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社会経済の動向~ 誰も言わない日本と兵庫の「実力」(講師:藻谷浩介さん)を聴講して

本題に入る前に、うたってみました。
モーちゃんのデータドブリン
令和のWHAT

このブリーフィング資料は、株式会社日本総合研究所の主席研究員であり、株式会社日本政策投資銀行地域企画部特任顧問でもある藻谷浩介氏による『社会経済の動向 ~誰も言わない日本と兵庫の「実力」』と題された講義資料に基づいています。資料は、日本社会が抱える現状認識のギャップと、データに基づいた実態把握の重要性を強調し、未来への提言を行っています。

1. 現状認識のギャップと事実把握の重要性

藻谷氏は、日本人が「HOW(どう対処?)」や「WHY(なぜ?)」を好む一方で、現実が「如何なることになっているのか」という「WHAT(何が起きている?)」の把握を疎かにしていると指摘します。「実態は何なのかよく確認せずに、対処を知りたがる。」と述べ、昭和の価値観が令和の現実と乖離している現状を強調しています。

引用:

  • 「昭和は終わった。なのに頭の中には綿々と残っている。」

  • 「世の中はすっかり変わった。でも頭の中は昭和のまんま。大谷翔平が出ている時代にまだ自分は長嶋茂雄が一番…昭和の価値観で判断しているとやっぱり間違ってしまう。令和の現実を学べ。」

  • 「ダメなプレゼンはWHY(理由)を延々と語り【学者に多い】、突然HOWに話が飛ぶ。HOW【行政に多い】やWHYの前に、こちらWHAT。実態は如何なることになっているのか、現実を把握しよう。」

1.1. 事実の具体例

資料では、現在の日本社会における「勘違い」を具体的なデータで示し、現実を直視する必要性を訴えています。

  • 日本の治安: 戦後の殺人事件件数は減少し続けており、人情豊かとされる1950年よりも、直近の2024年の方が圧倒的に少ない(1950年の約2900件に対し、2024年は約850件)。

  • 日本の食料自給: 食料自給率を上げる鍵は米ではなく、麦、野菜・芋・豆、肉、果実の自給促進にあると指摘。米の生産額はユニクロの売上の半分程度に過ぎず、肉や野菜、パンの消費額が米を上回るにもかかわらず、「米が騒がれると米しか見ない…日本人はWhatに興味がないので、生産額を元にした議論がなされない。」と問題提起しています。

  • 日本のエネルギー輸入: 福島原発事故前の2010年と2024年を比較すると、化石燃料輸入量(原油△36%、天然ガス△7%、石炭△10%)は2割以上減少している。「原発停止分は、省エネ・再エネでとっくにカバー」されており、さらなる省エネで減少可能としています。

  • 日本の輸出額: バブル期の1990年と2024年を比較すると、ドル建ての輸出額は「高位安定」している。「円高でも売れる=円安でも増えないという事実を、誰も確かめず語らないガラパゴス日本」と、通説の誤りを指摘しています。

  • 日本の経常収支: バブル期の1990年と比較して、2024年の経常収支は「黒字激増」しており、「日本全体の黒字は史上最高レベル」であると明示しています。日本は米国、中国+香港、台湾、韓国、英国などに対して大幅な黒字を計上している一方で、中東や豪州、インドネシア+マレーシアには化石燃料の輸入で大赤字、そしてスイス、イタリア、フランスにはブランド品などで赤字であると分析しています。特に、工業国相手には機械・ハイテク部品・高機能素材を売って大黒字を維持しています。

2. 「日本経済は衰退の一途」なのか?

