【この夏見るべきアニメ】『氷菓』〈古典部〉シリーズ
夏である。
暑い。
外に出たくない。
エアコンをつける。
布団に入る。
スマホを見る。
そして思う。
「今日、何もしてねぇな……。」
そんなあなたにおすすめしたい。
そう。
『氷菓』である。
「氷菓って、ミステリーアニメでしょ?」
そう思ったあなた。
半分正解。
確かに『氷菓』は、古典部に所属する高校生4人が、学校生活の中で起こる「日常の謎」を解いていく作品である。
殺人事件が起きるわけではない。
爆発もしない。
世界征服を企む悪の組織も出てこない。
あるのは、
「なぜこの部屋はこうなっているのか?」
「昔、学校で何があったのか?」
「この人はなぜこんな行動をしたのか?」
みたいな、
めちゃくちゃ身近な謎。
ところが、
これが面白い。
めちゃくちゃ面白い。
■主人公、折木奉太郎があまりにも省エネ
まず主人公の折木奉太郎。
この男、
とにかく面倒くさがり。
人生のモットーは、
「やらなくていいことはやらない。」
やるべきことは、
できるだけ手短に。
素晴らしい。
私もこの精神で生きたい。
「青春を謳歌しよう!」
みたいな陽キャとは真逆。
部活?
面倒。
人付き合い?
面倒。
事件?
面倒。
そんな男が、
千反田えるという、
好奇心モンスター
に出会ってしまう。
「私、気になります!」
出ました。
これである。
この一言によって、
折木奉太郎の平穏な省エネ生活は終了する。
折木、
「別にどうでもいい。」
千反田、
「気になります!」
折木、
「……。」
負けである。
そして気づけば、
事件を調べている。
推理している。
走り回っている。
省エネとは一体なんだったのか。
■『氷菓』はミステリーだけじゃない
ここが『氷菓』の面白いところ。
「学校で起きた謎を解いて終わり!」
ではない。
謎を解いた結果、
「真相は分かった。でも、なんかスッキリしない」
ということが結構ある。
これが良い。
普通のミステリーなら、
謎が解ける。
↓
犯人が分かる。
↓
「なるほど!」
↓
終了。
となる。
しかし『氷菓』の場合、
謎が解けた瞬間、
新しいモヤモヤが生まれることがある。
「そういうことだったのか……。」
そして、
ちょっと切ない。
人間って、
合理的な生き物ではない。
嫉妬する。
見栄を張る。
後悔する。
勘違いする。
誰かに憧れる。
才能に苦しむ。
そういう、
人間のめんどくさい部分
が「日常の謎」に混ざっている。
だから、
ただの推理アニメではない。
■才能って残酷だよな
『氷菓』を見ていると、
「才能」というテーマもかなり感じる。
特に折木と他のキャラクターたちを見ていると、
それぞれ得意なことが違う。
推理が得意な人。
絵が得意な人。
人とのコミュニケーションが得意な人。
行動力がある人。
一方で、
自分には何もないように感じる。
これ、
高校生だけの話じゃない。
社会人になっても、
めちゃくちゃある。
同期が評価される。
後輩が仕事を覚える。
同年代が出世する。
SNSを見る。
「俺、何してるんだろ。」
そういう瞬間、
ある。
『氷菓』は、
青春アニメでありながら、
こういう才能や人間関係の残酷さを妙にリアルに描いてくる。
そして、
それを説教臭くしない。
ここがすごい。
■恋愛もある。でも、露骨じゃない
もちろん、
青春アニメなので恋愛要素もある。
ただし、
「はい!今日から付き合います!」
みたいな分かりやすい恋愛ではない。
視線。
言葉。
距離感。
ちょっとした反応。
そういう、
「お前らもうちょっと素直になれよ」
と言いたくなるような関係性が良い。
特に、
折木と千反田。
千反田、
「気になります!」
