【データ分析】「アルビレックス新潟 期待値から検証する“2025シーズン”」
【データ分析】
「アルビレックス新潟 期待値から検証する“2025シーズン”」
Ⅰ.「はじめに」
現状確認
36節終了現在「リーグ最下位」「17戦勝ちなし」と長いトンネルから抜け出せずにいる、アルビレックス新潟(以下アルビレックス)。
35節終了時点で「J2降格」が決定。
更には次節「引き分け以下」で最下位が確定してしまうという苦しい状況。

今シーズンのアルビレックスに関しては「樹森体制:3試合」「入江体制:1試合」しか観戦・分析していませんが、その樹森体制での3試合に関しては、決して悪い印象を持っておりません。
解任されたということは、クラブが望む様な結果(数字)ではなかったのかもしれませんが、試合内容に焦点を当てれば、アルビレックスの武器であるパスワークに、縦に速い攻撃も取り入れることで、長短のボールが相互作用を引き起こし、上手い具合に機能していたかと思います。
また、守備面では、距離感の良いパスワークと相性の良い「即時奪回」を強く意識されていた様に見受けられ、この点も好印象でありました。
実際、樹森体制では「20試合22得点」を上げており、無得点に終わったのは「5試合」のみということで、データからも攻撃はそれなりに機能していたことが伺えます。
ちなみに前政権の松橋体制では「38試合44得点」(2024シーズン)「34試合36得点」(2023シーズン)となっています。
また、全9敗の内「1点差以内の敗戦」が「7試合」ということで、決して大崩れしていたわけではなく、これは僕が観戦した3試合の印象とも合致しています。
入江体制に関しては、上記した通り「1試合」しか観戦・分析していないため、多くを語ることは差し控えさせて頂きます。
なお、結果に関しては、36節終了現在、相当に厳しい数字であることは否めません。
ただ「シーズン途中就任」「選手の入れ替わり」と、樹森体制時代とは状況が異なるわけであり、この点は汲むべき事情と言えるかと思います。
本記事の目的
以上の点を踏まえた上で本記事では、
① 樹森監督の解任は適切であったのか
② 入江体制の結果は正当なものなのか
この2点に関して「ゴール期待値」の観点から検証してみたいと思います。
ちなみに僕は良くも悪くも、アルビレックスに対して特別な想いは抱いておりません。
そのため、本記事は決して「監督・クラブ批判」を意図したものではありません。
それはⅡ章の検証結果・総論をご覧頂ければ理解してもらえるかと思います。
なお、本記事のデータは「J STATs」(データスタジアム株式会社)から引用、もしくは引用した値をベースに算出させて頂いております。
また、僕はデータ分析の専門家ではないため『サッカーはデータが10割 最強アナリストが明かすプレミアリーグで優勝する方法』イアン グラハム(著)/木崎伸也(監修)を参考文献とさせて頂いております
※「期待値」は万能なデータではありません。故に本記事の内容も絶対的なものではございません
※ イアングラハム:リヴァプールFCの元リサーチ部門責任者(データ分析官)
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Ⅱ.「実際のスコアとゴール期待値」


「ゴール期待値」とは
検証に入る前に、まず「ゴール期待値」の説明を簡単にさせて頂きます。
「ゴール期待値」とは「シュートが得点となる確率」(0~1)のことであり、表Ⅱ・Ⅲの数値は「1試合分の総数」(データ上、期待されたゴール数)となっております。
ちなみに「被ゴール期待値」は「対戦相手のゴール期待値」と同じ値となります。
例えば「ゴールエリア内・ゴール正面からのシュート」であれば、得点となる確率が高いことは容易に想像がつくかと思います。そのため「ゴール期待値」は高い値(1に近い値)となります。
対して「ゴールから35m・角度40度のシュート」の場合、得点となる確率が低いことは容易に想像がつくかと思います。そのため「ゴール期待値」は低い値(0に近い値)となります。
この様に1試合の中で放たれたシュート全てに値付けをし、その総数を計算したものが、表Ⅱ・Ⅲの「ゴール期待値」となっています。
なお、実際には「ゴールへの距離」「シュートの角度」だけでなく、様々な要素を考慮した上で、各データ会社はゴール期待値を算出しております。
また「実際のスコア」が「ゴール期待値」を上回っている場合、「難易度の高いシュートが得点となった」もしくは「相手GKがミスを犯した」と考えることが出来、逆に下回っている場合、「難易度の低いシュートを外した」もしくは「相手GKがビッグセーブをした」と考えることが出来ます。
「期待値上の勝ち点」とは
「期待値上の勝ち点」とは「ゴール期待値」上でのスコアを勝ち点に換算した値となります。
例:ゴール期待値「1.723対0.824」の場合、前者に「勝ち点3」を付与
ただ「1.342対1.415」という様な僅差の場合、これで後者のクラブの勝利と判断するのは、少々、乱暴であると思われ、それと同時にどこかで線引きは必要になって来るということで、本記事では「小数点第1位」を四捨五入した上で勝ち点に換算させて頂きます。
例:ゴール期待値「2.32対2.73」の場合「2対3」と見做し、後者に「勝ち点3」を付与
例:ゴール期待値「1.32対1.41」の場合「1対1」と見做し、両者に「勝ち点1」を付与
注:ゴール期待値「0.51対1.49」と数値に開きがある場合も「1対1」と見做すことになってしまうという、ある種の欠落が本検証には存在
なお「期待値上の勝ち点」という定義は、僕が個人で決めたものであり、データ分析の世界で実際に使用されているか否かは、専門家ではないため分かり兼ねます。
ただ「ゴール期待値上のスコア」で試合を評価する手法は『サッカーはデータが10割 最強アナリストが明かすプレミアリーグで優勝する方法』の中で、著者であるグラハム氏がクロップ監督(当時)に「データ分析とは何か」を説明する際にも用いられています。
ゴール期待値から観る「樹森監督の解任」

