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【再建・残留】「湘南ベルマーレ2025 残留計画レポート」

【再建・残留】

「湘南ベルマーレ2025 残留計画レポート」


Ⅰ.「はじめに」

表Ⅰ.山口ベルマーレ 9月以降の成績
※ シーズン途中就任の2021シーズンは除く

 山口監督がシーズン頭から指揮を執り始めた2022シーズン以降「毎シーズンの様に主力を引き抜かれ、そこからチームを立て直し、完成度が高まった終盤戦の追い上げで残留を手繰り寄せる」という流れが、パターン化している湘南ベルマーレ(以下ベルマーレ)。

 その終盤戦の追い上げに焦点を当てると、表Ⅰの通り、例年、9月以降は圧倒的なペースで勝ち点を積み上げています。

 そのため、今シーズンの17節以降、徐々に負けが込み始めても、その状況を楽観視していた方は少なくなかったと思われ、正直に申し上げて、僕もその一員でありました。
 それが30節終了現在「14戦勝ちなし」(4連敗中)と深刻な状態に陥っており、9月に入っても長いトンネルを抜け出せずにいます。

 今シーズンは、シーズン途中での「福田・畑・鈴木淳選手の海外移籍」と、それに伴う「主力の大幅な入れ替え」があり、これが終盤戦に入っても、チームの完成度が高まり切っていない、要因のひとつであると考えられます。
 しかし、その点に関しては、シーズン終了後の検証は必要だとしても、今は残留に向けて「現有戦力でどう戦うべきか」に注力すべきだと思います。

 以上の点から、僕は「残留計画」を立案・発表するという判断に至りました。

 最も過去の『分析レポート』でも書きましたが、僕が“ここで”何かを提案したところで、ベルマーレ関係者の目に入る可能性はあるとしても、取り入れて頂ける可能性は限りなくゼロに近いというのが現実だと思います。
 それでも、ファン・サポーターの方に楽しんで頂ければ、それもベルマーレの活力に繋がるということで、前置きが長くなりましたが、次章から本題に入って行きたいと思います。

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Ⅱ.「守備の原則と改善点」

 30節終了現在「失点総数53」とリーグワーストの数字を記録してしまっているベルマーレ。
 また、現在も継続中である「14戦勝ちなし」の内、実に「11試合」で先制点を許してしまっています。

 サッカーは基本的に多くの得点が入るスポーツではないため、そういった意味で1点に重みがあり、その重みはベルマーレの様に苦境に立たされているチームにとって、必要以上に重く感じられるものであります。
 そのため、現在のベルマーレの様なチームが「先制点」を許してしまうと、そこから逆転勝ちを収めるには、メンタル的に通常時よりも困難が伴うと言って過言ではないと思います。

 以上の点から、残留に向け、まずは「守備の改善」が必須であるという判断に至りました。
 そこで第Ⅱ章では「守備の原則論」を交えながら、改善点・改善案を明示いたします。

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Ⅱ-①「クロス対応の原則(同一視野)」の徹底

「クロス対応の原則(同一視野)」

図Ⅰ.クロス対応の原則(同一視野)

 僕は以前から『分析レポート』を通して、僭越ながら、ベルマーレ守備陣の「守備の原則」不徹底を指摘させて頂いておりました。
 そして、その不徹底を要因とした失点が、直近の「30節vsグランパス」でも顕著に見て取ることが出来ました。
 具体的には、19分・31分の失点に関しては「クロス対応の原則」を徹底していれば、回避できた可能性は十分にあったと考えています。

 実際のシーンを深掘りする前に、まずは「クロス対応の原則」(同一視野)に関して、説明をしておきたいと思います。
 クロス対応の原則とは「マーカーとボールホルダー(ボール)が同一視野に入る立ち位置・身体の向き」を徹底することであり、僕は略称として「同一視野」と呼ばせて頂いております。
 この「同一視野に入る立ち位置・身体の向き」に関しては、指導者によって微妙に対応が異なる部分ではありますが、僕が過去に実践してきた形は、図Ⅰの様に「両腕を約90度の角度で広げ、その中にボール保持者とマーカーをぴったり収めるイメージ」となります。
 なお、この際、右手で相手選手の背中を触っておくことで、ファーへと流れる動きへの牽制にもなります。


「30節vsグランパス」失点シーン分析①

 この点を踏まえた上で、19分(ハイライト映像2:03~)・31分(ハイライト映像3:22~)のシーンを確認してみると、19分のシーンでは左WB太田選手、31分のシーンでは右サイドCB松本大選手・右WB藤井選手が相手選手を背中に入れてしまっています。

