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【オズの魔法使】あらすじ・感想【*ウィキッドの予習として】

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

後半では『ウィキッド』の視聴までに知っておくと役立つ情報を書きます。なお本稿に『ウィキッド』のネタバレはありません。ただし大前提として『ウィキッド』は『オズの魔法使』の前日譚(エピソードゼロ)であるということくらいは流石に知っているものだと想定して書いています。これを事前に知ってても映画の面白さは損なわれないと思います。

登場人物
ドロシー(ジュディ・ガーランド):カンザスの農場に住む少女。
カカシ(レイ・ボルジャー):脳みそがないことを悩む案山子。
ブリキ(ジャック・ヘイリー):ハートがないことを悩むブリキ男。
ライオン(バート・ラー):度胸がないことを悩むライオン。


まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕

1)カンザスに住む少女ドロシーは、飼い犬のトトがガルチ婦人の庭を荒らしてしまい、婦人は法律に基づき犬を連れ去ろうとしたので、犬と一緒に家出する。

2)ドロシーは思い直して帰路につくが、運悪く竜巻が直撃して自宅ごとオズの国に飛ばされて困り果てる。落下の際に自宅が「東の悪しき魔女」を押し潰してしまい、ドロシーはその姉である「西の悪しき魔女」の恨みを買う。ドロシーは「善き魔女」であるグリンダの助言に従い、カンザスに帰る方法を大賢者であるオズの魔法使に求めて徒歩でエメラルドシティを目指す。

二幕

3)ドロシーは旅の途中で、カカシとブリキとライオンが仲間になる。

4)西の魔女が「眠くなる魔法」でドロシー達を妨害するが、グリンダの雪の魔法で切り抜ける。

5)ドロシー達はオズの魔法使いに謁見して、願いを叶えて欲しければ西の魔女のほうきを持ってくるようにと命じられる。

6)ドロシーが西の魔女の手下に拉致される。ドロシーはトトを助けるためにルビーの靴を渡すことに応じるが、死ぬまで脱げない魔法の靴だったので処刑執行が決まる。一方、カカシとブリキとライオンはドロシー救出のために西の魔女の城に潜入する。魔女に見つかって追い詰められるが、カカシについた火を消すためにドロシーがバケツの水をぶちまけると西の魔女にも水がかかり、そのまま魔女は溶けてなくなる。

三幕

7)ドロシー達はオズの魔法使いに再度謁見するが、正体は魔法を使えないカンザス出身の男だった。しかし男は機転を利かせてカカシとブリキとライオンに褒美の品を与え、ドロシーを気球でカンザスまで送ると約束する。

8)トトが暴れた拍子でドロシーは気球に乗り遅れてオズの魔法使いは去る。そこに再びグリンダが現れて、ドロシーはルビーの靴の踵を3回叩く魔法でカンザスに帰り、故郷が一番良いと深く実感する。

FIN

1939年製作/101分/アメリカ
原題または英題:The Wizard of Oz
配給:MGM
劇場公開日:1954年12月25日

▼解説・感想:

●構成

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

1-1:状況:家出するドロシーと犬
1-2:目的:カンザスに帰るために旅へ
2-3:障害:旅の仲間が加わる
2-4:障害:悪い魔女の妨害
2-5:状況:オズの魔法使からの指令
2-6:障害:悪い魔女との戦い
3-7:佳境:オズの魔法使の正体
3-8:結末:無事に帰るドロシーと犬

「主人公が、旅に出て、そして帰ってくる」という物語の基本形ですね。

●感想

1939年に製作された映画だと考えれば、すごい作品だと思います。

現代のコンプラ社会では不可能な映像表現も多くて興味深いです。具体的には高いところから飛び降りる小型犬とか、全身を派手な色でペイントされる馬とか、撮影用のすごく健康に悪そうな雪の代替物とか、役者の腕が燃えるとか、今ならCGで済ませそうな表現が軒並みプラクティカルエフェクト(実際にやっている)ので、ライブ感と迫力と、失敗が許されない撮影現場の緊張感が全ての映像にみなぎっていて見応えがあります。

●オズの魔法使からの贈り物

実は魔法使ではなかったことがバレてしまいますが、そこから機転を利かせます。

「君に脳みそはある、ただし無いのは卒業証書だ」

「君に度胸はある、ただし無いのは勲章だ」

「君にハートはある、ただし無いのはその証だ」

形のないものを、何か形があるもので見える化させることで、価値を実感したり証明したりすることの重要さを語っていて、私はとても好きです。

この物語でカカシとブリキとライオンは、ドロシーを救出する時点ですでにそれぞれが欲しがっていたものを持っていたので、冷たい性格の人からしたら「私にしてやれることは無い」と門前払いしてしまいそうなところを、持ち前のウィットと優しさで贈り物をあげるオズの魔法使は、とても優秀で仕事ができる人だろうと思います。

▼ウィキッド視聴に役立つ知識:

●バケツの水

ドロシーがカカシを消火するために水をぶちまけたバケツ。この時に水を浴びた魔女は溶けてしまいます。水に何か特殊なものが混ぜてあったのか、それともバケツに魔法がかかっていたのかなど詳細は不明です。ただし西の悪い魔女は水が弱点であるということは知っておいた方が良いでしょう。

●オズの魔法使い

実は普通のおじさんで魔法は使えません。1939年版『オズの魔法使』では犬がカーテンをスーッと開けると両手でハンドルをぐるぐる回すおじさんが見えてしまう、おもしろポイントです。この機械のデザインはなんとなく覚えておくと、より『ウィキッド』を楽しめるでしょう。

●空を飛ぶ猿

西の悪い魔女が家来にしている「羽が生えた猿」は『ウィキッド』にも登場します。進化したCG技術でどう描かれるか、注目です。

●ケシの花

西の悪い魔女は魔法を使って、ケシの花の香りでドロシーを眠らせて妨害します。この魔法は人間のドロシーと動物のライオンに効果がありました。ブリキとカカシには効きませんでした。

●黄色いレンガの道

エメラルドシティへは黄色いレンガで道が通じていて、オズの国の各地からでも迷わず辿り着けるようになっています。

●エメラルドシティの門番

エメラルドシティの門番の俳優に顔がよく似ている俳優が『ウィキッド』のエメラルドシティにも出てきます。詳しくはここに書きませんのでご自身で確かめてください。

●マンチキンの村

マンチキンという名前の小人族の村です。オズの国にあります。1939年版の映画では子供や小人症の大人がマンチキンを演じていて、服装やメイクや歌い方や喋り方のクセがかなり強いです。

現代の感覚で見ると正直少し気色悪いと感じます。そもそもマンチキンって日本語訳したら「ニワトリ人間」ですからね。ニワトリみたいに小さくて、高い声で鳴いてそうな、変な人達というニュアンスです。これは現在では特定の人種への差別的な表現だと見なされるリスクがありますが、そういう世界観が直接的に描かれています。今じゃできないでしょう。(個人の感想・意見・論評)

これが2024年に制作された映画では、どのように変更されたか?…を観るのは『ウィキッド』の一つの注目ポイントだと言えるでしょう。

●東の悪しき魔女

西の魔女の妹は『オズの魔法使』で登場した時点で事故死しており、足元のみが画面に映ります。しかし、『ウィキッド』では重要人物として登場します。姉と同様に彼女もまた「東の悪しき魔女」と呼ばれて、マンチキン族から恐れられていたので、彼女がどのようにして闇堕ちするのかもまた注目ポイントになるでしょう。


(了)

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