🐴 Aussie オーストラリア、馬と暮らした物語<10>🐴
【第10話】ホースフロートを探せ
—馬を運ぶために、まずTowbarをつけた。—
Jackをもらい受けることは決まった。
ただ、問題があった。引っ越したばかりの新しい家には、まだステーブルもパドックもない。整備が完了するまでの間、Jackは近くのAgistment(アジストメント)で預かってもらうことになった。
さらに、もうひとつの問題があった。
ポニークラブの馬たちは、雨季になると内陸の放牧地へ移動する。スコールが毎日のように続くこの時期、2ヶ月ほどはクラブの活動も止まる。その前にJackを迎えなければならない。時間がなかった。
そうなると、どうしても必要になるものがある。
馬を運ぶための、ホースフロートだ。
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ホースフロートとは、馬専用のトレーラーのことだ。馬を乗せ、車で引っ張って移動する。自馬を持つということは、このフロートも持つということとほぼ同義だった。ホースクラブの活動にも、競技会にも、レッスンにも——馬がいる限り、フロートは欠かせない。
さて、どこで買うのか。
サドルワールドでも、さすがに扱っていなかった。普通のショップで売っているものでもない。そこで頼ったのが、「Gumtree(ガムツリー)」だった。
日本の「メルカリ」に近いが、もう少し地域密着型のオンライン掲示板だ。ホースフロートやトレーラーのような大物から、なんと家まで売りに出ている。基本的には、出品者に直接連絡を取り、自分の目で確かめに行く。値段も自分で交渉して決める。自己責任の、潔いシステムだ。
さっそく検索すると、数件の出品があった。

その中から、家の近い出品者に連絡を取り、家族3人で見に行くことにした。
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その家も、広いパドックを持つ馬のいる家だった。
出迎えてくれたのは、高齢の穏やかなご夫婦。パドックの中に、額に月のような白いマークのある馬が1頭、のんびりと草を食んでいた。以前は数頭飼っていたが、今はこのムーン君だけになったので、フロートは使わなくなったとのことだった。

フロートは、2頭が入れられる大きさで、状態もきれいだった。
即決だった。

馬の話をひとしきりして、これから娘がホースクラブに入ると話すと、「それは楽しくなるわね」と笑顔で応援してくれた。初めて会ったばかりなのに、その温かさが胸に沁みた。
—馬が好きな人は、みんな優しい。
そう、勝手に納得していた。
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即決した以上、その日のうちに持ち帰ることになった。
フロートは道路を走るので、車検証のようなものがある。オーナー変更の手続きは、1週間以内にMotor Vehicle Registry(MVR)で行えばよいとのことだった。
一番必要だったホースフロートが手に入った。思った以上に簡単だった。
そして、この大事なホースフロートを引っ張って帰った。
そう、引っ張るのだ。
車の後ろにTowbar(トウバー)という丸いフックを取り付ければ、トレーラーを連結して引っ張ることができる。この辺りでは、庭木や刈った芝生をトレーラーで運んだり、ボートを引いたりする人が多いので、カーショップに頼めばすぐに取り付けてもらえる。
ただし、ホースフロートは横幅があるため、車のブレーキランプやウインカーが隠れてしまう。フロート側にテールランプとウインカーランプが必要で、そのための電気を通すトレーラープラグも、あわせて取り付けておいた。
運転は、当然パパだった。
私がフロートを引っ張って走るなど、考えられなかった——この時は。
ところがである。
その後、馬を連れてのクラブ通いも、競技会も、レッスンも、ほとんど私がハンドルを握ることになるのだった。
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