藻谷氏は、日本経済の「衰退」論に対し、多角的な視点から異論を唱えています。

  • 輸出競争力: 「製造業の輸出競争力は細部を作り込む日本文化が続く限り衰えない」と予測。

  • 経常収支: 「経常収支黒字も減る要素がない」としています。

  • 「日本経済衰退の真犯人」:

  • ✕産業力衰退:経常黒字は世界3位であり、衰退していない。

  • ✕外国人優遇:金額は些少で、経済全体への影響はゼロ。

  • △財務省:税収は史上最高にもかかわらず大赤字予算を組み、超積極財政を行っているにもかかわらずドル建てGDPが縮小している点を「無能」と断じています。MMT論者の求める積極財政も効果なしと結論づけています。

  • △消費税:減税・廃止しても「貯金増となるだけ」と指摘。

  • ◯財界:円安により保有ドルが増価し、「ウハウハ」な状態であるのに賃上げや納入価格上げをせず内需を破壊していると述べています。

一方で、日米の経済力(一人当たり名目GDP-$)の差がつき始めたのは「アベノミクスの異次元金融緩和」からであり、「ワニの口」のように開く日米格差があることを指摘しています。

引用:

  • 「ドルで見れば(=世界から見れば)最盛期は野田政権時代」

  • 「アベノミクスは…異次元金融緩和→ゼロ金利→円安→米国への投資還流を生んだ、ミッドウェー敗戦(前半)+インパール(後半)」

  • 「日本敗戦の主戦犯は、アベ信者。儲けたのはウォール街。日本からの資金流入で株高を維持。」

  • 「国力衰退ではなく、鬱病+認知症+貯金の亡者が今の日本。」

資料は、日本のGDPを支えるのは「ローカルな経済循環と消費」であり、「個人消費の拡大/縮小がGDPを動かしている」と分析しています。20世紀の貿易黒字(輸出>輸入)は全国の工場経由で地域経済に還流していたものの、2000年代以降は海外移転工場からの配当が増大する「所得黒字」が中心となり、さらに2010年代からは異次元金融緩和による米国へのキャピタルフライトや化石燃料価格の高騰・円安により「貿易赤字が定着」し、対外投資で稼いだ利益が国内に戻らず海外に再投資されている現状を指摘しています。

3. 人口動態とその近未来

日本の人口動態、特に高齢者と乳幼児·若者の実態に焦点を当て、未来への影響を考察しています。

  • 高齢者の増加: 75歳以上の人口は1975年の280万人から2024年には約7倍の2000万人と驚異的な増加を示しています。これは年金・医療・介護の負担増に直結し、日本社会と企業はこれに対応。平均寿命も延び続けているとしています。

  • 乳幼児の減少: 0~4歳の乳幼児は1975年の1004万人から2024年にはその5分の2の410万人にまで減少しています。

  • 都市部での若者減少: 「都会は若者が増え続ける」という認識は誤りで、東京や大阪、阪神間でも若者は減少していると指摘。これは「地元生まれ」が減っているためであり、「都会は田舎に比べてとても出生率が低く、新たに15歳を超える地元生まれの子が45歳を超える人の半分もいません。」と説明。「都会に若者が集まるほど、子どもが消えます。」と結論づけています。

  • 地方での高齢者減少: 過疎地では既に75歳以上の人口が減少し始めている一方、都会では今後も増加が続き、医療や介護が逼迫すると予測しています。

引用:

  • 「高齢者が激増し若者が減る日本と世界で…①オフィスに座り、打ち合わせしていろいろ『調整』し、書類を書く仕事は、AIによって自動化され、消えていく。②消費はするが労働はしない高齢層の増加により、エッセンシャルワーカーは年々不足する。」

  • 「AIに頼るような学歴エリートは不要に → エッセンシャルワークが高収入に」

3.1. 世界の人口動態(2025→50年)

日本だけでなく、中国や欧州、南北米州でも若年人口(15-44歳)が減少し、高齢者人口(75歳以上)が激増する傾向にあると述べています。

引用:

