日本人の物語00083【神代】オオモノヌシ登場*
さて、オオクニヌシの国作りを手伝ったスクナビコナは、道半ばで常世国(とこよのくに)に去ってしまいました。まだ登場したばかりでキャラも立っていないのに、すぐにいなくなってしまうんですね。
相棒を失ったオオクニヌシは大いに悲しみ、
「自分一人でどうやって国作りを進めれば良いのだろう。誰か一緒にやってくれる神はいないだろうか」
と呟きます。
まさにそのとき、海の向こうからやってくる神がいました。
「私をしっかり祀ってくれるならば、一緒に国を作ってやろう」
と言います。その神はオオモノヌシ(大物主)という蛇の神でした。言われたとおりにオオモノヌシを祀ると、オオモノヌシは国作りに協力してくれました。
オオクニヌシがオオモノヌシを祀った場所はどこなのか。
オオモノヌシを祭神とする神社といえば、奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)です。三輪山をご神体とする神社です。しかし、後に崇神天皇が大神神社を建てる記述があるので、この時点でオオクニヌシが大神神社を建てたとは考えられません。
そもそも、この後で神武天皇が「東征」を行い、苦労して大和国(奈良県)に入るエピソードが描かれているわけですから、この時点では奈良県はまだ神々に従わない人々が跋扈していた土地のはずです。オオクニヌシが奈良県内に入って神社を建てているというのはおかしな話です。
もう一つ不思議なことがあります。オオクニヌシとオオモノヌシって、何だか名前が似ていますよね。
古事記ではオオクニヌシとオオモノヌシは別の神として登場しますが、日本書紀では「オオモノヌシはオオクニヌシの別名」と書かれており、2つの神は同一視されているのです。オオモノヌシという神をどう捉えれば良いのか。これは日本神話の重要な謎の一つなのです。
さて、オオクニヌシはオオモノヌシと協力して国作りを進めた、というのですが、これまた国作りとやらの詳細が何も書かれていません。とにかくオオクニヌシはオオモノヌシと協力して、葦原中国の国作りは完成したようです。
国作りが終わり、葦原中国は大いににぎわい、その様子が高天原にも伝わりました。葦原中国の様子を知ったアマテラスは、
「葦原中国は我が子が治めるべき国である」
と主張し、オオクニヌシに国を譲るよう交渉を開始します。
ここから、オオクニヌシが葦原中国をアマテラスに引き渡す、いわゆる「国譲り」が始まります。