折木、
「仕方ないな……。」
これだけで、
青春ポイントが1000くらい入る。
こっちは会社で、
「お疲れ様です。」
しか言っていない。
高校生、
青春しすぎ。
■そして作画がヤバい
『氷菓』を語る上で、
京都アニメーションの映像美は外せない。
何年も前のアニメなのに、
今見ても、
「え?これ10年以上前なの?」
となる。
普通の教室。
廊下。
学校の風景。
夕方の街。
別に派手な舞台ではない。
なのに、
妙に美しい。
「ただ歩いているだけなのに絵になる」
という、
とんでもない現象が起きる。
そして、
キャラクターの表情。
目線。
仕草。
細かい。
めちゃくちゃ細かい。
アニメーションって、
何も爆発させなくても面白くできるんだな、
と思わされる。
■モブまで妙に覚えている
そして個人的に好きなのが、
キャラクターの作り込み。
メイン4人だけが魅力的なのではない。
学校にいる生徒たち。
先生。
文化祭に関わる人たち。
「この人、なんか妙に存在感あるな」
というキャラクターが普通にいる。
モブ、
「背景です。」
ではない。
お前も人生を背負っている。
そう感じさせる。
これって、
『氷菓』が「高校生活そのもの」を描いているからだと思う。
主人公たちだけが青春しているわけじゃない。
教室の隅にも青春がある。
廊下にも青春がある。
文化祭にも青春がある。
そして、
青春というものは、
必ずしもキラキラしているわけではない。
嫉妬。
後悔。
才能への劣等感。
恋愛。
友情。
失敗。
勘違い。
青春、意外と面倒くさい。
■だから夏に見てほしい
『氷菓』は、
夏に見ると妙に刺さる。
蝉の声。
青い空。
学校。
夏休み。
文化祭。
夕暮れ。
そして、
「高校生っていいな……。」
という気持ちになる。
社会人になった今、
学校に戻りたいかと言われたら、
私は正直微妙である。
朝起きる。
授業。
テスト。
部活。
宿題。
人間関係。
いや、
やっぱり戻りたくない。
でも、
あの頃の空気だけはちょっと羨ましい。
何かに夢中になったり、
くだらないことで笑ったり、
友達と意味のない話をしたり、
放課後に寄り道したり。
そういう、
人生において別に必要ではないけど、
後から振り返ると妙に大切だった時間。
『氷菓』には、
そういうものが詰まっている。
■結論
『氷菓』は、
「超能力で事件を解決する!」
「世界を救う!」
「最強の敵と戦う!」
みたいな作品ではない。
もっと小さい。
もっと身近。
もっと静か。
でも、
だからこそ面白い。
日常の中にある、
「なんで?」
を拾い上げる。
そしてその答えの先に、
人間の感情が見えてくる。
謎を解くことより、人間を知ることの方が面白い。
これが『氷菓』の魅力なんじゃないかと思う。
そして何より、
主人公の折木奉太郎を見ていると、
社会人の私は少し安心する。
「できるだけ働きたくない。」
「面倒なことは避けたい。」
「必要最低限で生きたい。」
そんな省エネ思想の高校生でも、
なんだかんだ人と関わって、
事件に巻き込まれて、
少しずつ変わっていく。
だから私も、
明日から頑張ろうと思う。
……いや、
明日の俺が頑張ります。
今年の夏、
何を見るか迷っている人。
派手なバトルアニメに疲れた人。
青春アニメが見たい人。
日常系だけど、ちゃんと考えさせられる作品が見たい人。
そんな人には、
ぜひ『氷菓』を。
そして見終わった頃には、
きっとこう思う。
「私、気になります!」
……何が気になるのかは、
本編を見てからのお楽しみである。
いいなと思ったら応援しよう!
考え直せ!
まだ遅くない。
本当にこの記事を読みたいのか?
変わりモンのアンタ嫌いじゃないよ💛