※ 期待値は小数点第1位を四捨五入
表Ⅱ・Ⅳの通り、樹森体制では「実際の勝ち点」が“19”であったのに対し「期待値上の勝ち点」は“24”となっており、この点から実際の成績よりも優れたパフォーマンスであったことが推測されます。
また、実際の数値と期待値では「得点数」に大きな変化がない一方で「失点数」は“5”減少している点から、実際には守備面で何か不運な出来事があった(相手選手のゴラッソなど)と考えることが出来ます。
ちなみにシーズン通して、期待値通り「20試合で勝ち点24」ペースで勝ち点を積み上げた場合「38試合で勝ち点45.6」となり、これは36節終了現在、残留圏内の最後尾につける17位グランパスの「勝ち点40」を上回る値となります。
以上の点から「ゴール期待値上」では、解任に至る必要はなかったとも考えられ、これは僕の(3試合のみではありますが)ビデオ分析の結果・印象とも合致しています。
最も「解任に至る必要はなかった“とも”」と表現した通り、「期待値上の勝ち点」は悪くはないものの、シーズン途中まで残留争いに巻き込まれる可能性はあり、どこを目標としていたかにもよりますが、一概に社長を始めとした、クラブ側の判断を批判することは出来ないかと思います。
それでも、繰り返しになりますが、僕個人的には樹森氏のスタイルに好印象を抱いているため、現在、コーチを務めている栃木SCでの成功を祈っております。
※ 栃木SCは、35節終了現在「J2昇格プレーオフ出場圏内」まで「勝ち点1」差
ゴール期待値から観る「入江体制の成績」

※ 期待値は小数点第1位を四捨五入
※ 36節終了現在
表Ⅲ・Ⅴの通り、入江体制では「実際の勝ち点」が“4”であるのに対し「期待値上の勝ち点」は“17”となっており、樹森体制と同じく、この点から実際の成績よりも優れたパフォーマンスであったことが推測されます。
また、実際の数値と期待値では「得点数」「失点数」共に期待値の方が優れた数字となっている点、及び、実際には勝ち星がつかない苦しい日々を送っている点を踏まえると、相手選手の好パフォーマンスという不運だけでなく、アルビレックスの選手にもメンタル面の影響から、通常時では起こり得ないプレーが、シュートシーン(被シュートシーン)において、出てしまっていた可能性が考えられます。
ちなみに期待値通り「16試合で勝ち点17」ペースで勝ち点を積み上げた場合「18試合で勝ち点19.125」となり、これは識者の間で残留ラインの目安と言われる「1試合平均勝ち点1以上」をクリアしているため、クラブ状況を考えれば、評価に値する数字と言えるかと思います。
以上の点から「ゴール期待値」から観れば、実際の成績は“正当な結果”とは言えないと評することが出来るかと思います。
もちろん「実際の成績」「降格決定という現実」等々から、ファン・サポーターが不満を持つことは当然ではありますが、こういった観方もあるという点だけでも、頭の片隅に入れておいて頂けると幸いです。
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【データ分析】「アルビレックス新潟 期待値から検証する“2025シーズン”」は以上なります。
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