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AIと爆速開発!IVRy社内新聞「三田新報」誕生秘話

紙面の様子

はじめに

皆さんの組織では、Slack でのやり取りをどのように活用していますか?日々大量に飛び交うメッセージの中には、重要な意思決定、創造的なアイデア、貴重な知見が数多く含まれています。しかし、それらの情報は時間とともに埋もれてしまい、組織の資産として十分に活用されていないのが現状ではないでしょうか。

IVRy では、この課題を解決するため、Slack ワークスペース内の情報を効率的に分析・可視化するシステム「三田新報」の開発に取り組んでいます。今回は、この取り組みについてご紹介したいと思います。

社史とわたし

2025/5/1に Slack 上で IVRy の CEO である奥西様にピッチをして、シリーズAの調達が通ったことで三田新報社は旗揚げしました。「三田新報社」という社名は、IVRyのオフィスが三田にあること、社内新聞を発行することを主な事業活動とすることから名付けられました。
時を同じくして、2025/5/1に筆者は株式会社IVRyに入社しました。
申し遅れましたが、三田新報社の小林と申します。普段は IVRy で主にフロントエンドの開発をしています。

社主の町田が奥西さんに掛け合ってシリーズAの調達に成功

翌日5/2、IVRyの上長である町永さんのゴールデンウィークのタスクを巻き取るため、私はバイトとして三田新報社に参画しました。

面接の様子

三田新報が解決する課題

現代の企業において、Slack は単なるチャットツールを超え、組織の知識が蓄積される重要な場となりています。しかし、以下のような課題に直面している組織は多いのではないでしょうか?

  • 情報の見逃し: 重要な議論が行われていても、参加していないメンバーには伝わらない

  • 知見の埋没: 過去の貴重な議論や決定事項が、時間とともに見つけにくくなる

  • 情報格差: チャンネルによって情報の濃度に差があり、全体像が見えにくい

三田新報は、これらの課題に対するソリューションとして生まれました。

開発体制

建て付けとしては社内スタートアップという体で活動していますが、要するに有志で余暇時間を活用して趣味に本気で取り組んでいます。ただ、実際の開発フローでエンジニアがコーディングをすることはほとんどなく、Devin や Cursor 、Claude Code などのエージェントが95%程度のコードを書いていて、人間は指示出しをしたり、多少のモデレーションをしたりしているだけです。 社員の私は、本業のタスクもなるべく AI にデリゲートすることを意識しているので、ひたすら並列にタスクを投げて、要件定義を AI と一緒にやったり、コードレビューを主に人間の三田新報社員が引き受けている、という体制で開発しています。

三田新報の仕組み

三田新報は、組織内の Slack ワークスペースから価値ある情報を自動的に発見し、新聞のように整理して配信するシステムです。

データ収集から配信まで

まず、Slack のパブリックチャンネルからデータベースにメッセージを収集します。IVRy ではほとんどのチャンネルがパブリックチャンネルのため、パブリックチャンネルをマイニングするだけで会社の概観が分かるといっても過言ではないほど情報の透明性が高いです。

収集されたデータは、AI 技術と統計分析を組み合わせて処理されます。単純にメッセージ数の多さだけでなく、議論の深さ、参加者の多様性、絵文字リアクションの量や分布、話題の新しさなど、複数の指標を組み合わせて「ホットなトピック」を自動で識別します。

最後に、発見された重要な情報は読みやすい形で要約され、日刊の新聞と、1週間の動向をまとめた週刊の2ラインが現在動作しています。まるで新聞を読むような感覚で、組織全体の動向を把握できるのです。

24 時間稼働する情報アンテナ

三田新報の大きな特徴の一つは、AI によって駆動しているため、24 時間継続して動作することです。深夜や早朝の議論、異なるタイムゾーンで働くメンバー間のやり取りも漏らすことなく捕捉します。

唯一 AI によって自動化できていないのが印刷と配達の部分で、ここは三田新報社の社員が AI に代わって真心こめて配達しています。社内には「ユグドラシル」と呼ばれる休憩・歓談スペースがあり、そこに日刊の紙面版を印刷して置いておくことで社員間の交流のきっかけになっています。

筆者はこの後、紙面にあった内容の解説を聞きました

技術的な工夫

拡張性を重視したアーキテクチャ

三田新報は、将来的な機能拡張を見据えて設計されています。マイクロサービス構成により、新しい分析機能の追加や外部ツールとの連携も柔軟に対応できます。
社員が閲覧するウェブサービス部分は、認証基盤で認証したリクエストのみアクセスできるようになっていて、会社のアカウントがある人は読めるようになっています。

簡易的なアーキテクチャ図

現在、mita-db/mita-news-processor/mita-news-frontend の3サービスが協調して動作しています。大まかな流れとしては
1. mita-db(TypeScript) で slack のメッセージやスレッドなどを収集して RDS 上の PostgreSQL に格納
2. mita-news-processor(Python) が各トピックの評価をして記事化する候補を絞り込む
3. 同 processor がトピックの要約・記事化
4. 生成された記事を Next.js の mita-news-frontend(TypeScript) がサーバサイドレンダリングして配信

