【植物画・ボタニカルアート】どんぐりたちが出番をまっている
~趣味で植物の絵を描いています~
私が目指しているのはボタニカルアートです。
ボタニカルイラストレーションは植物学的な正確さを重んじ、図鑑や研究のための“記録”として描かれるのに対し、ボタニカルアートは光や色、季節の気配、空気の揺らぎといった“詩的な要素”を大切にしています。
どんぐりたちは、多様性を示す
先日、まだ立秋を過ぎたばかりなのに、いつもの散歩道で緑や茶色のイガグリが落ちているのを見つけました。 実りを迎える前に、風に揺さぶられて落ちてしまったのでしょうか。 同じ道沿いのブナ科の木々では、黄緑色のどんぐりたちが毎日少しずつ大きくなり、季節の歩みを無言で知らせてくれています。
以前、秋の植物観察を兼ねたハイキングに参加したとき、どんぐりの種類の多さとその多様性に心から驚いたことがあります。 殻斗の形、実の色合い、葉の質感。それぞれがまるで違う姿をしていて、その妙なる造形に心を打たれました。その後、近くの山でいろいろなどんぐりを拾い集め、 手元に集まったどんぐりたちを並べて描いてみました。
どんぐりは、ブナ科コナラ属(Quercus)、シイ属、マテバシイ族、ブナ属の植物がつける堅果です。 種によって、殻斗(帽子)の形、実の姿、葉の質感、季節性が大きく異なり、その違いが森の豊かな多様性を形づくっています。
殻斗の形にも個性があります。 コナラは細かな鱗片状、クヌギはトゲ状に発達し、シラカシやウラジロガシは縞模様が見えることがあります。 スダジイの殻斗は深い椀状で、堅果を半分以上しっかり包み込むのが特徴です。 どんぐりの木には、コナラやクヌギのような落葉樹と、シラカシやウラジロガシのような常緑樹があり、森の色合いにも違いをもたらしています。
また、どんぐりは種によって、花が咲いてから実が熟すまでの期間が異なるという興味深い特徴があります。 一年で実る「一年成」には、コナラ、クヌギ、シラカシ、スダジイなどがあり、 翌年の秋に熟す「二年成」には、アラカシ、カシワ、マテバシイなどがあります。
真ん中に描いたのはクリ(Castanea crenata)。 ブナ科クリ属の落葉高木で、日本の里山ではもっとも身近な堅果のひとつ。 縄文時代から人と深く関わってきた植物でもあります。 密に生えた鋭いトゲをもつイガは、外敵から種子を守るための防御構造で、熟すと自然に三裂し、中から艶のある栗が姿を見せます。 硬い殻と渋皮に包まれた実の奥には、胚が大きく発達した種子があり、葉は細長い楕円形で鋸歯があり、やや厚みのある質感をしています。 初夏に花をつけ、秋に実が熟します。花の咲くころには特徴的な香りが漂い、森の季節を知らせてくれます。
この絵には、手元に集まったコナラ、クヌギ、クリ、ウラジロガシ、シラカシを描きましたが、 まだまだ個性豊かなどんぐりたちが森にはたくさんあります。 それらも、いつか描いてみたいと思っています。

クリ(中央)
クヌギ(左下) シラカシ(右下)
