「帆で走る船」から「帆で水素をつくる船」へ—ウインドチャレンジャーとウインドハンターの技術的なつながり
前回の記事では、商船三井の「ウインドハンタープロジェクト」全体像をご紹介しました。今回は少し視点を変えて、ウインドハンターの「土台」となっている技術、ウインドチャレンジャーとのつながりに注目してみます\(^o^)/
「帆で走る船」が、なぜ「帆で水素をつくる船」へと発展できたのか?その流れを追うと、商船三井の技術の積み重ねが見えてきます(´;ω;`)
(トップ画像は商船三井さまホームページよりお借りしました)
「ウインドチャレンジャー」とは(。´・ω・)?
ウインドチャレンジャーは、商船三井が開発した「硬翼帆(こうよくほ)式の風力補助推進システム」です。

布製の柔らかい帆ではなく、表面を硬い素材、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で覆った最先端の帆です。軽量で丈夫なうえ、風を効率よく推進力に変えられるのが特徴です。
この帆は、風向・風速をリアルタイムでセンサーが感知し、展帆・縮帆・回転をすべて自動制御します。乗組員が特別な技術を持っていなくても扱えるよう設計されており、荒天時には帆を縮めて重心を下げ、安全性を確保します。
2022年10月に竣工した第1船「松風丸」では、実航海で1日最大17%、日本〜豪州航路で平均5%、日本〜北米西岸航路で平均8%の燃料消費量削減効果を記録しています。
「風で走る」の先へ——ウインドハンターへの発展
ウインドチャレンジャーは、あくまでも「補助推進」の技術です。主役はディーゼルエンジンであり、帆はその燃費を少し良くするためのサポート役。それでも十分すごいのですが、商船三井はここで立ち止まりませんでした(´;ω;`)
「風の力で走るだけでなく、風の力で水素もつくれないか?」
そこから生まれたのが、ウインドハンタープロジェクトです(´;ω;`)
ウインドハンターは、ウインドチャレンジャーで培った帆の技術をベースに、さらに高度な技術を組み合わせています。帆で受けた風力エネルギーを推進力に使いながら、船底の水中タービンでも発電し、その電力で海水から水素を製造する…という、文字通り「動く水素工場」です。
つまり、ウインドハンターはウインドチャレンジャーの「進化形」ではなく、「発展形」といえます(´;ω;`)✨帆の技術という共通の土台の上に、水素製造・貯蔵・供給という新しい役割が乗っかった、全くあたらしい船のかたちです。
二つのプロジェクトの「役割分担」
ここで、両者の役割を整理してみましょう。
ウインドチャレンジャーは、今ある大型貨物船に帆を追加することで、燃費を改善する「現実的な脱炭素の一歩」です。既存船への後付けも可能で、すでに松風丸をはじめ複数の船に搭載が進んでいます。商船三井は2030年までに25隻、2035年までに80隻への搭載を計画しています。
一方のウインドハンターは、水素サプライチェーンそのものを担う「未来の脱炭素インフラ」です。船がエネルギーを「運ぶ」だけでなく「つくって届ける」存在になるという、海運の役割を根本から広げる挑戦です。
二つのプロジェクトは競合しているのではなく、近い未来と少し先の未来をそれぞれ担っているのです(´;ω;`)
帆の技術が「つなぐ」もの
振り返ってみると、商船三井の風力活用の歩みは一本の線でつながっています。
風力補助で燃費を下げる(ウインドチャレンジャー)
そして
風力で水素をつくって届ける(ウインドハンター)。
そしてウインドハンターの実証ヨット「ウインズ丸」が2025年3月に達成した「世界初・船上生産グリーン水素の陸上供給」は、この線の上にあるたしかな一歩です。
「帆で走る」という古くて新しい技術が、脱炭素の未来へと続く道をひらいています\(^o^)/これからがとても楽しみです✨
また続報がありましたら、お知らせいたします✨
参考資料
商船三井 Solutions「WIND HUNTER(ウインドハンター)グリーン水素生産・供給船」
www.mol-service.com商船三井 Solutions「風力補助推進システム『ウインドチャレンジャー』」
www.mol-service.com商船三井 プレスリリース「世界初、船上で生産したグリーン水素の陸上供給に成功」(2025年3月7日)
www.mol.co.jp
