『Destiny』は、なぜ私たちの心に残るのか ー「安いサンダル」という小さな描写から考える
🎵音楽研究レポートNo.1
「なぜ私は、この場面がこんなにも心に残ったのだろう?」
音楽を聴いていると、時々、不思議なくらい心に引っかかる言葉や場面に出会うことがある。
それは、ただ印象的だからではない。
その時の自分が大切にしているものや、まだ言葉になっていない思いに触れた時、心は静かに反応するのかもしれない。
今回は、松任谷由実さんの『Destiny』を聴いていて、私が考えたことを書いてみたい。
心に残った「安いサンダル」という描写
『Destiny』の中で、私が特に印象に残ったのは、「安いサンダル」という一つの描写だった。
物語の女性は、過去に自分を冷たく扱った男性を見返すために、努力を重ねてきた。
美しく着飾り、再会の日を迎える。
そして、その場面で描かれるのが、雲が映るほどピカピカに磨き上げられた男性の車と、女性の足元にある安いサンダルだった。
私は、この対比に強く心を動かされた。
もちろん、安いサンダルを履いていることが悪いわけではない。
私には、そのサンダルが「作り上げた自分と、本当の自分のズレ」を象徴しているように感じられたからだ。
外見を整えることは、悪いことなのだろうか
ここで、一つ考えたいことがある。
外見を整えることは、本当に表面的なことなのだろうか。
女性なら、メイクの仕上がりによって一日の気分が変わる経験をしたことがある人もいると思う。
お気に入りの服を着ると、自信が持てる。
髪型を整えると、気持ちが前向きになる。
外見は、人からどう見られるかだけではなく、自分自身の心にも影響を与えるものだ。
だから、彼女が美しく着飾ろうとしたことも、単なる見栄だったとは思わない。
傷つけられたプライドを守るために、外見を整えることで、自分を立て直そうとしていたのかもしれない。
「誰のための自分」だったのだろう
それでも、私の心に残ったのは「安いサンダル」だった。
美しくなりたい。
認められたい。
そう願うことは、決して悪いことではない。
もちろん、「見返したい」という気持ちが、新しい一歩を踏み出す力にもなりうる。悔しさを原動力に、自分を磨き、成長する人も少なくない。
しかし、その思いだけに縛られ、自分の価値まで相手の評価に委ねるようになった時、人は少しずつ、本来の自分から離れてしまうこともある。
『Destiny』の主人公も、冷たくされたあの出来事を長い間、心の基準の一つとして抱え続けてきたのではないだろうか。
だからこそ私は、「安いサンダル」という小さな描写に、彼女の心の揺れが映し出されているように感じた。
今日の研究結果
この曲を聴いていて、もう一つ気づいたことがある。
私たちは、直感では「何か違う」と感じていても、
「こちらの方が無難だから」
「この選択の方が正しいはずだから」
と頭で考えて決めてしまうことがある。
そして後になって、
「あの時の違和感は間違っていなかった」
と思うことも少なくない。
『Destiny』の主人公は、過去の出来事をやり直したわけではない。
でも、
「あの人は運命の相手ではなかった。」
そう受け止めたことで、過去の意味が変わった。
私は、この曲が教えてくれたのは、恋愛の話だけではないような気がしている。
誰かの評価を基準に生きるのではなく、自分で自分の人生を選ぶこと。
そして、どんな道を選んだとしても、
「あの時の自分にとって、あれが最善の選択だった。」
そう思える生き方ができたなら、人は過去にも、誰かにも振り回されず、自分の人生を歩いていけるのかもしれない。
所長は今日の研究内容をノートに記録し、静かにペンを置いた。
まだ解けない問いもある。
しかし、その問いこそが次の研究の始まりなのかもしれない。
研究員さんへの質問🦉
これまでの人生で、
「今振り返ると、あれは自分にとって必要な経験だった」
と思える出来事はありますか?
その経験は、今のあなたに何を教えてくれたのでしょうか。
次回予告
次回の音楽研究レポートでは、ある一曲を手がかりに、夢や憧れを追いかける中で生まれる葛藤について探ってみたいと思います。
音楽は、ときに自分でも気づいていなかった心の声を映し出してくれるのかもしれません。
次回の研究も、どうぞお楽しみに😊
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