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日本人の物語01398【アイヌ神話】黄金のラッコ

石狩に礼文に知床(次回出てきます)と、アイヌ神話には北海道の広範に渡る地域が登場します。詳細な地図はまだ作られていなかったものの、ある程度地理は分かっていたようですね。

 ポイヤウンペがイシカリ川の河口に到着すると、波の中に黄金にきらめくラッコがいるではありませんか。
 しかし河岸にはラッコを狙う者たちがひしめき合っていました。多くのライバルがいる中、ポイヤウンペはまずは他の者の挑戦を観察することにしました。
 見ていると、イシカリ城から例の酋長の妹・イシカリ姫が出てきました。この姫は期待とは裏腹に醜い女でした。
 そのイシカリ姫が見守る中でレブンシリヒコという男がラッコを捕るべく飛び込んでいきました。名前から考えて礼文島(北海道礼文町)を本拠とする人物なのでしょう。そのレブンシリヒコはラッコ捕獲に失敗し、水死体となって岸に打ち上げられます。
 続いてポンモシリヒコが黄金の鎖帷子(くさりかたびら)を装着した状態で飛び込みましたが、これまた水死体となって岸に打ち上げられました。服が重すぎたのかもしれません。ちなみにポンモシリとはアイヌ語で「小さい島」の意味で、道内にいくつもこの地名があります。
 若者たちが次々と水死するのを見て、イシカリ姫は「それみたことか」と嘲笑しました。醜い上に性格も悪いようです。
 これを見ていたポイヤウンペは我慢できなくなり、海に飛び込んでさっさとラッコを捕らえ、そのまま陸に出て振り向きもせず、シヌタプカの山へと帰っていきました。イシカリ姫はポイヤウンペが逃亡したことに怒り、
「何が何でもラッコを捕らえた者に嫁ぐ。もし相手が神ならば死んででも嫁ぐ」
などと言って騒ぎ始めました。どうやら人間と神は結婚できないしきたりですが、人間が死ねば神になれるので結婚できるようです。
 ポイヤウンペはそんなことも知らず、家に着くとラッコを祭壇に置き、そのまま眠ってしまいました。
 翌朝、起床した義兄と義姉は黄金のラッコを見つけて仰天しました。2人でどうしたものかと議論していると、そこにたまたまポイヤウンペの実兄・カムイオトプシがやって来て、ラッコを見つけてこれまた驚愕してしまいます。
「我が弟がこのような大事を引き起こしてしまうとは。我らの村は無事では済まないぞ。イシカリ村との戦争になる」
 カムイオトプシはこう述べて絶望し、一同は重苦しい空気に包まれました。とにかく村との戦いに備えようと、一同はポイヤウンペを残して出かけていきます。どうやらポイヤウンペは戦力外とみなされているようです。

ポンモシリヒコもきっとどこか特定の場所に紐付く人物名なのでしょうが、残念ながら分かりませんでした。

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