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不登校の娘が学校行事に参加した日② 行ってよかったね、の理由

今年の3月まで通っていた学校に到着。
いまの学校からは、車で10分ほどの距離。
校舎の匂いも雰囲気も、なんにも変わっていなかった。

「おじゃまします」

児童用の昇降口から中に入る。
体育館の入り口で
かつて同じクラスだった子のママと話していると、

「あ~っ、〇〇ちゃ~ん!」

娘の名前を呼びながら、廊下を走ってきたのは校長だった。

娘は恥ずかしそうにうつむいたけれど、
すぐにその表情は明るくなった。

「よくきたね、元気そうでよかった!」
 
私も笑顔で

「はい、元気です」

と答えた。
心の中では、
(元気ですが、学校には行けてません)
と呟いた。

「これから体育館で始まる催しを見ていってね」

と校長。
 
来賓が座る位置に、私と娘の椅子を用意してくれた。
娘は3年生のかたまりを見つけて、ちょっと気まずそう。
 (目立つ……)
かつてのクラスメイトたちが娘を見つけて、ソワソワしている。


文化祭が終わり、下校の時間。
ひと足先に校庭で仲良しのAちゃんを待つ。
私は娘の手に、バザーで買った
Aちゃんへのおみやげのぬいぐるみをそっとのせた。

児童が一斉に校庭に集まり、
帰りのあいさつを終えると、
チャイムの音とともに
Aちゃんが手を振りながら、
走って娘のもとにやってきた。

笑顔のAちゃんに、娘がぬいぐるみをさし出す。

「はい、これおみやげだよ。おそろいね」

娘はそう言うと、最高にキラキラした笑顔を見せた。

「写真撮って!」

Aちゃんや、学童で仲良くしていた女の子たちとも、
並んで写真を撮った。
キャピキャピしたその光景を見て、思わず目頭が熱くなった。
 
あの頃と同じ笑顔。
楽しそうにしている娘の姿を見つめながら、
 (やっぱり転校させなければよかったのかな)
そんな想いが頭をかすめた。

「お昼ご飯食べたら、ゲームしようね!」

 Aちゃんの言葉に、また娘がニコッと笑った。

「うん!じゃ~またあとでね!」
 

駐車場に向かいながらふと気付いた。
あの頃の笑顔をもう一度見たかったのは、
私だった。
そう思うと、娘の手を握ったぬくもりが、
少しだけ痛く感じた。

でも、
今日ここに来た意味は、きっとそれだけじゃない。

(いまの学校でも、また場所が変わったとしても、
こんな笑顔を見られる日がきっとくる)

そう思いながら私は前を向き、車にエンジンをかけた。



前回の記事はこちらです。


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