近畿の5つの聖地を結ぶと「巨大な五芒星」になるらしい。だから、自分で測ってみた
近畿地方に、ちょっと不思議な話があります。
伊勢神宮。熊野本宮大社。伊弉諾神宮。伊吹山。元伊勢皇大神社。
この5つを地図の上で線で結ぶと、近畿地方に巨大な五芒星が浮かび上がる——という話です。「近畿五芒星」と呼ばれています。
こういう話、私はかなり好きです。昔の人が何かを意図したのか、ただの偶然なのか、後世の誰かがそれっぽい場所を選んだだけなのか。真相は分かりません。
ただ、ひとつだけ気になりました。
これ、本当にそんなに綺麗な五芒星なんだろうか。
ネットには五芒星を描いた画像がたくさんあります。でも、眺めているだけでは分からない。
だったら自分で置いて、測ってみればいい。ちょうど私は、地点同士の距離や関係を調べるための地図アプリ「GRID ATLAS」を作っています。
やってみました。
まず、星を描いてみる
5地点を置いて、ひとつ飛ばしに線を結びます。

かなり星です。
正直、思っていた以上にちゃんとしています。「いや、これ……本当に何かあるんじゃない?」と、ちょっと思ってしまうくらいには。
そして面白いのは、見た目だけではありませんでした。
距離を測ったら、もっと妙だった
5地点を外側に沿って、順番につないで測ります。
区間距離伊勢神宮 → 伊吹山約111km
伊吹山 → 元伊勢約114km
元伊勢 → 伊弉諾神宮約111km
伊弉諾神宮 → 熊野本宮約109km
熊野本宮 → 伊勢神宮約111km
111、114、111、109、111。
かなり揃っています。100km以上離れているのに、一番長いところと短いところの差が数kmしかない。
ここで一度、「おいおい……」となります。
さらに、星の長い線と外側の短い線の比率を出してみました。およそ 1.617。
正五角形に現れることで有名な黄金比が、約 1.618 です。
話が出来すぎている。
「やっぱり近畿には何かが仕込まれている・・・?」
私もちょっと、言いたくなりました。
でも、ここで線の引き方を変えてみたんです。
同じ5地点を、普通の五角形にしてみる
星を描くのをやめて、隣同士で普通につなぎます。
使っている地点はまったく同じ。位置も一切いじっていません。
線の結び方を変えただけです。

……少し印象が変わりました。
上が平べったい。左右も対称じゃない。星として見たときは「かなり綺麗」だと感じたのに、五角形にした途端、あれ、意外と歪んでる、と見えてきます。
星の形には、ものすごく強い「それっぽさ」があります。多少歪んでいても、脳が勝手に「五芒星だ」と補正して見てしまう。でも五角形にはそこまで強い型がないので、崩れが崩れのまま目に入ってくる。
ここで、ひとつ気づいたことがあります。
世に出回っているレイラインの画像は、ほとんど全部が星形か直線だ。
外側だけをつないだ図を、私はほぼ見たことがありません。それが狙ってやっていることなのかは分かりません。ただ、どちらで描くかによって、見た人が受け取る印象は確実に変わる。それだけは確かです。
ちなみにこの画像、地図を敷いていません。海岸線も県境も地名もない、ただのグリッドです。地図を敷くと、今度は「伊勢と熊野が線でつながっている」という物語のほうが先に目に入ってきて、辺が不揃いなことは、やっぱり見えなくなるからです。
余計なものを消すと、距離と形だけが残る。
じゃあ、角度はどうなのか
綺麗な正五角形なら、5つの角は全部108度になります。
測ってみると、約112度、106度、104度、114度、103度。
全部108度ではありません。一番大きい角と小さい角では、10度以上ひらいています。
つまり——距離は妙に揃っているのに、形としては正五角形ではない。
これ、すごく微妙な結果です。
完全な五芒星なら話は簡単でした。「すごい!」で終わる。逆にバラバラなら「まあ偶然だよね」で終われる。
でも今回は、そのどちらでもない。妙に揃っているのに、完全ではない。だから余計に気になります。
そして、もっと厄介な問題
ここまで調べて、実はもっと大きな問題に気づきました。
そもそも、なぜその地点なのか。
伊勢神宮には内宮と外宮があります。熊野本宮大社には、現在の社地とは別に、かつて社殿があった大斎原がある。伊吹山も、山頂を取るのか麓の神社を取るのかで位置が動きます。
つまり、点そのものに動かす余地がある、ということです。
ということは、「もっと綺麗な五芒星になる地点」を選ぶこともできてしまう。逆に、少し変えただけで星が崩れるかもしれない。
ここまで来ると、私が知りたいことは変わっていました。
近畿五芒星は本物なのか——ではなく、
人間は地図の上に、どれくらい簡単に「意味のある形」を見つけられるのか。
こっちのほうが、はるかに気になります。
なので、自分で動かせるようにしました
今回使った5地点は、そのまま開けるようにしてあります。
▶ ⛩️ レイライン検証:近畿五芒星
https://gridatlas.github.io/GRID_ATLAS/
ブラウザで開くだけ。登録もインストールもいりません。
見るだけでもいいのですが、できれば触ってみてください。
「伊勢神宮を外宮にしたら?」 「熊野本宮を昔の場所にしたら?」 「隣の神社に変えたら?」 「地元の神社を混ぜてみたら?」
点を動かせば、形も距離も変わります。
この五芒星を、ぜひ自分の手で壊してみてください。
それでも形が残るのか。あっさり崩れるのか。それとも、もっと綺麗な星ができてしまうのか。
画像を眺めて「本当だ」「嘘だ」と言い合うより、そっちのほうがずっと面白いと思っています。
答えを見る地図ではありません
GRID ATLASは、私が個人で作っている地図アプリです。
Googleマップのように「ここに何がある?」を調べる地図とは、少し違います。GRID ATLASでやりたいのは、「この場所と、あの場所には何か関係がある?」を試すことです。
神社。寺。山。古墳。城。遺跡。UFOの目撃地点。事件現場。映画のロケ地。自分だけが気になっている場所。
置いて、結んで、測ってみる。すると、ときどき「なんでこんな形になるんだ?」というものが出てきます。
それに意味があるのか、ただの偶然なのか。答えをアプリ側で決めるつもりはありません。
答えを教える地図ではなく、疑問が増える地図にしたい。 そんなことを考えながら作っています。
次回:「偶然でも、五芒星は作れるのか?」
今回どうしても引っかかったのは、距離があれだけ揃っていたことです。
これ、本当に珍しいことなんでしょうか。
たとえば日本中の有名な神社や山を200地点集めたとします。そこから5つを選ぶ組み合わせは、約25億通り。
25億通りもあれば、偶然「ものすごく綺麗な五芒星になる5地点」が出てきても、不思議ではない気がします。逆に、探してもほとんど見つからないなら、近畿五芒星はかなり特別だということになる。
なので次は、AIに全部探索してもらいます。
題して、「25億通り探したら、偶然の五芒星はいくつ見つかるのか?」
近畿五芒星より綺麗なものが日本のどこかから大量に出てくるのか。それとも、ほとんど出てこないのか。
私もまだ知りません。だから調べます。
不思議な話は、信じても面白いし、疑っても面白い。
でも一番面白いのは、たぶん「じゃあ実際にやってみよう」と地図を開いた瞬間だと思っています。
