【連載】お風呂女子旅 Vol.2
【連載】お風呂女子旅 Vol.2 へようこそ。
こんにちは!柊紅葉です。💕 リゾートの華やかな空気を背に、バスはさらに山奥へと進んでいきます。
窓の外を流れる緑が深くなり、ふと鼻をくすぐる濃厚な硫黄の香り。 そこは、コンビニも信号機もない、森と湯煙だけの世界です。
毎日を懸命に走っていると、時々「自分」という輪郭がわからなくなってしまうことはありませんか? 「ただ、静かな場所に身を置きたい」 「真っ白なお湯に、自分を溶かしてしまいたい」 そんなふうに思ったときこそ、秘湯への旅の合図です。
前回よりスタートした**「お風呂女子旅シリーズ」。 第2弾となる今回は、岩手・八幡平の奥深くに佇む「松川温泉」**へご案内します。
このシリーズは、単なる温泉ガイドではありません。 一人の女性の旅路を通して、川のせせらぎや、白濁のお湯の温もりを、物語のように綴っていく**「読む温泉旅行」**です。
どうぞ、スマホを置いて静かな森へ迷い込んだつもりで、ページをめくってください。✨

松川温泉 〜白濁の湯と森の音〜
八幡平温泉郷での一夜が明け、私はさらに奥地へと向かうバスに乗り込んだ。 目指すは、開湯から280年以上の歴史を誇る秘湯、「松川温泉」。
バスが山道を登るにつれ、窓の外の緑はより深く、原生林の様相を帯びてくる。 しばらくすると、森の中に巨大な冷却塔が現れ、もくもくと白い蒸気を上げているのが見えた。 日本初の地熱発電所があるこの場所は、まさに大地のエネルギーが噴き出すホットスポットだ。
バスを降りると、昨日の八幡平温泉郷とはまた違う、濃厚な硫黄の香りに包まれた。 コンビニも、きらびやかなお土産屋さんもない。 あるのは、湯治場の風情を残す宿と、圧倒的な自然だけ。 「ここまで来ると、空気の密度が違う気がする」 私はリュックのベルトを締め直し、宿への吊り橋を渡った。
♨️ 湯の魅力:白に溶け、音に癒やされる
松川温泉の代名詞といえば、この美しい**「白濁(はくだく)の湯」**だ。 宿の長い廊下を渡り、渓流沿いの露天風呂へ。
引き戸を開けると、目の前には森の緑と、対照的な乳白色のお湯が広がっていた。 「わぁ……綺麗」 その色は、入浴剤では絶対に出せない、青みがかった神秘的なミルク色。

かけ湯をして、そっと足を入れる。 お湯は底が見えないほど濃い。 木造りの湯船に肩まで沈むと、自分の体が白いお湯に溶けてなくなってしまいそうな、不思議な感覚に陥る。
すぐ横を流れる松川の渓流が、ザァーッという力強い音を立てている。 BGMは、川の音と、森を揺らす風の音だけ。 目をつぶると、自分が森の一部になったようだ。 単純硫黄泉のお湯は、滑らかで優しいけれど、体の芯を掴むような力強さがある。
私は湯船の縁に腕を乗せ、ぼんやりと川面を眺めた。 都会でカチコチになっていた「私」という輪郭が、この白濁の湯の中で、ゆっくりとほどけていくのがわかる。
📝 旅コラム:地熱の恵みと、ゆで卵
松川温泉に来たら、外せないのが「温泉卵」だ。 宿の入り口や売店では、地熱の蒸気で蒸された卵が売られている。
湯上がり、ポカポカした体のまま、熱々の殻を剥く。 白身はほんのり茶色く色づき、硫黄の香りが少し移っている。 塩をちょっと振って頬張ると、素朴な旨味が口いっぱいに広がった。

「おいしい……」
なんの変哲もないゆで卵なのに、どうしてこんなにご馳走なんだろう。 この蒸気も、お湯も、すべて足元の地球が作り出しているもの。 そう思うと、ただの卵ひとつが、とても愛おしく思えてくる。
スマホの電波は少し弱いけれど、それがむしろ心地いい。 今夜は早めに布団に入って、川の音を子守唄にしよう。
【 取材メモ:松川温泉 】
アクセス: 八幡平温泉郷からバスでさらに奥へ約20分〜30分。冬期は雪深いエリアのため、バス利用が安心。
泉質: 単純硫黄泉(硫化水素型)。色が濃く、硫黄の香りが強いのが特徴。
注意点: 硫黄成分が強いため、シルバーアクセサリーは真っ黒に変色します。入浴前には必ず外しましょう(経験者は語る…)。
次回予告:Vol.3 藤七温泉編 「空に浮かぶ、泥のパノラマ。」 旅の最後は、東北最高峰の温泉へ。 遮るもののない空の下、野生の解放感を味わいます。
お楽しみに。
Vol.3へ続く 💖
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今後もご期待下さい。❤️