聖ヨセフの祭日は火の祭典
3月19日はスペイン・バレンシア(Valencia)のハイライトの火祭り。この日は、イエス・キリストの養父、聖ヨセフ(San Jose サン・ホセ)の祭日でもある。この地方では家具産業が盛んで、家具職人たちが、秋から春にかけて作業で出た木材の破片を春に燃やす習慣があった。大工であった聖ヨセフの祭日と重ね合わせたのが火祭りの起源といわれる。「ラス・ファジャス(Las fallas)」と呼ばれるこの火祭りは2016年にユネスコの世界遺産に登録されている。

バレンシアの火祭りは2月の最終日曜日から始まる。「マスクレタ(mascletaes)」と呼ばれる爆竹と花火が3月1日から毎日午後二時に、市役所前広場で破裂する。最初の週には毎日120キログラムの爆竹が炸裂し、段々とその量が増え、19日の聖ヨセフの日には300キログラムのマスクレタが半時間ほど炸裂する。市役所の屋上の取材班の先まで地鳴りのような炸裂音が伝わり、爆竹の破片も飛んでくる。広場全体が爆音に包まれてるようだった。


聖ヨセフの祭日の前日、前々日(17〜18日)、バレンシア周辺の町村から民族衣装で着飾った「ファイェロス(falleros=火祭りの紳士)」と「ファイェラス(falleras=火祭り淑女)」たち約10万人が、バレンシアの守護聖人でもある「見捨てられた人びとの聖母マリア(Virgen de los Desamparados, Forsaken)」への献花のパレードがある。

聖マリア大聖堂の横の広場に「見捨てられた人びとの聖マリア」の木組みが築かれ、バレンシア郊外の人たちも含め、約10万人が献花に訪れ、花の聖マリア像を創る。二日間で約2万トンの献花がある。
「見捨てられた人びとの聖マリア」は、15世紀初頭に築かれた精神疾患者や孤児たちの施設を守護する聖マリアだった。

火祭りのメインイべントは、3月19日23時頃から始まる巨大な群像「ファジャス(Falles)」燃やし。バレンシアに約750のファジャス保存協会がある。ファジャスの歴史は明確ではないが、18世紀頃に起源を遡るらしい。バレンシア市内には、約80体のファジャスが設置され、投票で1位の作品のみ美術館に残され、他のものは全て19日夜に燃やされる。

20世紀初頭までは木工職人が秋から春にかけて出た木屑で作っていたが、人形を作る材質が段ボールやプラスティックなどになるとドンドン巨大化し、現在では大きいものは建物の3、4階ほどのものもある。

ファジャスを燃やす前に19日19時から市内を花火隊による「カバルガータ・デル・フエゴ(Cabalgata del Fuego=炎の行進)」がある。火粉をまき散らしながら旧市街のメイン通りをパレードし、ファジャス燃やしの始まりを告げる。

市役所前広場ではファジャスの広宣、大使役を務める少女たちが見守る中、ファジャスが燃やされる。

聖人録
聖ヨセフ
San Jose

イエスの養父ヨセフは、ダビデ王の血を引く由緒正しい名家の出身といわれている。聖母マリアへの信心は5世紀には確立されているが、ヨセフ信心は比較的新しく、国によって始まる時期も違う。
イタリアでは13世紀初頭にアッシジの聖フランチェスコによって、スペインでは16世紀半ばにアヴィラの聖テレサによってヨセフへの崇敬が始まり、フランスでは太陽王ルイ14世が聖ヨセフの記念日を祝日に制定している。誰もが崇敬する聖人になったのは、1870年に教皇ピオ九世がヨセフを全教会の普遍的な守護聖人に宣言したことが大きい。 1955年にはピオ十二世によって5月1日が労働者・聖ヨセフの日に制定されている。
ヨセフは、全教会の守護聖人であるとともに、家庭、大工、労働者、未婚女性、病人、さらにはオーストリア、ベルギー、カナダ、メキシコ、ペルー、中国など数多くの国家の守護聖人になっている。
ヨセフは臨終に際しイエスと聖母マリアに看取られ、平穏のうちに昇天したされていることから、安らかな死を望む人の守護聖人にもなっている。
ヨセフはラテン語で、スペイン語はホセ(Jose)、英語はジョセフ(Joseph)、イタリア語ではジュゼッペ(Giuseppe)、フランス語はジョセフ(Joseph)、ナポレオンの妻ジョセフィ-ヌはヨセフの女性名。