 もう少し細かく見てみると、19分に関しては、正しい立ち位置(同一視野)を取れていなかったため、自陣のゴール方向に戻りながら、無理な体勢で難しい方向にクリアする形となってしまい、その結果、ボールが稲垣選手へと渡り、失点に繋がっています。
 31分に関しては、同一視野の不徹底がより直接的に失点に結びついており、背中に入れてしまった山岸選手の折り返しに、永井選手が合わせた形となっています。

 DAZN加入者の方は、フルタイム映像で「58:10~」「60:20~」のシーンを確認して頂けるとよく分かるかと思いますが、グランパスCBの藤井選手(元日本代表・元コルトレイク)は、ベルマーレのクロスに備えて、同一視野を取り続けています。
 
こういった姿勢を今後、ベルマーレの守備陣にも徹底して頂ければ、少なくともクロスからの失点の可能性は、大幅に減少すると考えられます。

 ただ、森保JAPANにも言えることですが、攻撃的な選手をWBに配置して、守備時5バック化している以上、こういったことは起こり得るわけであり、太田(藤井)選手を責めることは出来ないかと思います。
 
また、松本大選手に関しても、このシーンは左右に振られているため、原則通りの対応が難しかったことは確かであります。

 
 最後に余談となりますが、プロの世界でも「同一視野」を徹底していない選手は少なくない印象(そもそも原則を知らない?)を持っています。もっと言えば、5大リーグの強豪クラブにも、徹底していない選手はいます。
 
そうなると「そんな原則、不必要なのでは?」と思われる方もいるのではないでしょうか。ただ、僕は決してそうは思いません。
 5大リーグの強豪クラブに所属しており、原則を無視したプレーで失点を防げている様な選手は、往々にして「恵まれた体格」「ずば抜けた身体能力」などを持っている、スーパーな選手であり、彼らは背中を取られても、体格や身体能力で強引にカバー出来るかもしれませんが、多くの選手はそうではありません。
 
これと同様の理由で、Jリーグでもプロになる様な選手(特にJ1)は、アマチュア時代は能力的に抜けていた選手が多いと考えられ、それ故に、原則を守らずとも、守れてしまっていた部分があるのかもしれません。
 しかし、優れた選手の集団であるプロに入れば、多くの選手はそうはいかない訳であり、そうなるとやはり、原則の徹底は必要になって来ると考えられます。

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Ⅱ-②「クリアの原則」の徹底

「クリアの原則」

図Ⅱ.クリアの原則

 「クリアの原則」の基本は「ボールが飛んで来た方向にクリアすること」となります。
 サッカー経験者はもちろん、そうでない方もイメージしやすいかと思いますが、飛んで来た方向に蹴り返すことは、身体の向きに無理が生じないため、クリアミスは起こり難いと考えられます。
 但し「ファーサイドでヘディングをする場合のみ、逆方向へのクリア」が基本となります。理由としては、ヘディングで大きくクリアすることは困難であるため、飛んで来た方向にクリアしてしまうと、自陣ゴール前という危険な位置に、ボールを落としてしまう可能性が出てくるためとなります。


「30節vsグランパス」失点シーン分析② 

 この点を踏まえた上で、再度、19分(ハイライト映像2:03~)のシーンを確認してみたいと思います。

 このシーンでは、まず「ハイライト映像2:07~」の場面で、右WB藤井選手が左サイドからのクロスを中央にクリアしてしまっています。
 これに因り、グランパスにセカンドボールが渡ってしまい、今度は右サイドに振られ、失点シーンへと繋がっています。
 最もこのシーンに関しては、クリアする直前に山岸選手が視界に入り、クリアする方向に迷いが生じた可能性はあると思います。

 次の局面に関しては「同一視野」の章でも触れた通り、左WB太田選手が原則通りの立ち位置を取れていれば、無理のない姿勢で、ボールが飛んで来た方向にクリア出来た可能性は高まっていたと考えられます。
 ただ、このシーンもクリアする直前に中野・浅野選手が視界に入り、クリアする方向に迷いが生じた可能性はあると思います。しかし、それでも「ゴール前、且つ、ボレーが得意と分かっている稲垣選手が待つ位置」だけは、避けるべきであったというのが正直なところとなります。


 ここまで記して来た様に、原則を守ることは大事である一方で、それぞれの局面によって、原則を守ることが難しい要因があったことも確かであります。
 また「同一視野」の章の繰り返しとなりますが、森保JAPAN同様、攻撃的な選手をWBに配置して、守備時5バック化している以上、こういったことは起こり得るわけであり、太田・藤井選手を責めることは酷だと思います。
 しかし、現実として、原則を外れたプレーが続いてしまうと、失点に繋がる可能性が高まることも確かであると言えるかと思います。

