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誰もが楽しめる幻想世界を描く|久保 美紗樹さんインタビュー #6

先月に開催した「じだいのはざま展vol.4」。
最終回は久保 美紗樹さんのインタビューを掲載します。
主催と対談形式で、創作の原点や作品へのこだわりを深掘りしました。

前回のインタビューはこちら👇

久保 美紗樹
2002年生まれ。奈良県出身。
大阪デザイナー・アカデミー卒業。
自身のなかにある幻想世界を描く。
思い出やその時に感じたことを、生き物や食べ物などに置き換えて表現している。
使用画材は主にアクリル絵の具と色鉛筆とパステル。
Instagram
https://www.instagram.com/mi7sa09/

マティスとラッセンに衝撃を受けた学生時代

───久保さんは高校から美術科に通っていたんですよね。早い段階から作家を志すきっかけはあったのでしょうか。

久保さん(以下敬称略):絵は物心ついたときから好きでした。家族も絵を描くのが好きで、小学2、3年生のときにみんなで絵を描く勝負をしたんです。それで母や兄に負けてる自分がすごく嫌で、そこからずっと絵を描く練習をしていました。

───負けず嫌いだったのですね。久保さんは幻想的で可愛い世界を描いていらっしゃいますが、今のスタイルに落ち着いたのはいつ頃ですか?

久保:専門学校2年生の頃です。1年間を通してシリーズ作品を描く課題がありました。私は母とドライブをすることが好きだったので、そのとき見た風景や好きな食べ物を組み合わせたものを描いていました。
 その後、研究科に進み自分の世界観の表現を探究しはじめたことで、今の物語のある作風になったなと思っています。

「幼き頃のアイドル」

───好きなものを掛け合わせたんですね。確かに久保さんの作品はストーリー性が感じられます。影響を受けたアーティストはいますか?

久保:アンリ・マティスとクリスチャン・ラッセンです。マティスは高校生の頃に授業で知りました。「色彩の魔術師」と言われていると知り、私もそんなふうに呼ばれたいと思いました。もともといろんな色を使って描くのが好きだったんですけど、その授業をきっかけに色はこだわっています。

───昨年11月にイロリムラ89画廊で行われていた「真夜中に目醒めよ」というグループ展で久保さんの作品を初めて拝見しました。色がカラフルで観ていて楽しいなって、すごく印象に残りました。

「真夜中に目醒めよ」展示作品

久保:ありがとうございます。クリスチャン・ラッセンは、母が好きで。小学2年生くらいのときによく画像を見せてくれてたんです。現代で活躍しているアーティストを知ったのはラッセンが初めてだったと思います。

───初めて見たときは衝撃でした?

久保:衝撃でした。これって絵なんだってくらいリアルでめっちゃ綺麗だったので。しかも一般家庭でも購入できるくらいの金額設定にしているっていうのを聞いて、そういう意味でも衝撃でした。

しっかりとした基礎のうえに世界観を描く

───今回展示した絵について、今回のテーマ「ぼくらの仲間」をどうやって作品に落とし込みましたか?

久保:自分が作り出した絵のなかのキャラクターたちが、仲間同士であればいいなと思って描きました。あと、幻想的な世界という自分のテーマは全体を通して変わらずあります。

「じだいのはざま展vol.4」展示作品

───制作で楽しかったことはありますか?

久保:今回、新しくラメの絵の具を買いました。キャラクターや目立たせたい部分に塗るのが楽しかったです。ただ、絵を描くときは近距離なのでラメがわかりやすいんですけど、離れて見たときにあんまり目立たないなって感じて…

───本当ですか?画面の右上のキラキラが可愛くてアクセントになってるなと私は気づきました。他にこだわった点はありますか?

久保:パースと明暗を意識しました。専門学生のときに授業では習ったんですが、自分の作品としてパースをきっちり測って描くことがなかったので。作品をより魅力的に見せるために今回意識して描いてみました。ぱっと見たときにパースがおかしいっていう疑問がなくなり、楽しんで見れるかなと思っています。

───基礎の部分をきちんと計算して描くからこそ、見る側が引っかからずに世界観に没頭できるんですね。明暗はどこを意識しましたか?

久保:私の作品はカラフルなぶん、ごちゃごちゃしやすいかなと思っていて。明暗を意識することによって、作品の雰囲気がもっと良くなればと思いました。時々モノクロでの状態を確認しながら描いていたので、制作には結構時間がかかりました。あと、色を認識しにくい方にも、ちゃんと自分の絵を見てもらえるようになりたいなって思っています。過去の作品はそこまで意識できてないものもありますが、「あの日の光」は意識して描いた作品ですね。

「あの日の光」

誰が見ても楽しめる絵を

──色の見え方って人によって違うかもしれないけれど、より多くの方が楽しめるような工夫をされているんですね。明暗を意識しようと思ったきっかけはありますか?

久保:専門学校に在籍していたときに、他学科が「色覚異常を考慮したデザイン」といったものに取り組んでいるのを知って。私の絵って視力の弱い方にはどう受け取られるんだろうと考えるきっかけになりました。

───なるほど。久保さんのようなカラフルな絵はどんな方でも分かりやすいのかなと思っていたのですが、さらに工夫することができるんですね。

久保:私も最初はそう思ってました。でも今は、カラフルだからこそちゃんと明暗をつけるべきだなと思っています。

───細やかな気配りですね。最後に、久保さんの描く幻想的な風景を通して、観る人にどのような想いを伝えたいでしょうか。

久保:まだ具体的に伝えたいこととかはないです。今はただ、自分が楽しんで絵を描くことと、それに加えて作品を観た人に新しい世界を提供したり、心を動かす作品ができたらいいなと思いながら制作しています。

───新しい画材や技法にも挑戦しながら、どんどん進化していけるといいですね。ありがとうございました。

インタビュアー:川口 由真

久保 美紗樹さんのInstagramはこちら👇

初回のインタビューはこちら👇


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