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【太陽を盗んだ男】あらすじ・感想(三幕構成で読み解く)

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

登場人物
城戸誠(沢田研二):化学オタクで中学校の理科教師
山下警部(菅原文太):捜査一課の凄腕刑事
沢井零子/ゼロ(池上季実子):ラジオの美人DJ

監督:長谷川和彦
1979年製作/147分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1979年10月6日

まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

一幕

1-1:状況:中学校理科の教師で化学オタクでもある城戸は覇気のない毎日を暮らしていた。城戸は自作の催眠ガスを使って交番の警察官からピストルを盗むなどプライベートでは猟奇的な一面を持っている男だが、騒ぎを大きくしすぎない程度には自重していた。しかし修学旅行のバスを軍用ライフルと手榴弾で武装した精神異常者に襲われて山下警部に出会い生還するという、城戸は壮絶な経験を通じて大いに感化される。

1-2:目的:城戸は綿密な計画と訓練の末に、東海村の原発施設に侵入して核燃料を盗み出し、そこから金属プルトニウムを精製して原子爆弾の作成に成功する。この原爆を使って何をしてやろうか。

二幕

2-3:障害①:城戸はまずは国会議事堂にダミー原爆を仕掛けて、自身が東海村の窃盗犯であり今や原爆を所有していることを政府に信用させて、今後の交渉役として山下警部を指名する。城戸は手始めにプロ野球のナイター中継を試合終了まで延長させる。

2-4:障害②:ただのオタクだった城戸にとって原爆は手段ではなく目的だった。やりたいことがなくなり原爆を持て余した城戸は、人気ラジオDJのゼロを通じて「やりたいこと」を一般公募し、結果的にゼロの提案であるローリングストーンズの来日公演(これより以前に日本政府が拒絶していた)を政府に要求する。

2-5:状況:音楽業界の関係者から政府がストーンズ招致に動き出したことを知ったゼロは、ラジオ公開収録の聴衆から直感的な観察力で城戸を見つけ出して接近する。しかし城戸はゼロを拒絶する。警察の事情聴取に協力するゼロだが、城戸の逮捕に繋がる有力な情報は決して明かさない。

2-6:障害③:原爆を製作するためにヤミ金で借金していた城戸は取立てにあって、即座に政府に5億円を要求する。現金受け渡しの最中で、山下警部は他の電話回線を全て切る荒業で城戸の想定よりも40秒早く逆探知に成功し、追い詰められた城戸は原爆を手放す交換条件を出して、メーデー集会と現金ばら撒きで混乱する渋谷東急から逃走に成功する。原爆を失って意気消沈した城戸の前に再びゼロが現れる。

三幕

3-7:佳境:もはや狂信者になっていたゼロにそそのかされて、城戸は原爆を奪って逃走する。パトカー数台と報道ヘリが交錯する激しいカーチェイスの末にゼロは山下警部が発砲した銃弾で死亡し、城戸は原爆を持ってまたもや逃げ切る。

3-8:結末:ストーンズの武道館公演で待ち伏せしていた山下警部に城戸は正体を明かし、科学技術館の屋上で脅迫する。取っ組み合いの末に山下警部は飛び降り心中を図るが、またもや強運の城戸だけが生き残り、満身創痍の城戸は原爆をカバンに入れたまま虚な眼差しで東京の街を彷徨う。

FIN

▼解説・感想:

●構成

1-1:状況:城戸は山下警部に出会う
1-2:目的:城戸は原子爆弾を作成する
2-3:障害①:第一の要求(野球中継)
2-4:障害②:第二の要求(ライブ)
2-5:状況:城戸にゼロが接近するが拒絶する
2-6:障害③:第三の要求(5億円)
3-7:佳境:城戸はゼロにそそのかされて原爆を奪って逃走する
3-8:結末:城戸は山下を殺して原爆を持ち去る

城戸の成長(暴走と破滅)が綺麗な三幕構成となっています。

●感想

いろんな意味ですごい映画ですね。

城戸を演じる沢田研二の色気が規格外です。

猫が虐待されるシーンもあって、昭和だからできた演出だと感心しました。

そして一度は更生しかけた城戸の人生を完全に破壊するゼロのファムファタールっぷりも、非常に映画的に良かったです。

「原爆、いいじゃない!面白いもん」
「原爆の兄ちゃんは皆んなに夢を売ったのよ」

なんというか、メディアとか芸能の、無責任な感じが出ているのも、すごく映画として良かったです。

前半に何度か登場する城戸の奇行シーン(ターザンの物真似)が、後半であんなふうに活かされてくるなんて、しかも2回も、とても良い脚本だと思いました。(笑)

ピストルで何発も撃たれてるのに、暴れ続けて、そのまま城戸を取り押さえてしまう山下警部が強すぎて可笑しかったです。あの演出もいかにも昭和的ですよね。

(了)

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