十数年、晴れないモヤモヤ——日中にルーツを持つ若者の団体に入った理由
日中にルーツを持つ若者のコミュニティ、JC ROOTOPIAのnoteを始めます。
ここでは、日中ハーフ・華僑・華人——さまざまな形で中国とつながる若者たちが、自分のルーツやアイデンティティについて書いていきます。
第一号は、運営メンバーの一人である僕自身の話から。中国にルーツを持つ者としての「モヤモヤ」の話です。
モヤモヤの始まり
僕の両親はどちらも中国出身で、のちに日本に帰化した。当然親戚は皆中国語を話す。しかし、僕自身は日本生まれ日本育ちの日本国籍で、日本語しか話せなかった。
幼少期、自分のルーツやアイデンティティに関して深く考えたことはなかった。夏休み・冬休みに両親の中国への里帰りに同行せねばならず、親戚が中国語で話しかけてくるのに対して「听不懂!(*1)」と返答するのが煩わしいとは思っていたが、ただそれだけだった。
だが2010年、尖閣諸島で海上保安庁の船と中国漁船が衝突する事件があった。
それから瞬く間に色々なことが起きた。中国漁船の船長の逮捕と釈放、反日デモ、中国への批判。とにかく気が滅入るような報道ばかりだった。
そのあたりから、日本の中国への印象がうっすら悪くなったような気がする。
それから1年後、僕は中学に進学し、その懸念が現実であることを思い知る。
中学・高校の頃、こんなことがあった。
社会科で中国に関するネガティブな情報を先生が口にすると、「中国死ね!」と叫ぶクラスメート
中国史を学んでいる時に、いちいち捏造だの誇張だの言ってくるクラスメート
南京大虐殺否定などの内容が含まれる新書を副読本として授業を進める政治経済の先生
Twitter(現X)に中国ヘイトを無限に垂れ流すアカウント
小学校時代、もともと、一部のクラスメートから「中国人!」とからかわれることはあった。小学生にしては体が大きかったこともあって反撃できたし、「いじめ」というほどのことはなかった。
それに比べると、これらの出来事は、別に僕個人に向けられたものではない。でも、こういったことがある度に、僕はモヤモヤしてきた。
続くモヤモヤ
そして、それは未だに続いている。
近年、日中関係が良好だった時期はほとんどない。2025年の外交に関する世論調査の「中国に対する親近感」(*2)の結果も、「親しみを感じない」とする者の割合が83.5%という有様だ。それを裏付けるように、SNSでは中国・中国人への罵詈雑言が飛び交っている。
他人と雑談していても「中国は監視が怖い」「中国人のマナーが悪い」という話題になることは頻繁にある。その度に僕は愛想笑いをして話を合わせる。僕が特別にひどい環境にいたわけではない。中国への悪印象は、もはや日本においてありふれた感覚になってしまっている。
言ってしまえば、ただ自分のルーツの国がボロカスに言われているだけだ。僕自身に対する侮辱ではない。殴られたわけでもない。だから「大したことじゃない」と、自分に言い聞かせてきた。
それでも、名状しがたいモヤモヤを日々感じている。このモヤモヤを話し合ったり、共有したりできる場はないだろうか…
JC ROOTOPIAとの出会い
そんなときに出会ったのが、JC ROOTOPIAだった。
日本で唯一日本と中国にルーツを持つ若者だけを集めた『第三の居場所』を提供するコミュニティです
JC ROOTOPIA公式Instagramの自己紹介文より抜粋
この紹介文を見て「まさに自分のためのコミュニティだ」と思った。具体的に何をするのかは深く聞かなかった。ただ、このようなコミュニティが存在するのなら、是非自分が何かしらの形で貢献したいと思った。
そんなわけで、僕はJC ROOTOPIAの会員になった。
今は運営として、ホームページやこのnoteの開設をはじめ、色々とやっている。
JC ROOTOPIAは、日中にルーツを持つ若者(18~29歳)が集まるコミュニティだ。
日中ハーフ・華僑・華人など、日本・中国両方にルーツを持つ人だけが参加でき、オンライン・オフライン問わず、様々なイベントを実施している。2026年9月には一般社団法人として法人化する予定だ。
詳しくはホームページを見てほしい。
同じような悩みを抱えている方も、単に似たようなルーツを持つ人と繋がりたい方も、興味がわいたら、是非以下のページから参加申し込みをしてみてほしい。
noteでは何を発信するのか
JC ROOTOPIAでは、日中ハーフ・華僑・華人といった様々な中国関係のルーツを持つ人々に協力してもらい、自身のアイデンティティなどについて書いてもらう予定だ。
執筆にあたっては、仮名やイニシャルでの掲載が可能で、顔写真も必要ない。どこまで書くかは、すべて書き手本人が決める。公開後に取り下げたくなった場合も、いつでも応じる。
最後に
次回からは、僕以外のメンバーの話を届けていく。日中ハーフ、華僑、華人——同じ「中国にルーツを持つ」でも、抱えているものは全く違う。
僕と同じような生きづらさを感じてきた方や、ハーフ・華僑・華人・在日中国人をめぐる問題に関心を持っている方に、このnoteが届けば幸いだ。
JC ROOTOPIAの公式ホームページ
JC ROOTOPIAの公式Instagram
JC ROOTOPIAへの入会フォーム
*1…「何を言っているか分からない」という意味。発音は「ティンブードン」
*2…「内閣府『外交に関する世論調査』(令和7年9月調査)」より引用