  • 「世界中で少子化が始まり、高齢者は激増し、各国が日本を追って衰える」

資料は、世界に先駆けて高齢者が減少に転じる日本の地方都市の一部が、子供の再増加を実現し、一足先に再生に向かうとしています。

4. 人口成熟に明るく対処するために

資料は、日本の置かれた状況を悲観するだけでなく、未来への対処法についても言及しています。

  • 「過疎」は「適疎」: 日本の大都市圏は世界的に見ても「異常なレベルの人口“過密”地」であると指摘。対照的に、但馬地区の可住地人口密度はベルギーやドイツと同程度であり、「ガラパゴス化した日本の大都市の目線では、人のいない田舎とされるが、世界的に見れば、たいへん人口密度が高い地域」としています。過密による住居費高騰、ストレスによる出生率低下、災害リスク、お金への100%依存生活といった問題がある一方で、「“過疎”は自然資本の豊かな“適疎”」であり、「人口が半減しても、地方は“適密”地帯」であるとポジティブに捉えています。

  • エネルギー源で見た人類史: 狩猟採集時代、農耕時代、工業時代(化石燃料前期)、IT時代(化石燃料後期)を経て、「里山資本主義時代-分散/小規模/連携の時代 [令和~]」へと移行すると提唱。再生可能エネルギーの小規模利用技術が深化し、CO2排出が限界となる時代としています。

  • 関係人口の重要性: 定住人口減少は不可避であるものの、その悪循環を壊すことは可能であると主張。「地元卑下/域内同調圧力の不快」「“青い鳥病”の蔓延」「若者流出/子育て欲求の自制」「定住人口の減少」といった現状認識に対し、「地元卑下/域内同調圧力を壊すカギとなるのが“関係人口”」であると述べ、以下の4類型を挙げています。

  • バーチャル移動型

  • 来訪型

  • 二地域居住型

  • 風の人型 – 来て、何年間か住む人 

  • 関係人口は「域内同調圧力から相対的に自由」であり、「地域の自己変革を応援する」存在であるとしています。

  • 人生設計の再考: 昭和の「7回裏で試合終了」だった人生(平均寿命70歳程度)が、令和では「9回裏まで+延長戦も」と長くなっていることを指摘。引退後の約10万時間という膨大な時間を想定できていない都会人の人生設計に警鐘を鳴らし、「仕事時間外に即時に自然や家族と触れ合える暮らし、半自給する暮らしの方が、人間らしい」と提言しています。都市部と比較して地方の生活保護費が低いのは、「給料以外の収入源、お金以外の“資本”も豊富なので、生活に困りにくい」ためであると示唆しています。

  • バックキャスティング思考: 「超高齢化社会の幸せ」を実現するためには、「未来から逆に振り返って、そこに行くため何をするか、何をしないか、を決めていく」というバックキャスティング思考が重要であると説いています。

引用:

  • 「稼いだ外貨が国内に回り、人口が減っても一人当たりの経済力の増える未来は、実現できる。『一円でも安く』と人件費を削り、消費しない投資家に配当を払うのは、やめられる。商品価値に見合った値上げもできる。」

  • 「自分が『やらない』というだけのことを『できない』と言い訳してはいけない。自分と若者にやらせてみることから始めよう。」

5. まとめ

藻谷氏の講義資料は、データに基づいた冷静な現状分析と、未来への積極的な提言で構成されています。日本社会、特に経済や人口に関する一般的な認識が、実際のデータと乖離していることを明確に示し、「昭和」の価値観から脱却し、「令和」の現実を直視することの重要性を強調しています。また、日本の強みである製造業の輸出競争力や経常黒字は維持されており、国力衰退というよりも、政策や社会構造に起因する「鬱病+認知症+貯金の亡者」のような状態であると診断しています。

未来に向けては、人口減少を不可避な前提としつつも、都市の「過密」と地方の「適疎」という実態を理解し、関係人口の活用、多様な働き方の推進、そしてバックキャスティング思考によって、地域経済の活性化と人間らしい豊かな生活を実現できるという希望を示しています。最終的に、現状を「できない」と言い訳せず、「やらない」ことを認識し、自ら行動を起こすことの重要性を訴えかけています。

データで見る日本の意外な真実〜治安、経済、人口のギャップに迫る(NotebookLMで音声)でもまとめたよ。


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