記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【サブスタンス】あらすじ・感想(三幕構成で読み解く)

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

登場人物
エリザベス(デミ・ムーア):キャリア30年以上のハリウッドスター女優。
スー(マーガレット・クアリー):若くて美しいエリザベスの分身。
ハーヴェイ(デニス・クエイド):テレビ局の社長(兼プロデューサー)。

監督:コラリー・ファルジャ
2024年製作/142分/R15+/イギリス・フランス合作
原題または英題:The Substance
配給:ギャガ
劇場公開日:2025年5月16日

まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

一幕

1-1:状況:エリザベスは30年近く務めたレギュラー番組から降ろされる。

1-2:目的:エリザベスは若い分身を作って芸能界で再び覇権を目指す。

二幕

2-3:障害:スーはテレビ局の仕事を獲得する。セクハラ上司。

2-4:障害:スーは公私共に充実し、エリザベスは更に堕落する。エリザベスは老いた自分に相応しい恋に挑戦しようとするが、理想の自分であるスーが脳裏にチラついて踏み出せずに終わる。スーがルールに背いて延長をくりかえすので老化がどんどん進行するエリザベスは分身の停止を検討するが、スーが成功目前だと考えるとそれも出来ない。

2-5:状況:あるきっかけで激昂したスーは、エリザベスとの交代を一切拒否して数ヶ月を過ごす。

2-6:障害:エリザベスから抽出できる安定剤が枯れてしまったので、スーは止むを得ず交代する。3ヶ月ぶりに目覚めたエリザベスはすっかり老化した体を見て分身の停止を決行するが、気の迷いから中断してしまい、目を覚ましたスーに蹴り殺される。

三幕

3-7:佳境:すぐに体が崩壊し始めたスーは状況を打破するために分身を作るが、生まれたのは怪物エリサスーだった。エリサスーは精神も異常で、テレビ局を阿鼻叫喚の惨劇にする。

3-8:結末:エリサスーは体が完全に崩壊して、やがてハリウッドの塵になって消える。ウォークオブフェイムにはエリザベスのプレートだけが残る。

FIN

▼解説・感想:

●構成

第一幕:エリザベスの苦悩
第二幕:スーの成功とエリザベスの堕落
第三幕:エリサスーの惨劇と自滅

綺麗な三幕構成でした。

●総評

まるで実写版『笑ゥせぇるすまん』のような大傑作。冒頭からキューブリック味を感じさせる撮影が多いなーと観てたらクライマックスで時計じかけと2001年とシャイニングを合体させてほぼそのまま詰め込んでて、大いに楽しませてくれた。デミムーアとマーガレットクアリーの女優魂よ。

https://x.com/james_miles_jp/status/1932468070309917116

アマゾンプライムビデオで実写版『笑ゥせぇるすまん』(主演:ロバート秋山)の告知がありましたけど、どうしてもこの映画と比べちゃうかもですね。だってフォーマットが完全に一致してるんですもの。(笑)

困窮する主人公
→怪しい薬を手に入れる
→いったん上手く行く
→主人公がルールを破る
→とんでもないことが起こる(薬の副作用などで不幸になる)

●溢れるキューブリック愛

まんまシャイニングやんけ。

シンメトリーのを徹底して人間味を消すことで神々しさを獲得した画面は、キューブリックの代名詞ですよね。

これは逆モノリスと呼ぶべきでしょうか。

クライマックスでは『2001年宇宙の旅』の音楽を鳴らしながら、『時計じかけのオレンジ』のようなトップレス女優が集まるお祭り空間で、『シャイニング』のような怒涛の血飛沫でした。もう笑っちゃいましたよ。

●女性監督が描く絶妙なバランス

すごいハイレグをすごい位置からの悩殺ショットの連続。これは女を視姦するキモい男の目線をとにかく露悪的に具現化したものですね。でも女性監督だからなのか、エロ過ぎにならない奇跡のバランスを保持していました。

プロデューサーの名前がハーヴェイなのも絶対わざとでしょう。名前が出た瞬間から爆笑しました。

●狂気のエンディング

普通の映画ならここがクライマックスで、ここで二人は和解してハッピーエンドになるのに…という場面からラストまでの狂気の暴走がマジで凄いです。

なんというか、これは伝説のホラー映画『ブレインデッド』に匹敵するカタルシスだと思われます。

また第一幕から第二幕にかけての心理的にグイグイ攻めてくる感じから、大三幕でモンスターが現れて破壊の限りを尽くすところまで、荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』の4部のような雰囲気を感じました。私はジョジョでは4部が特に好きなのですが、日本版実写映画『ダイヤモンドは砕けない』では抜け落ちたものが、しっかりと映画化されているように感じて大満足でした。

実は私は今年のアカデミー賞の頃に、クリーチャーのデザインだけTwitterとかでネタバレ見ちゃって、本編の劇場観覧は二の足踏んでたのですが、これは映画館で観て大正解でした。まだ4Kの箱で上映してくれてたMOVIXさいたまに感謝です。

(了)

いいなと思ったら応援しよう!

まいるず 最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!

この記事が参加している募集