【ノスフェラトゥ】あらすじ・感想(三幕構成で読み解く)
結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。
登場人物
トーマス(ニコラス・ホルト):ドイツの不動産業で働く青年。
エレン(リリー=ローズ・デップ):トーマスの美しい妻。
ハーディング(アーロン・テイラー=ジョンソン):造船会社の若き社長。
オルロック伯爵(ビル・スカルスガルド):ルーマニアの山奥に住む富豪。
フランツ教授(ウィレム・デフォー):スイスのオカルト哲学者。

2024年製作/133分/PG12/アメリカ
原題または英題:Nosferatu
配給:パルコ
劇場公開日:2025年5月16日
まずは、物語を三幕8場構成に分解します。
一幕
一場:状況説明
二場:目的の設定
二幕
三場:一番低い障害
四場:二番目に低い障害
五場:状況の再整備
六場:一番高い障害
三幕
七場:真のクライマックス
八場:すべての結末
一幕
1-1:状況:エレンは不吉な夢をみる。トーマスはルーマニアへの出張が決まる。しかし、実はそれは悪魔崇拝者の雇用主ノックがトーマスとエレンをノスフェラトゥへの生贄として差し出すための陰謀だった。
1-2:目的:不安がるエレンはハーディング夫妻の屋敷に滞在する。トーマスは怪奇現象を経験しながら目的地に到着する。
二幕
2-3:障害:トーマスは不気味なオルロック伯爵に翻弄されて恐怖する。トーマスはオルロック伯爵が用意した契約書を、内容をよく理解しないまま署名する。(後から判明するがそれはエレンを提供する同意書だった)
2-4:障害:トーマスは屋敷の地下にある棺桶の死体がオルロック伯爵だと知って逃走するが、崖から川に落ちて消息不明になる。エレンはてんかんなど異常な発作を繰り返す。ノックは異常行動を起こして警察に勾留される。
2-5:状況:オルロックは呪いの土と一緒に船で、トーマスは川岸に流れ着いたのを助けてくれたルーマニアの寺院から飛び出して馬で、それぞれドイツを目指す。ハーディングはスイスから来ていたオカルト哲学者のフランツ教授にエレンの病状分析を依頼する。
2-6:障害:嵐が来る。トーマスが街に戻る。ノックが脱走する。オルロック伯爵が乗っていた船の乗組員が疫病で全滅して、船が港に激突し、ネズミを町中にばら撒き、疫病が蔓延する。フランツ教授はノックの古文書を発見してオルロック伯爵がノスフェラトゥの呪いにかかっていることを知る。オルロック伯爵が呪いをかけてハーディングの妻と娘が死ぬ。
三幕
3-7:佳境:エレンは覚悟を決める。事情を知るフランツ教授が口裏を合わせて、トーマスを偽りのオルロック捕獲作戦に連れていく。オルロック伯爵の新居でノスフェラトゥの土とノックを焼き払う。エレンは部屋にオルロック伯爵を誘い込む。
3-8:結末:オルロック伯爵とエレンは結ばれて、朝が訪れ、オルロック伯爵は窓から射す太陽の光に焼かれて息絶える。駆けつけたトーマスは、ノスフェラトゥの呪いを解く犠牲になったエレンの最期を見届ける。
FIN
▼解説・感想:
1922年版を先に観ておくことを推奨します。たぶん著作権が切れてるらしくYouTubeに複数アップされてます。日本語対応はないかもしれませんが、ウィキペディアに詳細なあらすじがあるのでもし英語が苦手でも困らないと思います。
映画.COMには以下のように書かれていますが:
「ライトハウス」「ノースマン 導かれし復讐者」の鬼才ロバート・エガース監督が、吸血鬼映画の原点とも言われ、自身も多大な影響を受けたという1922年のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」に、独自の視点を取り入れて描いたゴシック・ロマンスホラー。
私の感覚だと、監督「独自の視点」というのは殆ど無くて、ファッションを現代的にアップデートしただけで、映画のテーマは1922年版に全く忠実であるようにも感じました。
1922年版との最大の違いはエレンの描写にも多くの時間を割いていることでしょう。でもそれって「独自の視点」と呼べるのかしら?と感じます。2024年に映画化するなら、このくらいは普通でしょう。
逆に言うと、明らかに1922年版のデザインを踏襲しているものも多くて、それを見つける面白さがあります。
●ビジュアル
文句なしに素晴らしいです。さすがアカデミー賞4部門ノミネート!

撮影賞→ブルータリスト
美術賞・衣装賞→ウィキッド
メイク&ヘアスタイル賞→サブスタンス
そして、リリー=ローズ・デップの演技が色んな意味でヤバイです。(語彙力w)
●恐怖
美しさでは2024年版が圧倒的に上ですが、恐怖の面では1922年版が優っていたと思います。特に最後にオルロックがエレンを吸血する場面は、1922年版が本当に怖くて。
そういう意味では、2024年版は少し期待外れだったかもしれません。VFXで何でも描けるから見せすぎてしまうのは、監督やVFXアーティストの行き過ぎたエゴなのでしょうか。
総合点では2024年版の圧勝ですが、瞬間最大風速では1922年版が勝ったという感触です。
みんな、1922年版を観ましょう。
『吸血鬼ノスフェラトゥ』 1922年公開。サイレント映画。カメラや撮影の技術こそ未熟だが、ロケ撮影の画面構図に凝ったシーンが多くて見応えがある。吸血鬼のショットは本当に恐ろしい。モチーフは吸血鬼だが、根底の主題は疫病ペストへの恐怖と、それを無垢な乙女の生贄が救うという宗教的な価値観。
●ブルーレイ
私は今作を海外版4Kブルーレイで、日本劇場公開よりも早く視聴しました。日本配給はパルコなので、結果的には映画館よりも良い画質で観れたのではないでしょうか。

あとエクステンドカットも観られるのが嬉しいですね。
劇場版との差分については、こちらのサイトにも詳しく載っています。そこまで劇的に変わるというものではないです。
(了)
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