【相談日記】あなたの“やってみたい”がまちを動かす――生駒市「いこみなチャレンジ」とは
「誰もが気軽に参加できるチャレンジの場をつくりながら、みんなでまちづくりを」。奈良県生駒市でこの夏、まちなかの遊休不動産を活用したにぎわい創出と人材育成の新しいプロジェクトが動き出しました。その名も「いこみなチャレンジ」(生駒駅南口エリア事業伴走プログラム)。この取り組みに至った経緯とは――。
かつては門前町として栄えていたものの……
奈良県の北西に位置し、大阪や京都も通勤圏という立地の良さで知られる奈良県生駒市。しかし、いわゆる「ベッドタウン」として開発されたまちではいま、高齢化・空き家増といった課題を抱えています。駅前の商店街や空き店舗をめぐる状況は、全国の地方都市と同様なのですが、その成り立ちや立地によっても事情が少しずつ異なります。特に同市の“玄関口”となる近鉄生駒駅の南口エリアでは、空き物件が増え、さらにはマンションへの建て替えなど商業とのバランスを欠いた開発で、活気ある街並みや地域機能の維持に課題があります。来街者だけでなく、地元の若い世代が楽しめる場所が少なく、駅や施設間での回遊性が乏しいため、「歩いて滞在したくなる魅力」が失われています。
かつては宝山寺の門前町として栄えた商業地としての「にぎわい」を取り戻したい。同市職員は、制度やハコモノだけではない、「人との関係性から始まるまちづくりをしたい」と模索を続けていたそう。

まずはまちなか再生プロデューサーの公募から。そして事業伴走型プログラム「みしますきー」との出会い
そんな課題や現状がある中で、まずはまちなか再生プロデューサーの公募を実施。課題解決に向けた一歩を踏み出しました。そこで市職員たちが出会ったのが、株式会社エンジョイワークスによる提案でした。静岡県三島市で展開されていた「みしますきー」は、空き家や空き店舗を対象に、地域内外のプレイヤーを募りながら、事業に向けた後押しをするプログラム。いわゆる「事業伴走型支援」というもので、“事業の公募+専門家の伴走と育成”が一体となった設計が特徴です。
エンジョイワークスでは「事業者育成型公募」として、それまでにもいくつかの自治体を主体にした同様のプログラムを展開しており、三島市の例は、私たちと地元の建設会社が主体になったケース。この取り組み手法のなかで、特に市職員が強く共感したのは「地域課題の解決と、担い手の成長を同時に支援する」というアプローチだったとか。制度の整備より先に、挑戦する人を地域に根付かせること。これは、従来の“選考ありき”の事業公募とは大きく異なる考え方です。「チャレンジの場を提供しながら、まちづくりに関わる人を増やしたい」。市が描く形にも近いものでした。そうして本格的なプログラムの検討がスタートしました。

■ 活用候補物件の発掘。対話を重ねて生まれた“生駒らしい”プログラム
「事業伴走型支援」を行うプログラムの対象となるエリアは、生駒駅南口の中でも人々が多く行き交う4つの通りや商業施設、公共施設が立ち並ぶ場所。エリアの現状と空き物件の把握からスタートしました。空いている物件だからと言って、必ずそこで何か事業が始められるかどうかは分かりません。所有者に「利活用の希望があるか?」「どういう業種に入ってもらいたいか?」といったヒアリングを重ねて、活用の可能性やまちづくりにおけるポテンシャルを探りました。
並行して進めたのが、伴走支援の重要なファクターでもある“メンター”の選定でした。まちづくり・建築・設計・飲食・物販・お金といった各分野の専門家…「メンター」を選んだのですが、いずれも関西エリアで活躍している起業やまちづくりの先輩たち。事業を形にするまでの苦労を知っている人だからこそのアドバイスやアイデアを活かしてもらう。そんな構成で生駒らしい「事業者育成型のチャレンジプログラム」の構想が少しずつ輪郭を持ち始めました。

ポイントとなったのは、公募=選考ではなく、“出会い”の場と捉えてもらいたいという思い。「生駒でなにかやりたい想いを持つ人がまず関わる機会をつくる」ことを重視しました。
プログラムでは、キックオフイベントや現地ツアーを通じて、参加者が地域のリアルな空気に触れる機会も設けています。また支援の内容も「選ばれた人だけがもらえるサポート」ではなく、「チャレンジする人に対して、育成と学びの機会がある」という形を目指しており、生駒版の“地域共創型公募プログラム”となっています。

地元で話題沸騰。近日開催のキックオフイベントはすでに参加応募も多数
準備期間を経て2025年6月、「いこみなチャレンジ」と名付けてプログラムがスタートしました。7月にはキックオフイベントを企画しており、単なる説明会ではなく、「このまちでなにかやってみたい」と思う人が一歩踏み出したくなる“場”とすることが狙いです。対象は、「(このまちで)やってみたいこと」がある個人や団体。そしてそれを一緒に応援したい、専門的な知識を活かしてお手伝いしたいという方も歓迎しています。必要なのは、まちを面白くしたいという“熱量”なのです。
キックオフイベントはオンラインと現地(オフライン)の2回。「なぜいま、生駒に『チャレンジ』の場が必要なのか」という背景や狙いを共有しつつ、トークセッションでは、地域で活動する先輩プレイヤーなどのメンターやまちづくり先駆者も登壇し、”生駒のまちの魅力”を語ります。「このまちに関わりたい」「今は具体的じゃなくても、動き出したい」。そんな人が最初の一歩を踏み出せる場として走り出した「いこみなチャレンジ」にご注目ください。
【キックオフイベント概要】
7月12日(土) 15:00~17:30 現地開催
*キックオフイベントは開催終了いたしました

この「事業者育成型公募」の仕組みは、大枠の理念や進め方が決まっているのですが、自治体の課題や「思い」、どんな人を巻き込みたいか?といったイメージなどに合わせて、“カスタマイズできる”と言うのも利点。参加者をサポートするメンターにはどんな人がいいか?ほかにもどんな人を巻き込めるか?どんなゴールを描くか?自治体と対話しながらプログラムを作り上げているところも大きな特徴です。
今後も生駒市との「いこみなチャレンジ」について、イベントレポートだけでなく、活用候補物件の選定基準や官民連携の役割分担、今後のいこみな(生駒駅南口)が目指すビジョンやスケジュール、活用した補助金制度等さまざまな視点でお届けしてまいりますのでお楽しみに!
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