以下、大まかなシーケンスになります。

シーケンス図

AI によるトピックの抽出

システムの心臓部となるのは、AI 技術を活用した情報抽出機能です。単純なキーワードマッチングではなく、文脈を理解した上で重要度を判断し、自然言語処理により読みやすい要約を生成します。

チャンネルとスレッド毎に話題の単位となるトピックを作成し、それらのトピックに対して会話の参加者の人数や、リアクションの数など、統計的な処理を施した後に Gemini に記者として要約してもらって、ヘッドライン、リード、本文を作成します。次に、それらの記事を「ビジネス的な重要度」や「エンターテイメント要素の強い記事」などのスコアリングをして、それらがまんべんなく掲載されるように計算をして、日々の紙面を作成しています。
数あるAIモデルの中から Gemini を選択しているのは、コンテキスト長が一番長いからです。

実際の活用場面

情報共有の革新

三田新報によって、組織内の情報共有が大きく改善されています。例えば、重要な意思決定が行われた際に、関係者以外のメンバーも休憩中や移動中などの隙間時間に読むことが可能になりました。

また、部門間での知見共有も促進されています。マーケティング部門での顧客インサイトが、プロダクト開発チームにも共有され、組織全体での学習が加速しています。

愛読者の声

新入社員のオンボーディング

新しく入社したメンバーにとって、組織の文化や過去の経緯を理解するのは簡単ではありません。三田新報のバックナンバーを読むことで、過去の重要なトピックをスナック感覚で知ることができ、会社の雰囲気を知ることの一助となっています。

月1回開催される OpenDay では外部の方の目に触れるため、監査を受けて内部情報が含まれていない号のみ読める状態にしています。

継続的な改善

現在、三田新報は社内での実運用を通じて機能の検証と改善を続けています。実際のユーザーからのフィードバックを基に、より高精度な AI 分析の実現や、ユーザビリティの向上に取り組んでいます。

改善の1コマ

当初、Slack 内のプライベートなやりとりや、内輪の盛り上がりは AI によって無慈悲に「報道すべき公共性がない」と一蹴されていました。一方で、業務上のビジネス的な記事のみだと組織の実相として偏ったものになっていました。そこで、プロンプトを改良することでそういった盛り上がりを週刊誌仕立てで盛り立てて書くように指示するよう変えたところ社員同士でクスクス笑えるような記事が生成されるようになり、社員間のエンゲージメントを高める一助になっています。
このようなちょっとした改善を、普段の業務の傍ら AI にオフロードすることで、実働コストを抑えて継続的な開発ができています。

実際に生成された雑談を報じる記事

三田新報の地層

これは筆者の個人的な体験になるのですが、三田新報社に入社以降いきなり with AI ネイティブな開発環境になりました。開発をはじめた頃は、私はほとんどのコードを手で書くタイプで、開発フローにおける AI の活用はは限定的でした。それから、まずはじめに Copilot の Agent モードでコードを書くようになり、それから Cursor や Claude Code など、次々と出てくる AI が補助してくれる開発ツールを試す実験場となっています。
一旦三田新報のタスクで開発フローを試してみて、感触がよかったらそれを IVRy の開発フローに組み込むということをやっています。IVRy では全社員一丸となって AI による業務フローの改善に取り組んでいます。「まず、やってみよう」という掛け声の下、気付いたら稟議がおりていて手元で試せる状況になっているのはいち社員として非常にありがたいです。

今後の展望

現在は手運用で Slack 内の俳句や短歌を入稿して「本日の一句」というコーナーを掲載しているのですが、これも AI を活用して日常のふとした一句を切り取っていけるといいなと考えています。
他にも、社内のひとコマを4コマ漫画風にして生成したい、という要望があったり、CEO の動向を首相動静のように乗せたい、天声人語のようなコラムを載せたい等、たくさんの改善バックログが積まれています。
これらを少しずつ崩していってるのですが、AI によって今まで人力でやられていたことを機械に肩代わりしてもらっているのを肌で感じています。

おわりに

三田新報は、組織に眠る知恵を発掘し、全体で共有するためのシステムです。Slack に蓄積された膨大な情報から、価値あるものを自動的に抽出し、組織全体の情報の流動性向上に貢献することを目指しています。

情報が溢れる現代において、「何を知らないかを知る」ことは、「何を知っているかを知る」ことと同じくらい重要です。三田新報でプッシュ型でトピックスを知れれば、プル型で能動的に詳しい情報を調べることは Slack AI や Notion AI を使って知ることができます。
私たちの取り組みが、同じような課題を抱える組織の皆さんにとって何かの参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を読んで「IVRy/三田新報のことがちょっと気になるな」「三田新報を読んでみたい!!」と思っていただけた方は、カジュアルなつながりから始めませんか? IVRyでは以下の2つの方法をご用意しています。

①キャリア登録(情報収集をご希望の方に)

イベント情報や新しい募集ポジションなどをお届けします。まずは情報収集から、という方におすすめです。

②カジュアル面談(まず話してみたい方に)

IVRy/三田新報の社員とざっくばらんに話す場をご用意しています。選考ではございませんので、お気軽にエントリーください。

ご関心を持ってくださった方と、何かしらの形でつながれたら嬉しいです。

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