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☕ 黄金の掌(てのひら)☕

こんにちは‼ 柊紅葉です。💕💖💕


12月も、あと、1週間とチョットですね。💕

皆さん、体調の方は崩されておりませんか?

寒い日が続きますが、お体の方

どうぞ、ご自愛くださいませ。❤️❤️❤️


今回の物語は、一人の男性に起こった、

不思議な出来事をテーマにしました。


この物語の主人公・源治は、自分の人生を

「泥水のようなものだ」と諦めていた、

どこにでもいる不器用な男です。

そんな彼が、ある夕暮れのコンビニ前で、

一人の老婆と出会います。


これは、たった二枚の千円札から始まった、

現代の「わらしべ長者」の物語です。😊

「情けは人のためならず」という言葉がありますが、

それは見返りを求めることではなく、誰かを思う「ぬくもり」が、

長い時間をかけて自分のもとへ帰ってくるということなのかもしれません。



読み終わったあと、皆様の心に、

少しだけ温かな灯がともれば幸いです。😊



柊紅葉💖💕💖



【序章:焦げ付いた日常】


アスファルトから立ち上る陽炎が、50歳になった源治の視界をゆがめていた。 工事現場の交通整理、あるいは資材運び。
日雇いの仕事で一日を使い果たし、手元に残るのは現金で2000円。
それが彼の「人生の現在地」だった。


