YouTubeですばらしいアニメーションの作品をみつけた

はじめに
デッサンをしていて「的確な一本の線で表現したい。」といつも思う。弱々しく自信無げな何本もの線で輪郭を描きがち。それがクロッキーを日々おこないつづけるとさすがに線の数は減り、さらに的確なものになっていく。そんなさなかネットでいいものを見つけた。
きょうはそんな話。
デッサンの線
ものをえんぴつでクロッキー帳に写し取る。対象はたいてい3次元の立体。ヒトでも石膏像でも人形でもおなじ。それなりに輪郭をもち、かたちもたどれる。そのはずなのに手もとはくるいがちで、適切な一本の線をきめるのに躊躇してしまう。
それは修練の不足かなと思う。これこそnoteと同様に継続しかなさそう。そうわかっているはずなのに中断してしまう。たしかに何か月かつづけるとクロッキーデッサンの線がちがうとわかる。
何度か見直した
そんなある日。ネット動画でたまたま古い洋楽を聞いた。ミュージックビデオ(以下MV)にのせて流れてきたのはTake on me (a-ha)。
当時たいへんヒットした曲でとてもなつかしい。わたしはちょうど大学生だった。もとの映像は80年代に英国でつくられた(上記はリマスター版)。
ここで目をひくのはアニメーション。ロトスコープという手法でつくられている。たいへん手数のかかる作業だったにちがいない。実写の映像にあわせてつくる。作者は当時美術大を卒業して間もないマイケル・パターソン氏。おどろいたことに彼はわたしとひとまわりも違わない。
このMVのロトスコープの採用は評判となり、本曲の流行に大きな貢献をしたとされる。その経緯は映像/美術評論・映像作家 の西村智弘氏の論文(1)に詳しい。
「Take on me」の映像は
このMVの存在を知ったのはつい数日まえ。ほんとうにすばらしい出来と感じた。とくにロトスコープのトレースだけでは到底得られないだろうたしかなデッサン。主役ふたり(男性と女性)の人物の生き生きとした表情はトレースだけでは表現しきれない。もちろんこのMVは曲にあわせてめまぐるしく画面展開し、たいへんな枚数を積み重ねてつくられている。手間と時間のかかる作業だったにちがいない。
そのどの原画も(停止させるとわかるが)、じつに力強くたしかな線で描かれている。アニメーションの高い完成度にほれぼれし、その感動のあとに上に記した資料を探しあてた(1)。やはり当時から評判を呼んだらしく、もとのMVは数々の賞を得ている。オリジナルのMVはすでにニューヨーク近代美術館の所蔵品(2)とのこと。
おわりに
デッサンに好適のお手本といえそう。もちろん、こんなに歴史的で美術館に所蔵されるほどの記念碑的な作品とは知らずに目に留まった。それほど手作業のもつ迫力を感じとれる。
こんなふうに描けたらいいなのひとつの見本としてこれからたびたび目にしそう。
引用
(1)西村智弘 アニメーションのミュージックビデオにおける実験性――初期MTVのアニメーションをめぐる状況について 東京造形大学研究報 24号(2023年)
(2)a-haのボーカルで天才ボーカリスト、モートン・ハルケットのファンサイト 『The Making of Take On Me Episode2』感想 Tomoko (2019年)
