僕の同居人から教わったこと
袖口の影からチラッと覗くバングルやブレスレットが好きだ。
バングルやブレスレットが好きなのではなく、
袖口の影からチラッと覗くバングルやブレスレットが好きなんだ。
大ぶりすぎたり、主張強めなものは、あまり好ましくない。あくまでも、"チラッと覗く"を目指しているから。
意味のないことかも知れないけれど、
そのバランスが、
一番気持ちいいから拘っている。
そのバランスに、
一番高揚するから拘っている。
啓発的な感じで、買い物の流儀を語りたいわけではないけれど、僕たちが買い物をする上で、JIMSが洋服を扱う上で、高揚感に従うということを僕は一番大切にしている。それも、少しも妥協をせずに、抜かりなく。ホンモノの高揚感を手にするために。


- Mike OB Clasp Silver Bracelet -
MATERIAL : SILVER 925
SIZE : M (約18cm)
PRICE : ¥33,000- (tax in)

ルームメイトの山田君は、
ビリヤニを完成させることに命をかけていた。
僕の実家の近くには、「プジャ」というネパール料理屋さんがあったから、子供の頃からビリヤニを食べ慣れていたというか、このジャンルの食べ物をあまり特別視してこなかったけれど、ビリヤニを食べた事がなかった彼は、"ハラールレストランのビリヤニ"をキッカケに、狂ったようにハマっていた。
"ビリヤニにハマっていた"
と来たら、大体の人は"食べてる姿"を思い浮かべるかもしれないけれど、彼は"作る側"としてビリヤニに興味を持ったみたいで、大切な洋服にスパイス臭が染み付くことなんて気にせず、ただひたすらにビリヤニに向き合っていた。
「ハラールのあの味」
彼をビリヤニの沼に沼らせた黒幕である、ハラールのあの味。西淀川区の神崎川沿いに位置するお店らしく、僕もまだ行った事がない。彼はその味に到達することだけを目標に、家のキッチンで戦いを繰り広げていた。
ここで伝えておきたいのが、山田君は美容師だということ。
美容師がビリヤニ制作に休日の全時間を捧げているという事実を、表面だけで見たら普通に笑ってしまいそうになる状況だけど、彼があまりにも真剣なものだから、輝いて見えた。
彼のことは、山田君と呼んでいる。初めて出会ったのがいつかはもう忘れたけれど、出会って2,3回目の時にノリで「住んでいいすかっ」と言ってしまった後は、記憶にないくらいにスラスラと事が進み、気づいたら"山田ハウス"での同居が始まっていた。
僕の同居人でもあり、2つ上の先輩でもある彼には、色々学ぶ事がある。
山田君は、
高揚感に対して、馬鹿みたいに正直な人。
ビリヤニの時もそうだけど、「ワクワク」とか「楽しそう」と感じたことに、徹底的に向き合い、突き詰めるところは、簡単なようでやっぱり難しくて、でも本当は単純な事。
「やりたい!って思ったことを、全力でやり通す。」
簡単なことのようだけど、難しい。だけど、それは実は物凄く単純な工程であるということを教えてくれた。



僕が、袖口の影からチラッと覗くバングルやブレスレットに対してゾクっとするのは何故だろうかと考えた。
1番に思い浮かんだのは、歩いている時、パソコンをやっている時、食事をしている時、スマホをしている時。など、生活のほとんどで手元が自身の視角に収まっているということ。
道中に過ぎ去っていく幾つもの窓ガラスに欠かさず視線をやり、その日のファッションチェックをしてしまう僕にとって、窓ガラスなしで確認できるブレスレットは都合が良い。
しかも袖口の陰からチラッと覗く瞬間を見れた時は最高だ。もう、ほとんどイッてる。
チラッ、チラッ、チラッ。
弾けるように気持ちが良い。







ファッションは、大前提として嗜好品であるべきだと思う。なぜ、必需品ではいけないのか。
それは、
「興奮」や「高揚」や「ワクワク」は、
無駄なモノの中にしか、存在しないから。
だから、まさに今、タイピングをしているこの瞬間も、袖口の影を気にしてしまう。
山内 健人
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