飯場に戻れば、塩辛い煮物と白飯の三食は約束されている。

だが、それだけでは心の渇きは癒えない。

仕事上がりのコンビニで買う、喉を焼くような安酒。

指先を黄色く染める安タバコ。

そして週末、競艇場のモニターを見つめ、なけなしの金を溶かす時間。

「どうせ俺の人生なんて、このまま泥水みたいに沈んでいくんだ」

独りごちは、吐き出す煙と一緒に夜空へ溶けて消えるのが常だった。


【第一章:コンビニの街灯の下で】


ある秋の夕暮れ。いつものコンビニの前で、

彼はその異様な光景を目にした。

一人の老婆が、地面を這うようにして、あるいは祈るようにして、

アスファルトを凝視している。 「……ない、どこにもない……」

擦り切れた声。最初は「厄介な酔っ払いか」と無視して通り過ぎた。

だが、買い物を終えて出てきても、老婆はまだそこにいた。

街灯の青白い光に照らされ、枯れ枝のような体を震わせている。


「……婆さん、何探してんだ。落とし物か?」

源治の声は、自分でも驚くほどぶっきらぼうだった。

老婆が顔を上げた。その瞳は涙で潤み、絶望に濁っていた。

「今日、年金をおろしたんです。でも、若い男に道を聞かれて……慌てて教えたあと、カバンを見たら、封筒がなかったんです」

源治の胸の奥が、ちくりと痛んだ。

かつて故郷で死んだ、自分の母親を思い出した。

苦労ばかりかけて、死に目にさえ会えなかった。

「……ちっ、運がなかったな。これ、持っていけ。飯代くらいにはなる」

源治はポケットの中でくしゃくしゃになった二枚の千円札を取り出した。


それは今日、一日中汗を流して、足腰の痛みと引き換えに得た全財産だった。

「そんな、見ず知らずの方から……」と拒む老婆の手を強引に引き、

源治は彼女を交番まで送り届けた。

警察官に事情を説明する彼女の背中は、小さくて、今にも折れそうだった。

【第二章:鼠が運んできた縁】


一週間後。あのコンビニの店員が、入店した源治に駆け寄ってきた。

「あ、あの! 先日の。あのおばあさんが、どうしてもこれを、と」

渡されたのは、古いハンカチに包まれた小さな塊だった。

中には、真っ黒に使い込まれた、
小さな**「木彫りの鼠」**が入っていた。

『お金を返せなくて申し訳ない。せめて、亡き夫の形見ですが、これをお守りに……』 添えられた手紙の文字は、震えていたが丁寧だった。

源治は鼻で笑った。

「2000円が、木彫りのネズミか。まあ、博打の運が向くかもしれねえな」

彼はそのネズミを、泥に汚れた作業用腰袋の隅に、

不器用な結び目でくくりつけた。

ところが、その小さなネズミが奇妙な連鎖を引き起こす。

数日後、現場視察に来ていた資産家風の老紳士が、

源治の腰袋を見て息を呑んだ。

「……君。そのネズミ、見せてくれないか?」

紳士は震える手で木彫りの鼠を観察した。

「これは江戸時代の名工、左甚五郎の流れを汲む幻の『眠り鼠』だ。

私がずっと探していたものだ……」 源治は金を受け取るのを拒んだ。

「あんたみたいな惚れ込んでる奴が持つ方が、こいつも幸せだろ」

紳士は感銘を受け、代わりに、自分の胸ポケットにあった**「銀色の重厚な万年筆」**を源治に託した。


その万年筆は、次に訪れた公園で、

愛用のペンを壊して泣きべそをかいていた若い脚本家を救うことになる。



「これを使え。書ければなんだっていいんだろ?」

源治が貸したそのペンで、青年は人生を変える大仕事の契約書にサインをした。

【第三章:蔵の底に眠る遺産】


「源さん、あのペンのおかげで道が開けました。

お礼に、私の実家にある古い蔵の整理をお願いできませんか?」

数カ月後、出世した脚本家の青年が源治を訪ねてきた。



整理の仕事は、源治にとって慣れたものだった。

だが、埃にまみれたガラクタを運び出していたとき、

指先に違和感を覚えた。壁の一部が、わずかに浮いている。

そこを剥がすと、分厚い革のケースが姿を現した。


中には、黄ばんだ一通の**「戦前の株券」と、

ある
「広大な山林の権利書」**。

青年の一族すら存在を忘れていたその土地は、

今まさに、政府の巨大プロジェクトの建設予定地に指定されていた。

「源さんが見つけてくれなければ、このまま朽ちていた。

これはあなたが手繰り寄せた運命です」 青年は言った。

土地の売却益の一部が、源治に譲渡された。

それは、日雇いの2000円を何万回繰り返しても届かない、

天文学的な数字だった。


【終章:黄金のぬくもり】


現在、源治はスーツを着ていない。

彼はあの老婆を呼び寄せ、彼女のように身寄りのない老人たちが、

安らいで暮らせるシェアハウスを建て、その「管理人」として働いている。

夕暮れ時、彼はかつての習慣で、あのコンビニへ歩いていく。



レジで1000円札を二枚出し、少し高いコーヒーと、

老婆の大好物である和菓子を買う。

「……お釣りは、募金箱にでも入れといてくれ」

源治は、今でもあの2000円を握りしめていた頃の自分を忘れていない。

泥にまみれた手で、それでも誰かのためにその手を差し伸べた者が、

最後に掴み取る「心の報酬」のことなのだ。

源治の掌には、あの日老婆を支えたときと同じ、

温かなぬくもりが今も宿っている。

終わり


あとがき:2000円が繋いだ「心のバトン」


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この物語を書くきっかけは、
日々の生活の中で私たちがつい見過ごしてしまう
「小さなしあわせ」や「ささやかな善意」を
見つめ直したいと思ったことでした。

主人公の源治は、決して恵まれた環境にいるわけではありません。
むしろ、社会の隅っこで、今日を生きるだけで精一杯の男です。
そんな彼が、自分の唯一の財産とも言える2000円を差し出したとき、
運命の歯車が回り始めました。

「わらしべ長者」という童話は、
一本の藁(わら)が物として価値を変えていく物語ですが、
この現代版わらしべ長者において、
価値を変えていったのは「物」ではなく、
そこに宿った「誰かを思う気持ち」でした。

老婆の感謝が木彫りの鼠になり、
源治の無欲さが万年筆になり、
そして青年の誠実さが蔵の秘密へと繋がっていく。

私たちは、ついつい「何を手に入れたか」で
人生の豊かさを測ってしまいがちです。
しかし、源治が最後に手に入れたのは、
巨万の富そのものではなく、その富を使って
「誰かの居場所」を守るという、新しい生きがいでした。

もし、皆様が明日、街角で誰かの困っている姿を見かけたら。
あるいは、自分自身が何かに挫けそうになったら。
この不器用な男、源治のことを少しだけ思い出してみてください。

一握りの善意は、巡り巡って、
いつか必ずあなた自身の心を温める光になって帰ってくると、
私は信じています。


それでは、また、お会いしましょう。😊


💖柊紅葉でした。💖


❤️クリエーターさんご紹介❤️

ひな姫さん、いつも有難うございます。😊


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柊紅葉 お読みになってくださり有難うございます。よろしければ応援頂ければ幸いです。皆様が興味を引く様な記事を書き続けて行きたいと思って折ります。 今後もご期待下さい。❤️

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