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日本人の物語01400【アイヌ神話】名刀クドネシリカ

名刀クドネシリカ(表記によってはクトネシリカ)は、刀剣乱舞には登場しないようです。登場させれば良いのに。

 黄金のラッコをめぐるオマンペシカでの戦いで名を上げたポイヤウンペでしたが、次なる刺客が放たれてきました。
 あるとき、ポイヤウンペの住むシヌタプカにおいて酒宴が開かれていました。すると宴のさなか、ポイヤウンペの妻となったオマンペシカ姫が、
「沖の方から数知れぬ敵がやってくる」
と予言し始めました。この敵はユーカラの中で「招かれざる者」と呼ばれており、何とも不気味です。
 オマンペシカ姫がいうには、敵のうち多くは姫の呪術によって退却させることに成功したものの、敵のうち2人はかなり強くて呪術が効かないといいます。また、
「少なくとも兄たちは助からない。もしやここにいる者は全員死ぬかもしれない」
といった不吉な予言もなされました。
 やがてその敵が現れました。その2人とはシララペツ人とカネペツ人で、岩のような鎧を身にまとい、その岩の角には毒液の出るトゲが立っている恐ろしいいで立ちです。
 シララペツとカネペツという地名が現在のどこを指すのか、よく分かっていません。北海道には士別市(しべつし)や標津町(しべつちょう)があるほか、クンネベツ(陸別町)という地名があり、このあたりかもしれません。
 オマンペシカ姫の予言通り、兄のカムイオトプシはシララペツ人のトゲに刺されて死んでしまいました。酒宴の席に招かれていたオマンペシカ酋長たちも次々と殺され、最後に立ち向かったポイヤウンペもまた敵のトゲに刺されて息も絶え絶えです。
 ところがここで、ポイヤウンペが腰に差していた名刀「クドネシリカ」が輝き出しました。クドネシリカには多くの神が取り憑いており、その狼神や龍神たちが敵に噛みつき、見事これを倒したのです。
 一方、別の話ではポイヤウンペがただやられて瀕死の重傷を負い、巫女たちの看病によって助かった、というだけのエピソードになっています。つまりシララペツ人とカネペツ人を倒すことはできなかったというものです。
 また「ユーカラ」の特徴として、死んだ者がなぜか次のチャプターでは生き返っているケースが多くみられます。ここで殺された兄のカムイオトプシも、前回殺されたチュプカ姫も、その後何食わぬ顔で再登場しています。どうもアイヌ神話は一話完結形式で作られており、話ごとに独立性が高いようです。

死んだ人が生き返るエピソードがあるわけではなく、何食わぬ顔をして生き返るのです。不思議なお話です。

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