いざ、白浜!Part 2
宿に戻ると、受付のおじさんに
「あれ? もうお戻りですか?」
と言われてしまった。
そりゃそうだ。
白浜海岸の滞在時間は約5分。
そんな客、そうそういない。
白浜を見に行ったけど、行ってみたら真っ黒だったから戻ってきた──
そう説明すると、おじさんは笑いながら教えてくれた。
どうやら、一週間前の台風で打ち上げられた流木や海藻が、浜に大量に散乱しているとのことだった。
今回は本当にタイミングが悪い。
とはいえ、大量に買い込んだ食材とビールがある。
宴はこれからだ。
そう気持ちを切り替えたタイミングで、オヤジから電話がかかってきた。
「連絡禁止って言ったのに何だ!?」
と思いながら出てみると、どうやらかなり酔っている様子で、
「元気してるか?」
と一言。
旅行に来てるんだし、もちろん元気だと伝えると、
「お客さん都合で足場の日程が伸びたから、もう1日休んでいいぞ。
この旅行期間、全部有給にしてやる」
と、呂律の回らない口調で言ってきた。
嬉しくないわけじゃなかった。
むしろ、そう言ってくれるのはありがたいとも思った。
でも、どう考えても酔った勢いで話しているようにしか聞こえない。
こういう時の言葉って、
あとで「言った・言わない」になったら面倒だ。
だから念のため、
「今旅行中なんで、詳細はメールで送ってください」
と伝えて電話を切った。
しばらくして、ちゃんとメールは届いた。
でも、そこに書かれていたのは、
「◯◯日は休みです。
土産はいらないです、元気に帰ってきてください」
という一文だけ。
有給にする、なんて話はどこにも書いていなかった。
やっぱりそうだよな。
そう思いながら、その時は「まぁいいか」と自分の中でやり過ごした。
それにしても、まだ15時にもなっていない時間にここまで酔っているって、一体何時から飲んでるんだ?
そんな疑問も浮かんだ。
でも、前もって休みだと分かっていた日だし、昼から飲むことくらいあるか。
そう思って、自分なりに無理やり納得させた。
このあとも、オヤジから何度も電話がかかってきた。
内容はほとんど同じで、毎回まず、
「元気にしてるか?」
から始まる。
完全に酔っ払ってるな、と思った。
最初は太郎と一緒に
「めんどくさい酔っぱらいだなぁ」
なんて笑っていたけれど、同じような電話が何度も続くうちに、なんとなく妙な感じだけは残った。
とはいえ、その時はそこまで深く考えていたわけじゃない。
旅行はまだ始まったばかりだったし、とにかく今は楽しもう。
そんなふうに、自分の気持ちを切り替えていた。
