/10.1016/j.jad.2018.11.037
Mesman, J., van IJzendoorn, M. H., & Bakermans-Kranenburg, M. J. (2009). The many faces of the Still-Face Paradigm: A review and meta-analysis. Developmental Review, 29(2), 120–162. https://doi.org/10.1016/j.dr.2009.02.001
Swider-Cios, E., Verhees, M. W. F. T. J., de Vocht, M. S., & van Bakel, H. J. A. (2024). The association of maternal-infant interactive behavior, dyadic frontal alpha asymmetry, and maternal anxiety in a smartphone-adapted still face paradigm. Developmental Cognitive Neuroscience, 66, 101352. https://doi.org/10.1016/j.dcn.2024.101352
Tronick, E., Als, H., Adamson, L., Wise, S., & Brazelton, T. B. (1978). The infant's response to entrapment between contradictory messages in face-to-face interaction. Journal of the American Academy of Child Psychiatry, 17(1), 1–13. https://doi.org/10.1016/S0002-7138(09)62273-1
厚生労働省. 「e-ヘルスネット」ストレス. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-031.html
榊原洋一. (2009). 『赤ちゃんの発達はどう進む? 胎児から幼児までの心と体の成長(別冊NHKきょうの健康)』NHK出版.
武井明. (2014). 「サイバーコンドリア:健康情報のネット検索が不安を増幅させる」『精神科』24(5), 585-589.
