日本人の物語00080【神代】スサノオの試練
さて、オオアナムジはスサノオのいる根之堅州国にやって来ました。
スサノオが産まれたとき、「亡き母のいる根之堅州国に行きたい」と言って泣き喚いたことは既に紹介しましたね。してみれば、根之堅州国とはイザナミのいる黄泉の国と同一の概念なのでしょうか。しかし黄泉の国との境目は、イザナギが既に千引の岩によって閉ざしてしまったはずです。どうもよく分かりませんが、これ以上追及しても仕方ないので、話を先に進めましょう。
オオアナムジはそこで、スセリビメ(須勢理毘売)と出会います。
スセリビメはスサノオの娘でした。オオアナムジから見れば、6代祖先の娘ですから、はるかに年上ということになってしまいそうですが、そこは神々の世界の話ですから、年齢の上下関係はよく分かりません。
オオアナムジとスセリビメはすぐに惹かれあい、結婚します。スセリビメはオオアナムジを家に連れ帰り、父のスサノオに引き合わせます。
スサノオとしては、自分の許しも得ずに勝手に結婚してしまったわけですから、面白いはずがありません。スサノオはオオアナムジを呼び入れて、
「この部屋で寝るように」
と言ってたくさんの蛇がいる部屋に案内しました。嫌がらせのレベルが現代人とは桁違いですね。
スセリビメは、オオアナムジに蛇に襲われないための方法をこっそり教えます。布を渡して
「この布を3回振って蛇を打ち払ってください。きっと蛇は大人しくなります」
と言います。オオアナムジが言われたとおりにすると、蛇は確かに大人しくなりました。
次の日の夜、スサノオはオオアナムジをムカデと蜂の部屋に入れました。今度もスセリビメがまた別の布を渡し、オオアナムジがそれを使うとムカデと蜂は大人しくなりました。
スサノオの出す試練はどんどんエスカレートして行きます。今度はオオアナムジを野原に連れていき、鏑矢を野原に射こみ、それを取ってくるよう命じました。オオアナムジが野原に入ると、なんとスサノオは野に火を放ちました。オオアナムジの周囲が火で囲まれてしまいます。本気で殺そうとしているように思えますね。
火に囲まれ、途方に暮れたオオアナムジでしたが、そこに一匹の鼠が現れ
「内はほらほら、外はすぶすぶ」
と言って地面を踏むよう合図しました。
オオアナムジが地面を勢いよく踏んでみると、穴が開いて土の中に落ちていきました。こうしてオオアナムジは火から逃れることができたのです。しかも、その鼠が鏑矢までくわえて持ってきてくれました。
こうしてオオアナムジは、スサノオが与えた試練を三度に渡って乗り切ったのです。
