日本人の物語01397【アイヌ神話】ポイヤウンペ登場
アイヌ神話のチャプターに入ってから、アクセス数が極端に減りました。やはりアイヌに関心を向ける人は少ないようですね。
アイヌラックルの話はこのくらいにして、もう一人の英雄・ポイヤウンペについて語らねばなりません。
アイヌラックルとポイヤウンペはどのような関係にあるのか不明ですが、「兄弟」と位置付ける伝説もあるそうです。
あるとき、天界の神々が下界の人間の里を見下ろしていました。そこに家が二つ並んでおり、二人の美しい少女、チキサニ姫とアトニ姫が住んでいました。中でもカンナカムイという雷神が特に熱心に二人の少女を覗き込んでいたので、他の神々がいたずらしてカンナカムイを後ろから突き落としてしまいます。
雷の神であるカンナカムイが落ちると、2人の少女の家はその衝撃で焼けてしまいました。2人の少女はこのとき妊娠し、やがてそれぞれ男子を産みました。チキサニ姫が産んだのがアイヌラックルで、アトニ姫が産んだのがポイヤウンペだというのです。
チキサニとアトニは木の種名であり、つまりこの神話は樹木への落雷によって火が付く瞬間を目撃した衝撃から生まれたものと考えられます。その自然の力に人々は畏れを抱き、神性を感じたのでしょう。
さて、ポイヤウンペの冒険譚を語っていきましょう。
ポイヤウンペはシヌタプカの山(北海道石狩市)で義理の家族に囲まれて暮らしていました。少年ポイヤウンペは刀の鞘に彫刻を彫る仕事を任され、毎日いそしんでいましたが、ある日おかしな噂を耳にします。
イシカリ川(石狩川)の河口で、黄金のラッコが目撃されたというのです。イシカリの酋長は
「このラッコを捕獲した者には、わが城の宝とわが妹・イシカリ姫を与えよう」
と触れ回ったので、周辺の若者たちはイシカリに集まり、ラッコを探し求めたといいます。
この噂を聞いた義姉はひどく怒り出し、ポイヤウンペに
「あんな噂に耳を傾けてはいけない」
と述べました。ポイヤウンペは内心はこの話に惹かれながらも、義姉の手前、仕方なく彫刻の仕事に打ち込んでいました。
ある夜、どうしても眠れなくなったポイヤウンペは起き出し、義兄と義姉が眠っているのを確認すると、館を飛び出してイシカリに向かいました。
「黄金のラッコ」というのがいかにも地域性を感じさせるストーリー展開ですね。
