色眼鏡【アマノ文筆クラブ】
「僕は、色眼鏡で人を見ることはしないんだ。」
婚活パーティで知り合った男は、不思議な男だった。
偏見というものが無いらしい。
だから、人の見た目を気にしないし、年収の多寡、社会的地位、年齢、男女、信条、いっさいお構いなし。
社長にも、アルバイトにも同じ口調。
お年寄りにも、赤ちゃんにも変わらぬ笑顔。
知り合いにも、初対面にも態度は同じ。
まったく偏見がなく、平等──。
彼との待ち合わせ場所で、あたしはバッグをひったくられそうになった。
あたしが金切り声を上げて応戦しているところ、彼は到着し、二人を諫めてこう言った。
「まあまあ。この男性にも、バッグが欲しい事情があるのかも知れない。
いや。そのピンクのバッグは彼のものかも。あるいは……。」
──善人も悪人も、愛する人も。
彼には区別がないらしい。
完
参加させていただいたのはこちら。