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Ⅱ-③「守備の原則と注意事項」

 「Ⅱ-①」「Ⅱ-②」と重なる部分もありますが、大事なことなので、まとめておきます。

 まず、ここまで説明して来た「守備の原則」を徹底すれば、失点のリスクを下げられることは間違いなく、プロ選手である以上、身体に染み付いた守備の仕方もあると思いますが、是非とも、残留に向けて徹底して頂きたいと思います。
 なお「クロス対応の原則」「クリアの原則」に加え「裏抜けケア」も重要な守備の原則であり、ベルマーレが徹底できていない部分でもあるため、気をつけて頂きたいと思います(↓リンク先参照)。

  但し、サッカーは相手がいるスポーツであり、状況が変わり続けるスポーツでもあるため、常に原則を徹底し続けることは容易ではありません。
 
また、ベルマーレは森保JAPANと同様、WBに攻撃的に特徴がある選手を配置することが多い中、守備時5バック化するということで、WBの選手の守備を責めることは酷な話と言えるかと思います。

 ただ「酷な話であるから降格してもいい」では解決策になっていないため、現状のシステム・配置で試合に臨むのであれば、上記した「守備の原則」を出来るだけ徹底して欲しいと思いますが、個人的には配置転換をするだけで、状況は大きく変わる可能性があると考えているため、この点に関しては、第Ⅳ章で説明させて頂きます。

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Ⅲ.「攻撃時の立ち位置と改善点」

対ミラーゲーム(3-4-2-1)

図Ⅲ.攻撃時の立ち位置と改善点(対ミラーゲーム)

 直近の「30節vsグランパス」で攻撃時、特にビルドアップの場面で上手く行っていない印象があったのですが、それは単純に「ミラーゲームの中、初期配置のまま組み合っていたから」であり、図Ⅲの様な可変をするべきであったと考えられます。

 具体的な流れは以下の通りです(図Ⅲ参照)。
① ボランチのヒカルド選手が最終ラインに落ちて4バック化(数的優位の確保)
② ①に因り、左サイドCB中野選手を押し出して左SB化
③ ①②と同時進行で左WB太田選手が高い位置を取り、相手WBをピン留め

 この後の展開に関しては、色々とパターンが考えられますが、全てに共通するポイントとして、図Ⅲ左サイドの「緑色のスペース」の活用が挙げられます。
 例えば、緑色のスペースに左シャドー小野瀬選手が落ちてくれば、グランパス右サイドCB内田選手を動かせるわけであり、そのスペースに他の選手が飛び出すことで、好機に繋がる可能性が出て来ます。
 また、中野選手が緑色のスペースまでボールを持ち運び、上記とは逆に小野瀬選手が裏に抜ければ、今度はCF鈴木章選手に斜めのボールを送ることが出来ます。


 あとは右WB藤井選手が「サイドの少し内側や低い位置」ではなく、しっかりとライン際まで開いて、高い位置でボールを受けることが出来れば、トラップひとつで前に抜けられる可能性があり、彼のスピードを考えると、有効策となるかと思います。
 但し、これには送り手側の右サイドCBの選手の配給力も大事となってきます。

 なお、リーグ戦、残り「8分の5試合」で「対ミラーゲーム」となる可能性があり、「4-3-3」でプレスを掛けて来るサンガを含めると「8分の6」で「対3トップ」となるため、上記した様な可変はポイントとなって来るかと思います。


対4-4-2

図Ⅳ.攻撃時の立ち位置と改善点(対4-4-2)

 「対ミラーゲーム」(3-4-2-1)でない場合、大半のクラブが「4-4-2」で守備を組み、それに対して、ベルマーレは「3-1-4-2」を採用すると思われるため、「3-1-4-2」×「4-4-2」想定で話を進めさせて頂きます。

 「3-1-4-2」×「4-4-2」であれば、ミラーゲームと異なり、初期配置の時点でズレが生まれているため、組みやすいことは確かであります。
 ただ、そのズレを最大化するためにも「立ち位置」には拘るべきだと考えています。

