【元事故受付が解説】修理代10万円で保険を使うと損?等級と免責から考える「後悔しない判断基準」
「事故を起こしたら、来年の保険料はいくら上がる?」
「修理代が10万円くらいなら、自費で払ったほうがいい?」
「車両保険に入っているのに、『免責』でお金がかかるって本当?」
自動車保険に加入していても、いざ事故が起きると分からないことばかりですよね。
特に大事なのが、次の3つです。
等級
保険料
免責金額
私は以前、自動車保険会社で事故受付を担当していました。
事故受付の電話では、
「このくらいの事故なら保険を使ったほうがいいですか?」
「保険を使ったら、来年からの保険料はどうなりますか?」
といったご相談を毎日受けていました。
この記事では、自動車保険の基本用語だけではなく、「実際に事故が起きたとき、保険を使うかどうかをどう考えるのか」というところまで、元事故受付担当の視点から分かりやすく解説します。
1.そもそも「等級」って何?
自動車保険の「等級」とは、簡単に言えば「保険料の割増引に関係する区分」です。
一般的なノンフリート契約では、
1等級〜20等級まで
初めて自動車保険に加入する場合は原則6等級
1年間事故がなければ、基本的に翌年度は1等級アップ
という仕組みになっています。
【例】
6等級 → 7等級 → 8等級 → 9等級……
一般的には、等級が高くなるほど保険料の割引率も大きくなります。
つまり、無事故で契約を続けることが、保険料の割引につながるという仕組みです。
※日本損害保険協会「損害保険Q&A-くるまの保険-問23 自動車保険の『等級』について教えてください。」を参考にしています。(損害保険Q&A)
2.事故を起こしたら等級はどうなる?
事故によって保険金が支払われた場合、事故の種類や使用する補償によって、翌年度の等級が下がることがあります。
代表的なものとして、
3等級ダウン事故
車同士の事故、単独事故、電柱への接触など、一般的な事故の多くはこちらに該当します。
例:
20等級 → 17等級
1等級ダウン事故
飛び石によるガラス破損、いたずら被害、火災、台風・洪水など、一定の事故が該当します。
ノーカウント事故
弁護士費用特約など、使用しても等級に影響しない補償があります。
つまり、
「事故を起こしたら必ず3等級下がる」
というわけではありません。
重要なのは、
「どんな事故で、どの補償を使うのか」
です。
※具体的な事故区分は保険会社・契約内容によって異なるため、実際の事故では加入中の保険会社に確認してください。
3.意外と知らない「事故有係数適用期間」
等級を考えるとき、もう一つ知っておきたいのが「事故有係数適用期間」です。
事故によって等級が下がる場合、単純に「○等級下がる」だけではありません。
一定期間、「事故有」の区分が適用され、同じ等級でも無事故の場合と比べて割引率が低く設定されます。
例えば3等級ダウン事故では、一般的に3年間「事故有」の割引率が適用されます。
そのため、
「3等級下がるだけ」
と考えるのではなく、
「等級が下がった後、事故有の期間も含めて保険料がどう変わるのか」
を見ることが重要です。
日本損害保険協会も、事故による等級ダウンに加えて、一定期間は事故有の低い割引率が適用される仕組みを説明しています。(損害保険Q&A)
4.修理代と「将来の保険料」を天秤にかける
事故が起きたときに考えたいのは、
「今回の事故で受け取れる保険金」
と、
「保険を使った場合に将来増える保険料」
の比較です。
たとえば、修理代が10万円だったとします。
保険を使えば修理費の補償を受けられる可能性がありますが、
等級が下がる
事故有の割引率が適用される場合がある
翌年以降の保険料が高くなる場合がある
といった影響があります。
そのため、
「10万円の修理だから、10万円分保険を使えて得」
とは単純に判断できません。
実際、日本損害保険協会も、少額の保険金を受け取るより、翌年以降の保険料の割増額のほうが大きくなる場合があると説明しています。(損害保険Q&A)
つまり、事故後は、
今回いくら補償されるのか
だけではなく、
そのために将来いくら保険料が増える可能性があるのか
まで考えることが重要です。
5.もう一つのハードル「免責金額」とは?
車両保険を使うときに確認しておきたいのが「免責(めんせき)金額」です。
免責金額とは、簡単に言えば、
「保険金の支払いを受ける際に、契約上、自分で負担する金額」
のことです。
【例】
車両保険50万円
免責金額5万円
修理費30万円
の場合、
修理費:30万円
免責:5万円
保険金:25万円
というのが基本的なイメージです。
※実際の保険金支払額は、免責金額だけでなく、事故の内容や契約条件、損害の認定などによって異なります。
6.「免責5万円」の落とし穴
例えば免責金額が5万円に設定されている場合、修理費の額によって対応が変わります。
修理費3万円 → 免責金額を下回るため、保険金が支払われないケースがある
修理費5万円 → 免責金額と同額のため、単純計算では保険金は0円
修理費10万円 → 単純計算では「10万円 − 5万円 = 5万円」が保険金の対象イメージ
ここで覚えておきたいのが、
「車両保険に入っている=修理費が全部無料になる」わけではない
ということです。
事故が起きたら、まず自分の契約に免責金額が設定されているか確認しましょう。
7.「等級」と「免責」は別物
この2つは非常に混同されやすいですが、役割はまったく異なります。
等級=今後の保険料(将来の負担)に影響するもの
免責金額=今回の事故(今回の負担)で自己負担する金額に関係するもの
事故後の判断では、
「今回いくら自己負担するのか」
だけではなく、
「保険を使ったら将来いくら保険料が増えるのか」
まで合わせて見ることが重要です。
ここまでで、「等級」「事故有」「免責」の基本は分かったと思います。
でも、事故が起きたときに本当に知りたいのは、
「で、自分の場合は保険を使うべき? 使わないべき?」
ということではないでしょうか。
事故受付をしていた頃、実際に受けるご相談で多かったのもこの部分でした。
そこで、ここからは一般的な用語解説ではなく、元事故受付担当として、電話を受けていた側から見た「現場の判断アプローチ」を紹介します。
なぜ「修理代10万円」が迷いやすいラインになるのか
物損事故で「保険使用の判断」だけを賢く保留する電話の伝え方
対人事故で「損得計算だけ」で判断を止めないほうがいい理由
保険会社にそのまま聞けば判断材料がそろう「質問スクリプト」
「保険を使ったら、思ったより翌年以降の保険料が上がってしまった……」
「もっと早く担当者に確認しておけばよかった……」
という後悔を避けるための実用ガイドです。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