 具体的には、サイドCB(図Ⅳでは右サイドCB松本大選手)に若干、高めの位置を取って頂きたいと思います。
 イメージとしては、相手の2トップと同列の高さ(ワントラップで列を超えられる位置)でボールを受け、右WB藤井選手を前に押し出しながら、彼の足元にボールを送り込む形となります。
 藤井選手が高い位置でボールを受けることで、彼は順足WBであるため、そこから2トップへの斜めのボールを期待することが出来ます。
 そしてそれは「29節vsアントラーズ」(ハイライト映像1:57~)の様な崩しの形を「再現性のあるプレー」という段階まで、引き上げることに繋がるはずです。


 また「3-1-4-2」×「4-4-2」の場合、アンカーの選手が初期配置の時点で「4-4-2」の弱点である「2トップとダブルボランチを頂点とした四角形の中」にいるため、これを活用しない手はありません。
 ちなみに上記した「ハイライト映像1:57~」でも、アンカーのヒカルド選手は綺麗に四角形の中でボールを受け、逆サイドに展開しています。
 ハイライトには載っていないシーンでも、ヒカルド選手にボールを預ければ、容易に展開できたと思われる場面を確認できており、守備の強度が高いアントラーズにも付け入る隙があったことを考えると、「対4-4-2」の場合、やはり、この点もポイントになって来るかと思います。

 なお、残り8試合の内「31節vsフロンターレ」「36節vsアルビレックス」は「対4-4-2」となる可能性が高いと思われます。

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Ⅳ.「戦力を最大化する配置転換」

図Ⅴ.戦力を最大化する配置転換(3-4-2-1編)
※ 原則、リーグ戦に一定数以上、出場している選手のみ掲載(怪我による離脱中の選手は除く)
図Ⅵ.戦力を最大化する配置転換(3-1-4-2編)
※ 原則、リーグ戦に一定数以上、出場している選手のみ掲載(怪我による離脱中の選手は除く)

 今から提案する配置転換は「〇〇選手が悪い」という様なことでは決してなく、現有戦力を最大化するために、僕が考える「適正ポジション」「適切な組み合わせ」に嵌め込んだ結果となります。

 まず「3-4-2-1」「3-1-4-2」問わず、最大のポイントは「WBの人選」となります。

 第Ⅱ章でも説明した通り、「先制点を与えない」という点も含め、残留に向けて「守備の改善」は急務となっています。
 そのため、WBには「中野選手」「鈴木雄選手」の2名を配置したいと思います。
 最も彼らも「攻撃に特徴のある選手」ではありますが、中野選手はSBが本職の選手であり、且つ、左利きということで、経験・身体の向き含め、5バック化した際、他の選手と比較して、スムーズに守備に入ることが出来ると思われます。また、攻撃時は彼から斜めのボールを期待することも出来ます。
 鈴木雄選手はポリバレントな選手であり、ベルマーレでは「サイドCB」に入ることもあるため、こちらも他の選手と比較して、スムーズに守備に入ることが出来ると考えられます。また「184cm」という高さも守備に活きて来ると思われます。

 そして、その中野選手を左WBに上げるためにも、また、守備の統率はもちろん、得点の部分での貢献まで期待して、「大岩選手」に3バックの中央を務めて頂きたいと思います。
 また、同じく3バックの右サイドCBに関しては「舘選手」「松本大選手」の併用、GKも「ポープ選手」「吉田選手」の併用で、調子や相手を見ての判断が望ましいかと思います。
 あとは「太田選手」を右WBで攻撃の切り札として投入し、ダイアゴナルランで抜け出して頂くのも面白いかと思います。

 その他のポジションに関しては、現状から大きな変化は加えていませんが、強いて言えば「ビルドアップ」「ポゼッション」が上手くいかないのであれば、鈴木章・フェリッピ選手の2トップに向けてロングボールを送り込み、2シャドーがセカンドボールを拾うという、シンプルな形で攻め込んでも構わないと思います。
 残留争いのライバルクラブであるマリノスが正にそうですが、「ロングボール→セカンドボール回収」というシンプルでわかりやすい形を採用することで、選手は注力し易くなるため、これはこれで有効な選択肢のひとつであると思われます。

 なお、残留に向けて「総力戦」となるため、今回は名前を挙げていない選手にも、もちろん、期待しております。

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Ⅴ.「おわりに」

 僭越ながら、ここまで色々と提案をさせて頂きましたが、僕は山口監督がどんな戦術で、どんな配置で試合に臨もうと、最後までベルマーレを応援させて頂きます。

 第Ⅰ章で示した様な、例年通りの追い上げをみせることが出来れば、残留は決して絵空事ではありません。

 それではベルマーレの幸運を祈って、本記事は終わりにしたいと思います。

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【再建・残留】「湘南ベルマーレ2025 残留計画レポート」は以上となります。
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